024.初・魔王降臨
ある日の第○回文化祭劇の練習会のこと。
「おい!真夜。」
「・・・・・・なんですか、火室先輩。」
ヤベ、思わずいやそうな顔して答えてしまった。
「明日、○○駅に9時半に来い!」
その場の空気が静まる。なんか、妙に冷たい。
「・・・・・・急ですね。何の御用でしょう?」
「俺が来いと言ってるんだ、いいから来い!!」
「用件を聞かずに行けるはず無いじゃないですか!変な事件に巻き込まれたらどうしてくれるんですか!!」
「・・・・・・・・・。」
「言えない用件ではないですよね?」
いつものことだ。どうせくだらないことに決まっている。だが、外に呼び出されたのは初めてだ。
「・・・・・・・昨日、商店街のくじ引きで3等を当てた。」
1等じゃなくて3等かい・・・・・・・。微妙だな!
「で、これを当てた。」
見ると指定された駅の周辺にある遊園地のチケットだった。
「っというわけで来い!!」
つまり一緒に行けと。
(ヤダ!!)
と心の中だけで返してておく。明日は、予定が無いからラノベ読んだり、(主に乙女)ゲームやったりして2次元に浸ろうと思って楽しみにしてたのに、なぜこいつに邪魔されなければならないんだ!?まぁ、無駄だと思うが遠回しに断ってみることにした。
「先輩なら他に行く人がいっぱいいるんじゃぁ・・・・・・・・?」
「あぁ、そりゃぁいる。」
ですよねー。しかもはいて捨てるほどに。
「だが、こいつのせいで無理なんだ!!」
と私の魔道具を指差して言う。
「あー、また火奈ちゃんですかー。でも、自重するのは少しでは無かったんですか?」
「俺もそのつもりだった。だが、こいつがお前以外の女とつるむとすぐ嫌がらせをしてくるんだ!」
「え?また熱ですか?」
「いや。・・・・・・・・何かが重くのしかかってくるんだ。おかげで一時期肩こった。」
「火奈ちゃん、何したの?」
私が魔道具についている火奈ちゃんチャームにそう言うと、火奈ちゃんが仮実態を作って現れた。なげに、先輩が魔道具の付いていないほうの手をつかむ。姿が見えないのに声だけ聞こえてきたら薄気味悪いからだ。
『魔元素の固まりを乗っけただけじゃ。これくらいでは死なぬじゃろ?』
「でも、先輩肩こって困ってるよ。困らせたいわけじゃないんでしょ?」
『・・・・・・・・・、とりあえず真夜以外の女は信用せぬ。真夜はいいやつだからのう。とくべつじゃ。』
いらん。そんな特権こちらから願い下げである。
「少しは火奈ちゃんだって妥協しないと先輩が困るでしょ!!」
いや、別に火室が困ろうがどーでもいいのだが、私にまで被害が出てるんだよ!!
『だから妥協しておる。』
「その妥協は私が困るからやめて!!」
『・・・・・・・とりあえず、妾なりに妥協はしるのじゃ!!』
と言って、火奈ちゃんの仮実態は消えた。
「・・・・・・分かりました。」
「おう。」
「なら、火奈ちゃんと2人っきりでいてきてください。火奈ちゃんと、デートです!!」
「はぁ!?」
「私の前使っていた男女兼用の魔道具を貸してあげるので、それに火奈ちゃんチャームをつけて、火奈ちゃんと2人だけで行ってきてください!!」
「それじゃ、俺が不審者みたいになるだろ!!」
そも言葉に私は何もひっかがりを覚えなかったが、もう1人の精霊魔法師、金島先輩がプッツンした。
「・・・・・・・・睦・・・・・・・・。」
「何だ?慧。」
「今の言葉取り消してください・・・・・。」
「っえ?今のって・・・・・・?って、慧、お前何に怒ってる」
「今の言葉は精霊魔法師を愚弄する言葉です。・・・・・・・・・月影さん!!」
「は、はい!!」
「睦のさそいにのる必要はありません。今すぐに前の魔道具を持ってきてください。」
「はい!・・・・・・・って今すぐにですか!?」
そして金島先輩は笑顔を向ける。なぜだろう。笑顔のはずなのに・・・・・・、怖い。そして一言、
「しばらく精霊魔法師の気持ちを味わってもらいましょう。」
と言った。