150.お兄ちゃんの追及1~理由~
体育祭前の週末。私は相変わらず、ベットに横になりダラダラスタイルで乙女ゲームをplayしていた。
そんな中扉が開く音がした。
「おい、真夜。」
「・・・・・・・・・。」
「真夜。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「おい、ま」
「ちょっと、静かにしててください、お兄ちゃん。」
当然のごとく、乙女(?)の部屋に入るのは止めてくれ。
私はゲームをセーブした。
「お兄ちゃん、そんなところに座らなくても私は逃げませんよ。自分の部屋なんですから。」
お兄ちゃんが座り込んだのは部屋の扉の真前。お兄ちゃんは私が逃げると思ったのでそんなところに座り込んでいるのだ。用件が予想できている私はお兄ちゃんのほうを向いて、ベットに腰掛けた。
「で、用件は?」
知ってはいるものの、自分から言うのはおかしいので相手に用件を聞く。それに、私がこの言葉を言わない限りお兄ちゃんは口を開かない。
私の表情で、用件が分かっていることを理解したお兄ちゃんは、
「単刀直入に言うぞ。」
と言った。
「何で俺のことを避けてるんだ?」
「あー、やっぱり、そのことですか。」
「あのときから明さまに避けられていて聞かないわけ無いだろ。」
そう、真実を知ったあの日から。私はお兄ちゃんを避けていた。
「そんなに丸分かりでしたか?」
「お前がそういうのが上手いはずないだろ。」
できるだけ、目を合わせないようにしたりとか、お兄ちゃんが遊びに来る昼休みは1組にいないで隣の2組で過ごしたりしていた。
「それはひどくないですか?」
「ひどくない。自分に不向きどころか、できないことをするお前が悪い。」
「不向きまでは納得しますけど、できないことは無いと思いますよ。」
「簡単な嘘ですらつけないお前にできろわけないだろ。現に、感づかれてる時点で失敗だ。」
ヤベー、否定できねー。
「理由は分かってる。だが、どうして俺だけなんだ?」
そこまで分かってましたか。成長しましたなぁ、お兄ちゃん。まぁ、避けては通れない問題だし。むしろこのときを待っていた。お兄ちゃんだってそれを分かっている。学校ではできない話で、私がお兄ちゃんがここに来ることを待っていたことを。だから行動したのだ。
「何でだと思いますか?」
「分からないから聞いてるんだろうが。・・・・・・・・て、追い出しはしないんだな。」
「今更、追い出すなんて。」
何回も無許可でオタクの部屋に入りやがって、今更何言ってるんだ。
「追い出されなかったから、今、言うけどな、実には許可を取ってるからそこらへんは心配いらん。」
「そこまで、手を打ってたんですか・・・・・・・。」
いや、そこまで頭が回ったなら、何でオタクの部屋に無許可で入って来るんだよ!?そっちの方が問題あるよ!色々な意味で呆れて、ため息を吐いた。
「何だ、その文句言いたげな顔は・・・・・・・。」
「お兄ちゃんに言ったて無駄なので言いません。」
と私が返すと、お兄ちゃんが拗ねだした。
(めんどくせーな、おい。)
今までそれで私が言って、理解できたためしがなかったため、勝手に拗ねだした。
私以外の乙女(いや、ゆかりんも除く)が見たら、かなり萌える光景であっただろう。だが、基本、実先輩以外の男にときめかない私にとっては、めんどくさいことこの上ない。だてに、この人の妹ではないんだよ。
いつもだったら、弄くる(70%)かご機嫌取りをする(30%)かするのだが、今はしない。
「まぁ、とりあえず、扉の前に座るのやめてくれませんか?」
私が追い出してるみたいで嫌だ、と言うのが理由なのだがご機嫌取りになってしまったらしい、お兄ちゃんはすね顔を止めた。そして、お兄ちゃんは勉強机ではないほうの机に肘をついて座った。私を見て返答を要求してきた。
私はため息をついたあと、
「・・・・・・・・・ぁったからです。」
と言った。
「?」
「使ったからです、乙女ゲームの知識を。――――お兄ちゃんにだけ。」
流石にお兄ちゃんは固まった。
次話は明後日、18日土曜日午前10時にup




