013.女帝
その後、私たちは警察に事情聴衆を受けた後、帰宅することになった。悪いことをしたわけではないので親に連絡されることはなかった。先輩に送っていくと言われ、私は遠慮していいですよといったら、「いいから」vs「大丈夫です」の言い合いになった。最後に「送っていかないと月影先輩に殺されそうだから俺のためにも送らせてくれ。」と言われたので私が白旗を上げた。まぁ、いやだから断っていたわけではないしね。
「・・・・・・・魔元素が見えるってすごいな・・・・・。」
「っえ?」
「あの時見えなかったら、力を一点に絞って押し切るなんてできなかったよ。見えていたからこそできたことだよ、あれは。感じているだけならあの倍以上の面積に力を当てないと思ったところに効果を出せないんだよ。少し、外れていることがあるから。」
そんなに難しいんだ、焦点を合わせるのって。私の場合、人間より精密に魔元素を操れる精霊にコントロールは任せているから全く分からない。何せ、精霊自身が魔元素なのだから。
細胞活性化魔法の方は、攻撃するときは基本自分の体を強化するのに使うし、治癒魔法なんかは自分の体にいいものだから防魔法具が魔法をはじく前に本能的に体に取り込むから関係がないのだ。
「まぁ、それでもきつかったけどな。・・・・・・・・っあ、そうだ。さっき、真夜、自分が月影先輩の妹だって知ってるのかって聞いたよな?」
「はい。」
「そのことは2,3年生の総務会メンバーは全員知ってるよ。」
「あぁ、そうだったんですか。」
「ちなみにそれだけじゃない。誕生日から好きなものや嫌いなもの、君がどんな人間なのかも2,3年生の総務会メンバーは知ってるんだよ。」
「っえ!?」
「総務会の中では有名人なんだよ。なにせ、女帝の異名を持つ月影風紀委員長が溺愛してる妹とだからな。」
「女帝の異名って・・・・・・・・」
「あぁ、なんか総務会に女の子が入ると2つ名をつけるのが聖魔の裏の伝統なんだよ。歴代の先輩にすごい女の生徒会長がいたんだって。そっからきてるって聞いたことがある。で、月影先輩についた2つ名が〝破壊の女帝" なんだ。そのうち真夜にもつくと思うよ。・・・・・まぁ、恥ずかしいかもしれないけど伝とだから我慢して。」
破壊の女帝ってコワ!!何をやったんだ、お姉ちゃん!!
「で、その女帝が何かあるとすぐに『真夜がー、真夜がー』って言うもんだから、個人情報が駄々漏れなんだ。」
(お、お姉ちゃん・・・・・・・!!)
何やってんのーーーーーー!!
そして、my homeが目の前になると、ドカドカという音が家からする。
「真夜ちゃん!?」
「真夜!!」
瞬君と、女帝、・・・・・じゃなくてお姉ちゃんの声が聞こえる。窓から私が帰ってきたのが見えたようで、出迎えてくれたようだ。瞬君が風天先輩を視界に入れたとたん先輩を睨みつける。先輩は、お姉ちゃんを視界に入れると青ざめた。いったいどんな恐怖心を植えてきられたの!?まぁ、会うとかわいそうな気がしたので、「ここでいいですよ。」と言うと先輩は素直に帰っていった。やはり、お姉ちゃんいにかやまれるはいやだったようだ。ちなみに瞬君、ずっとおねえちゃんに見張られていたらしい。トイレに行くだくだけですら苦労するくらい厳重に。瞬君、見張らなきゃいけないような悪いことしないと思うけどなぁ。
次の日、私は生徒会室に行くと風天先輩とともに理事長質に呼び出しをくらった。理事長室には理事長先生はもちろん、校長先生、教頭先生、生徒指導の先生、私に担任の先生、先輩の担任の先生と言う面々がそろっていた。そして、生徒指導の先生が口を開く。
「2人ともわかっていると思いますが、2人を呼んだのは昨日の事件のことを聞くためです。まず、1人1人、何が起きて何を下にか詳しく話してください。」
風天先輩が話してから私が話した。その後、「よくやったと言いたいところだが、危険なことはするな。」と先生方全員にいわれた。そんなに何回もいわなくてもわかるのに・・・・・・・。
この事件のことは全国的にはマイナーな事件となったが、この地方の新聞やニュースでは大きく取り上げられた。とはいっても私たちはは未成年なので「聖魔高校の風の魔元素魔法師と精霊魔法師の男女2人」と書かれたので該当者はばれていないと思った。が、風の魔元素魔法師は風天先輩しかいないのでばれてしまった。先輩顔に何かと出やすいんだよ。まぁ、私ほどではないのだが。精霊魔法師のほうははじめは金島先輩だと思われたらしいが、男女2人と書かれていたので、あれれ?、となった。でも、精霊魔法師は金島先輩1人だと思われていたらしい。
そしてまた次の日教室に入り教室にいた瞬君に「お帰り」と言われたので、手を振って答えた。その手の手首には精霊魔法師用の魔道具がついていた。それをたまたま見た生徒が「っあ!!」と声をあげた。例に事件の精霊魔法師が私だとばれた瞬間だった。