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165.17th My Birthday 03~ヒロインドッキリ~

 朝の総務会の集まりが終わった後のこと。私が椅子から立とうとしたとき、

「ま、真夜ちゃん!」

「何?百合ちゃん?」

百合ちゃんが私に声をかけてきた。

「じ、実は、わ、私・・・・・・」

 ツルン

どうやら

「禿だったの!!」

次の仕掛け人は百合ちゃんなようだ。本人が言うように、ツルツルの禿頭だ。

「・・・・・!!」

いや、信じてるわけじゃないよ!ただ・・・・・、如何してこんなことしたんだろう・・・・・・・。ヒロインにプライドというものは無いんだろうか・・・・・?そこに驚いただけである。うん、それだけ。

「あ、あのね!いつもズラだから、ズラの下に物が仕舞えるの!!」

た、確かに・・・・・、髪の毛ズラを取った下である、百合ちゃんの禿頭の上には薄い紙袋が載っている。

「こ、こ、これ、あ、あげる!!」

本人も滑っていることに気付いているようだ。だって、すごく恥ずかしそうに言ってるもん。

「・・・・・・・あ、ありがとう。開けて良い?」

「うん・・・・・・。」

本人的には、少しでも早く禿ズラを取りたいところだろう。しかし、後ろの他の総務会メンバー(ギャラリー)のためにも、もう少しの間被らせておこう。うん、笑いは大切だよ。あと、ギャラリーさん達。笑いを堪えようとしてるみたいだけど、全然堪えられてませんよー。確かにこの滑りぶりは大変面白いですがねぇ、いっそのこと大笑いした方が本人のためじゃない?

 紙袋を開けると、ハンカチが出てきた。まぁ、ズラの下に隠すには薄いものじゃなくちゃ駄目だし、誕生日プレゼントの定番だもんね。ハンカチの隅っこには、かわいい鳥さんが刺繍されていた。女の子らしいセレクトだ。

「うわー、かわいい鳥さんだねー。ありがとう!」

「ど、どういたしまして・・・・・・。」

そろそろツッコムかぁ。

「えーと・・・・・、百合ちゃん。」

「な、何かなぁ・・・・・・。」

何かな、と言いながらも、言いたいことは分かってるよね、うん。

「その禿ネタは自分で発案したの?」

「え、えーと・・・・・・・。」

百合ちゃんは目を泳がせた。言って良いのかどうか困っているようだ。そのことで、誰かの指示であることは鈍感な私にさえも丸分かりしてしまう状態だ。

「あ、言っても大丈夫だよ。むしろ、それを待ってるぐらいだと思うよその人。私の考えが合ってれば。」

と、言うか、99.9%の確率で合ってるだろう。

「そ、そうなんだぁ・・・・・・。えーと、土田君が・・・・・・。」

やっぱり奴か。笑いを堪えるどころか、堪えきれずに瞬君に横から抱きついて瞬君の二の腕に顔を埋めて、せめて笑い声が聞こえないように無駄な頑張りをしてるあの馬鹿か。

「鬘を用意したのは、火室先輩。」

やっぱり奴か。「どうだ!騙されたか!俺の用意は完璧だ!!」とドヤ顔をしている、あの一般常識が無いアホか。騙されるどころか、騙される人間なんていない、と一言言ってやりたい。後で、文句を言うこと決定だ。

「よくやる気になってね。・・・・・あ、1回取って良いよ、ズラ。頭、蒸れちゃうでしょ?」

「うん。・・・・・・・私、何を仕掛けたら良いのか分からなくって・・・・・・・。そうしたら、この案が出て・・・・・・・・。あ、あのー、もう声を出して笑って良いですよ、皆さん。」

と百合ちゃんが言うと、少しは遠慮しろよ!、というくらい皆大笑い。もちろん、そう思っても私の大爆笑。ヤバイ。笑いすぎて椅子から落ちそうだ。

 しばらくノーブレスで笑った後、呼吸を整えてから、

「百合ちゃん、もう1回禿ズラ被ってぇ。」

と私が言った。百合ちゃんは被ってくれた。私は百合ちゃんの禿ヅラ姿を写メった。

「ま、真夜ちゃん!!?」

禿ヅラを取りながら、写メられたことに百合ちゃんは慌てた。

「それ如何するの!?」

「えー?ちょっとライライに見せようかと。」

と私が言うと、後ろから「真夜ちゃん、ナイス!」という声が。土田だな。

「だ、駄目!恥ずかしいよぅ・・・・・・・・。」

百合ちゃんが真っ赤になりながら言う。うん、かわいいかわいい。かわいいよ、ヒロイン。ヒロインだからこそ、様になるよね!目の保養のために、こちらの表情も写メる。


 うーん・・・・・・・、これは・・・・・・、イベントと呼んで良いんだろうか・・・・・・・・?しいて言うなら・・・・・・・・・、ヒロインイメージダウンイベント?しかも、攻略対象者が自らやったよ。

 あー、面白かった!

次話は明後日、13日木曜日午前7時にup


 明日12日水曜日、午前7時に『Emotion~from:学園ラブアンドファンタジーをやってみたin乙女ゲーム~』の2話目をupします。

 真夜と水原が出会います。

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