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190.合宿(?)11~私から私に~

祝・200部!

 さっきの事件で女湯は使用不可状態になってしまったので、部屋のお風呂で暖まり服を着た。

「真夜、終わった?」

同室者の実先輩が脱衣所の外から声をかけてきた。実先輩は尋問ルームの方には行かなかったのだ。

「あと、髪を乾かすだけです。」

と私は返事をした。

「服は着てる?」

「はい。」

「入っていい?」

「はい。・・・・・・・?」

何をするつもりなのかは不明だが、実先輩だし変なこともしないだろと思って了解した。

 実先輩は脱衣所に入って、

「髪乾かすよ。座って。」

と言った。

「え?え!?」

「良いから。」

と言って実先輩は洗面台にあったドライヤーを手に取った。しょうがないので、私は洗面台の前にあった椅子に腰掛けた。その後、実先輩は私の髪を乾かしだした。私の髪に通す先輩の手の感覚が気持ち良い。何だかよく分からないけど、良い思いをさせてもらっていことは確かだ。

「真夜」

髪を乾かしながら先輩が声をかけてきた。

「俺ってそんなに頼りない・・・・・・・・・?」

「そんなにって・・・・・・・?」

「分かってたんでしょ?お風呂で何が起きるのか。・・・・・・ゲームで知ってたから。だから、雷瀬にも分かったんだよね?」

「・・・・・・・・はい。ゲームのイベントです。」

「じゃあ、何で誰にも助けを求めなかったの?」

「そ、それは・・・・・・・・・・・・。お、乙女ゲームのイベントですよ?その意味が分かってるんですか!?」

「・・・・・・??」

流石、乙女ゲームどころかゲーム、2次元とは関わりがない人だ。いや、攻略対象ではあるんだけど・・・・・・・・・・。本人は私さえいなければそんなこと知ることも無かったはずだ。だから、全く分かっていないようだ。

「イベントって言うのは何らかの目的があって作られているんですよ。」

「・・・・・・・?」

「乙女ゲームの目的なんて1つじゃないですか。」

「・・・・・・え?何なの??」

先輩、根本的に乙女ゲームがどんなものなのか分かってないんだな。やっぱ、1本playしただけでは良さが伝わらないかぁ(※041.5話参照)。あの乙女ゲームストーリがスッカスカだし。あと、先輩が天然ってこともあるんだろうけどね(そこが良い!!)。

「好感度です。乙女ゲームのクリアー条件で1番大切なのは好感度なんですよ。」

「高感度?」

多分、私の予想が当たってればなの話だけど、〝好感度〟を〝高感度〟って取ったよね!?感じる度合い、の方で取ったよね!!?

「先輩、〝こうかんど〟ってどれくらい好かれているかどうかの方ですよ?分かってますか?」

「あ・・・・・・・・・、う、うん・・・・・・・。」

今理解したな、こりゃぁ。

「だったら・・・・・・・・・・、真夜。」

先輩がドライヤーのスイッチを切った。どうやら、髪が乾かし終わったようだ。

「だったら、俺には言ってくれてよかったはずだよ。」

「・・・・・・え?」

先輩は、先輩に背を向けていた私の頬に自分の手を添えて自分の方を向かせた。

「だって、俺、真夜のことが好きなんだよ?大好きなんだよ?恋人なんだよ?」

(だからなのに・・・・・・・・・、何で?)

私だって、実先輩のことが大大大大大・・・・・・∞・・・・・・大好きだ。だからこそ百合ちゃん(ヒロイン)、・・・・・・・・いや、他の人に取られたくない。そう思ってるのに・・・・・・・、何で?

「俺が真夜以外の人に恋するかもって?そんなことあるはず無いよ!真夜以外の人が目に入らないくらい真夜のことが好きなのに・・・・・・・・・・。目に入らない人をどうやって好きになるの?」

「でも・・・・・・・・・、それでも・・・・・・・、不安になるんです!!」

「俺以外にも見方はいたはずだよ!だったら・・・・・・・・、そう思うなら他の人に相談すれば良かったはずだよ。むしろ、忠告しなかった方がそうなる可能性が高いってゆうのは俺にも分かるんだから、真夜も分かってたはずだよね?」

「分かってましたよ!でも、私がちゃんと1人で片付けられれば問題は無いはずです!」

「確かにそだけど、真夜は1人で片付けられたこと無いでしょ!?」

「っう・・・・・・・・!で、でも・・・・・・・・・、守りたいものを自分の手で守ることの何がいけないんですか!!?」

「!!!」

実先輩がびっくりして私から手を離した。

「実先輩や、皆からしたら私を守ることが義務であることは分かってます。」

世界の再生を担う聖女、だからね私。

「でも、私は嫌なんでです。守られるだけなんて。そんなの、転生した意味が無い!前世(真弓)から何も変わってない!」

真弓(彼女)もただ守られているだけだった。病院のベットという檻に囚われ、身体弱いから、あなたのためだからと、自由を奪われ。ずっと、外の世界に憧れていた。

「やっと自由になれたのに!外の世界に出れたのに!やっと・・・・・・・、居場所を手に入れられたのに!!」

あー、もう。駄目だ。何かが爆発しそうだ。でも、真弓(自分)からしてみればと当然の結果だ。

「なのに・・・・・・・・・、何で?」

真弓()覚えて(知って)いたのは真弓(自分)の両親だけだった。でも、ここには・・・・・・・・・・、

「何で・・・・・・・、駄目なの?」

真夜()覚えて(知って)いる人は、両親意外にも、恋人や親友、友達、・・・・・・・・仲間がいる。自分を知ってくれる人の心の中に本当の〝居場所〟があることを真弓()は知っている。居場所が無かった真弓()だからこそ、その大切さを知っている。

 私の目から涙がこぼれてきた。どうやら、真弓スイッチが入ってしまったらしい。

 私はワンワン泣いた。

「真夜・・・・・・・。」

先輩は困った表情をしていた。私の様子がおかしいことを感じているみたいだ。

 いきなりこんなこと言っても、いきなりこんなことで泣いても、理解してもらえないのに、止まらなかった。


 しばらく経った。すると、部屋のドアをノックする音が。

 実先輩がドアに行き、数分後、私の元に戻ってきた。多分、なかなか私達が来ないので呼びに来たのだろう。それを実先輩は追い返したのだ。

「真夜。」

実先輩は私の名を呼び、私を抱きしめた。

次話は明日、24日日曜日午前10時にup

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