001.瞬君と私
この世界は『聖魔高校ラブラブマジカル(略してラブマジ)』という今思えばふざけた名前の乙女ゲームの世界。
私、月影真夜もそのゲームのキャラクターの一人で、その前世は佐野真弓という不治の病持ちの少女だった。真弓はその病のせいで学校にも行けなかった。勉強をして病院生活の暇をつぶすにしても、そんなのすぐに飽きてしまう。そんなときに真弓の母がラブマジを買ってきた。私が高校生になった記念だとか。真弓はそのゲームにすっかりはまり、ほかの乙女ゲームもやりこみだしたら、ネットで乙女ゲームの相談に乗るほどのゲーマー、いや、乙女ゲームマスターになっていた。
しかし、18歳になる直線の17歳の秋に病気で息を引き取った。そして、私として生まれ変わっていた。しかも真弓の記憶を持ったままで。
(元気な体でも魔法が使えるなんて夢見たい!!)
ラブマジは魔法が使える世界で、高校生活を送るゲーム。一番好きな世界、何より一番好きな女子キャラである月影真夜に転生できたのがうれしかった。
月影真夜というキャラクターはヒロインの友達で細胞活性化魔法(代表的なものは治癒魔法)の使い手で、その能力をヒロインに教えると言う話のキーとなるキャラ。清楚なかわいい少女で保険委員と言う役職が似合う。実際ゲーム内ではそうだった。
そして、真弓が真夜として小学一年生になったときだ。私はヒロインの攻略対象キャラクターである水原瞬(現在の瞬君)に出会った。もともと二人は幼馴染と言う設定だったけど、どうやってであったのかは全く公表されていなかったのでとても驚いた。なので私は瞬君の姿が目に入ると、「っあ、水原瞬だ!!」と叫んでしまったのは私の黒歴史だ。水原瞬の子供時代の姿は公表されていたのですぐにわかった。それをきっかけに瞬君と仲良くなった。
その叫んだ日が入学式で、入学して初めてにお昼休みに瞬君が、「どうして僕の名前知ってるの?」っと私に言ってきた。小さかった私はうかつにも、この世界は乙女ゲームの世界であなたはヒロインの攻略対象キャラで等、としゃべってしまった。瞬君は小さかったためうのみにした。まぁ、事実だしね・・・・・・。いくら単純な私でも秘密にすることは忘れなかった。私が「家族にも話してないの。だから二人だけの秘密だよ。」と言うと
、瞬君は笑顔で「うん!!」と返事してくれた。
今も昔も思う。瞬君が本当にいい子でよかったと。
秘密は人の絆を強くする。それ以来私達は無二の親友として生活してきた。