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172.17th My Birthday 10~経験~

 帰り道。実先輩とイチャイチャしながら帰る。そして、私の家の近くの公園により、2人でベンチに座る。

「真夜、誕生日おめでとう。これ、プレゼント。」

「ありがとうございます。開けてみてもいいですか?」

「うん。いいよ。」

許可が出たので開けることにした。中に入っていたのはネックレスだった。シルバーの金属の極細のチェーンにパールみたいな色の石が1つ通っている。

「封魔石なんだよ、それ。」

封魔石は魔力を封じるもの。魔法師本人が身につけると石が身につけた者のの魔力を吸う。逆に、石をはずすと石が吸った魔力は魔力の持ち主へと戻る。防魔道具と似ているが、防魔道具は身につけたものが受けた魔法を弾くもので、封魔石は本人の魔力を封じるものである。防魔道具は自己防衛のために誰もがつける可能性があるが、封魔石は自分の魔力が上手くコントロールできない人やまだ魔力を入れておく身体()がちゃんと出来上がっていない子供などがつけるものである。ちなみに、魔法を記録する石はこの封魔石を改良したものらしい。

「慧が言うのは、真夜の魔力はまだ増え続けているみたいなんだ。」

「え!?まだですか!?」

「うん。だから、まただるくなることがあるかもしれない。でも、まだ分割するほど魔力が増加したわけでもないんだって。分割しちゃうと、魔力の量の微調整がきかないんだ。」

「そうなんですか?」

「うん。1回分割した魔力を開放するのは、分割したときと同じように神語による魔法を使わなきゃいけないんだって。真夜はの分割した1つあたりの魔力は、一般的な魔力が強めな人が持っているくらいの量なんだ。真夜はそれを4つ持ってる。」

「人の4倍・・・・・・・・・。」

「それに加えて、表に出てる魔力がその1.7倍。真夜の身体は2倍の量までしか耐えられないから、そろそろ身体がだるくなると思う。」

「またですか・・・・・・。」

「うん。だから封魔石を付けて2倍分の量になってからまた分割した方が良いと思う。」

と言い、実先輩は不安そうにしていた私になだめるように頭をなでた。

「分かりました。これと同じように毎日付けますね。」

私の言う〝これ〟とは、腕時計型魔道具のことである。

「狙ってたとはいえ、嬉しいなぁ。」

と言いながら、嬉しそうに笑う。

「狙ってたんですか?」

「うん。あー、でも、去年は狙ってないよ。だからこそ、すごく嬉しかったんだよ。真夜が毎日付けてくれてるから。たかが先輩からのプレゼントを、さ。」

指摘されてはじめて思った。確かに、彼氏でも家族でもない異性からのプレゼントも毎日つけるなんて、・・・・・・・変だ。それこそ、「この人が好きです。」て言ってるのと同じだ。

「い、良いんですよぉ・・・・・・。」

「??」

「だって・・・・・・・・、前世(真弓)のときから実先輩のこと、好きなんですから・・・・・・・・。」

私がそう言うと、

「ま、真夜・・・・・・・・!」

実先輩はこっちが恥ずかしくなるくらい顔を真っ赤にした。私はエヘヘと笑い恥かしいのを誤魔化した。

「うーー・・・・・・・。」

「如何したんです?」

「損した・・・・・・・。」

「何をですか?」

「だって・・・・・・・、そうなら・・・・・・・・、ぐずぐずしてないでとっとと告白してれば、もっと早く真夜と恋人になれて、もっとたくさんイチャイチャできたんだよ!うー・・・・・、大損だよ。」

先輩が本気で悔しそうにしながら言う。

「先輩」

「ん・・・・・?」

「片思いのドキドキも、今思えば良い思い出ですよ。」

先輩が驚いた表情をする。

「私、・・・・・・・真弓は、ずっと病院で生活してたんです。まともに外に出られたのは幼稚園生の頃までで・・・・・・・・・、小学生になってからはずっと病院生活だったんです。だから、恋なんて前世で経験することなんて無かったんです。病院なんておじいさんおばあさんばっかりですし、死ぬちょっと前からは無菌の特別集中治療室に入れられてましたから、できなかったんです。だから、前世の記憶があるとはいえ、真夜で初めて経験したことが本当に初めてなんです。まぁ、それは恋以外のこともそうなんですけどね。ただ、前世の記憶があるがゆえに他の人より始めて経験することへの期待は大きいんですよ。そして、それが貴重な経験だということも知っているんです。特に恋への期待は大きかったんです。真弓のときから乙女ゲーム好きでしたし、乙女ゲームにはまる前から少女マンガとか好きですし。恋ってどんなものだろう?ドキドキってどんな感じなんだろう?好きな人と触れ合うのってどんな感じなんだろう?キスが甘いって本当なのかな?て・・・・・・。」

そう、それを全部くれたのが・・・・・・・・・・、

「前世では知ること無いまま死んだんです。だから、この気持ちが恋なのか全く分からなかったんです。分からないままドキドキして・・・・・・・、そのドキドキが、1番大好きなゲームキャラだからなのか、それとも恋をしているからなのか分からないまま。だから・・・・・・・、あの時間は必要なものだったんです。実先輩にではなく、私に必要な時間だったんです。ちゃんと恋だって分かったから無駄な時間ではないんです。」

恋人(実先輩)

「ずっと一緒にいたいって思うのも、触れ合っていたいのも、実先輩だけです。それを教えてくれたのは実先輩なんです。」

実先輩に出会わなければ知ることの無かった、この気持ち。

「ありがとうございます、実先輩。これからもずっと一緒にいてたくさんのことを教えてください。」

今度は、そんな先輩と一緒に育てて生きたい、成長したい。この気持ちが伝わって欲しい。

 そう思ったとき、実先輩に強く抱きしめられた。

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