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203.偽家族3~場違いで胃に穴が開きそうです!~

 夕方になった。正直に言うとそろそろ帰りたい。

「あ!そろそろね!」

とママさんが言った。そうだよ!もうお帰りの時間ですよママさん。

「真夜ちゃん。」

と言ってママさんが自分の席から立ち私の傍に来た。そして私に手を握り、

「ママに付いて来て!」

と言ってママさんが私の手を引いた。へ?何!?


 連れてこられたのはいつものお着替えルームだった。いつもどおり着替えさせられ、軽めに化粧をされた。まぁ、こうされるのも実の娘ができるまでの辛抱だろう。それまでこれは偽娘としての仕事だと思って頑張って我慢しようではないか。・・・・・・・て、実の娘ができたら止めてくれるよね?た、多分・・・・・・・・・・。そして、いつもどおり写真をパシャパシャ撮られた。その後、また元の部屋に戻ると思ったら・・・・・・・・・、

「じゃあ、お願いね♪」

と言って、ママさんが使用人さんの一人に私を託した。何故、私を使用人さんに預けるんですか?ママさん。私、誰かに見張られてないといい子にできないようなやんちゃな人間じゃないよ?って、多分、そういう意味で預けられたわけではないとは思うけど・・・・・・・・、何で?Why!?

「かしこまりました、奥様。」

使用人さんは何で私が預けられたのか知っているようだ。ねぇ、教えてよ!火室家の人はよく黙って勝手にやるから教えてください!お願いしますよ~~!!ほら、ママさん部屋から出ていちゃったよ!やっぱり教えてくれないよ!

「では、真夜様。」

「は、はいっ!!」

使用人さんに名が呼ばれた。しかも様付けで。止めてくれ。私は一般庶民なんだ。様付けで呼ばれるのなんて違和感まみれで、酷くいえば気持ち悪いから。とは言っても、主の客人相手には使用人さんにとってはその対応が当たり前なのだろう。しょうがない、我慢しよう。

「付いてきてください。」

「はい・・・・・・・・。」

で、用件はやっぱり言ってくれないわけ?いや、もしかすると、使用人さん的にはもうママさんが用件を言ったものだとお思っているのかと思っているだけかもしれない。うん、そういうことだろう。というか、私がそうであってくれと思ってるだけである。頼む、そうだと信じさせてくれ。でもそれより・・・・・・・・・、いったい私は、何処に連れてかれようとしてるんだろう・・・・・・・?


(ココハドコ、デスカ・・・・・・・・?)

ウヲォ!!思わず心の声が片言になってしまった。だって、だってさぁ、これは何処から如何見ても、私のような庶民とは無縁ですよって感じが漂いまくってるんだもん。

 車に乗せられ連れて来させられたのは、高級感だ漂うレストラン。使用人さんに連れられ(そう、私の意志では絶対にない!)店に入り、(多分)受付(だと思う)をするとお店の人に店の中に通され席に案内された。使用人さんは、

「ここでお待ちください。では、私は失礼させていただきます。」

と言い、私に背を向けた。って、何1人で帰ろうとしてるの!!?

「ちょ、ちょっと待ってくださーいぃ!!」

止めてーーー!!何が如何なのが分かってないのに、こんな私に相応しくない場所で私を置き去りにしないでーーーー!!

「・・・・・・・?何でしょうか?」

使用人さん、察してくださいよ!

「え、えーと・・・・・・・・・。待つって、私は何をいつまで待ったらいいのでしょうか・・・・・・・・・?」

「旦那様をです。旦那様がこちらに到着するまで待てばよろしいのです。」

だ、旦那様・・・・・・・?使用人の旦那様・・・・・・・・・・?雇い主・・・・・・・・・?ぱ、パパさんか!納得した。それが顔に出ていたようで、

「では、失礼させていただきます。」

と言って、使用人さんは退場した。て、やっぱりここに置き去りなんだね・・・・・・・!


 15分くらい経った。

「待たせちゃってゴメンね。」

やっとパパさんが登場した。

「いえ。大丈夫です・・・・・・・・。」

いや、正直大丈夫ではなかったかがこう言った。相手の気分を悪くするのは良くないからね。だからと言って、全く問題無かったというのを装うのは無理だった。だって、本当、自分の胃に穴が開きそうなくらい私とマッチしてない環境だよここ。精神的に辛かった。でも、今日って平日だったから、私が夏休みだからといて社会人であるパパさんは仕事があったはずだ。そんなパパさんに早く来いと言うのは失礼である。

「好きなものを好きなだけ頼んでいいからね。」

とパパさんはいつもの胡散臭い笑顔付きで言った。

「もちろん費用は私が持つからね。」

うん、自分で払えって言われても払える気が全くしないから助かる。

「いや・・・・・・、で、でも・・・・・・・。」

だが、わるいなーって思うことに何も変わりはない。額を考えれば当然である。

「真夜ちゃん。娘の食費を父親が払うことはごく一般的なことだよ。だから遠慮しないで。」

と言ってパパさんは私にメニューらしきものを渡した。うん。当然ですよーって感じでこう言うと思った。火室家の人間は、正しいようなことを言うが、その発言の前提が間違っているのに間違ってる前提をそのまま使い、あたかも自分は正しい、間違っていないという風に言う。今回の場合、私が娘であるとうい前提が大幅に間違っている。仮に、私がパパさんの娘だとしたらその言い分は通っている。だが、血が全く繋がっていないし書類上も他人ということになっているのが事実。こういう発言を聞くたびに、この家は大丈夫なんだろうか?と思う。

 私は今更そのことにツッコムのは諦めて(だって言ったって向こうは絶対納得しないし)、渡されたメニューを見た。・・・・・・・・・・・・・・。うん。何書いてあるのかがさっぱり分からない。これ、日本語じゃないよ。いや、日本語どころか英語でもないよ。一応、私、聖魔高校特進クラスに通う優等生の1人だからね。英語はそこそこはできる。そんな私が全く読めないんだから英語でもない。分かることは、何かアルファベットが並んでるな、ということだけ。うん、これしか分からん。理解できない。

「すみません、パパさん。これ読めません。何語かすら分かりません。」

当たり前だよ!聖魔高校は魔法学校であって国際学校ではないんだから。私は理系だからそんなグローバルな人間じゃないからね。

「じゃあ・・・・・・・、はい。」

と言って別のメニュー表を渡してきた。中を見ると・・・・・・・、うん。読める。読めるぞ!・・・・・・・・・、そりゃそうだ。だって、これ、日本語だもん。

「パパさぁん・・・・・・・!」

あるなら初めから出してくださいよー!

「フフフ。ゴメンね。ちなみに、日本語以外だと何語が読めるんだい?」

「英語以外ありません!」

「あ。英語は大丈夫なんだね。」

「はい・・・・・・・。」

パパさんは何故かうんうんと頷いている。

 結局、読めたところでその物がどんなものなのかが全く分からなかったので、パパさんにお任せした。

次話は明後日、3月1日火曜日午前7時にup

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