012.犯人が凍った
(・・・・・・求めなさい。精霊に助けを求めなさい・・・・・・・・。)
それだけ聞こえ時が動き出した。
(今は、これに頼るしかない・・・・・・・・・・!)
そう思った私は、
「助けて!!精霊さん!!」
と叫んだ。その後、風が真っ直ぐ一点に向かって吹いた。そして、カチャンと大きな音を立てて犯人の体から何か落ちた。それは何か金属だった。そのことに犯人が攻撃を中止し、固まる。様子からこれが防魔法魔道具だと推測できる。本当に落ちたものが防魔法魔道具だとしたら魔法が効くようになる。
「〝われと契約し精霊よ、その力を解放せよ!水姫!!" 」
すかさず私は水姫姉さんを実体で呼び出し、頭の中で指示を出した。本実体の契約している精霊にはこれで指示が通る。水姫姉さんは私の指示通り、犯人の下半身と腕から手を凍らせ犯人の動きを封じた。やはり落ちたものは防魔法魔道具だったようだ。もう大丈夫だと判断した先輩は、魔法を解き床に座り込んだ。私は水姫姉さんをチャームに戻す。水姫姉さんは仮実体となり、『大丈夫ですか、真夜ちゃん?』と心配する目を向け聞いてきたので、私は「大丈夫だよ。」と返す。すると、1人の小人が現れた。若い、いや、幼く小さい男の子だった。
「君だ助けてくれたの?」
私が問う。
『うん。・・・・・・僕のこと、見えるの?』
と小人は返す。
「うん、見えてるよ。さっきは助けてくれてありがとう。」
と私が笑顔で言うと、
『えへへぇ。』
と小人はうれしそうに照れる。
「君は、どうして、魔道具が、あった中、魔法が、使え、たんだ・・・・・・・?」
先輩が小人に聞く。かなり疲れているようで言葉が途切れ途切れだし、呼吸が荒い。
『僕が誰にも使役されてないからだよぉ。使役されてないから魔法と違うのー。自然の力に近いのー。』
なるほどー。魔法と言う人工的なものではなく自然のものなんだね!!と私が納得していると、小人は水姫さんを見てうなりよっしと何かを決めた。
『ねえねえー、お姉ちゃん』
お、お姉ちゃん!?と私がかわいい小人に萌えていると、小人はフヨフヨと私の前に来た。
『僕に名前をちょうだーい!!』
「私と契約するってこと?」
『うん。そこの精霊のお姉ちゃんを見てて、人間といるのも楽しそうだなぁって思ったの!ねぇ、ダメェ?』
とかわいく小首をかしげる。マスコットぽくて、かわいい!!これはぜひとも契約させていただきましょう!
「そだなぁ・・・・・・・、うーん・・・・・・、風太ってどう?」
先に言っておきますが、某レッサーパンダをパクッタわけではありません。
『・・・・・・・・?』
ヤバイ!!立つレサーパンダから来たと思われたのか!?
「き、君の名前だよ。」
と言ってごまかす。だか、精霊はうれしそうな顔をする。よかった。ただ分かってなかっただけかぁ。
『うん。僕は風太。マスターの役に立つことを約束しまーす!!』
そう言うと風太君は黄緑色の宝石がはまったチャームになった。わたしが空いているほうの手を広げるとその上にぽとりと落ちた。・・・・・・・ん?空いている方の手?って・・・・・・・
「あぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!す、すみませんーーーーー!!」
私は、今頃になって先輩と手を繋ぎぱなしであったことに気がついた。なのであわてて謝りながら手を離す。
「いや、いいって。触れてないと見えなかったんだろう?」
現にもう黄緑色のきれいな粒は見えなくなっている。
「俺も、契約するところ初めて見られたし。」
と先輩は笑顔で言う。私は二つのチャームををブレスレットにつける。
「っあ、先輩。治癒魔法かけましょうか。」
「治癒魔法って・・・・・・・・、魔力も回復できるタイプなのか!?」
治癒魔法には体の傷や病気を治すタイプと、魔力を回復するタイプがある。私の場合はどちらも使える。
「えぇ、そうですよ。」
「いや、君だって魔力を消費しているはずだろう?だから・・・・・・・」
「大丈夫ですよ。魔元素を見るのにはあんまり魔力は消費しませんし、水魔法も見字え尾魔法で消化したのではなくそこらへんにあった飲み物に使役可能な魔元素をいくつか加えて動かして凍らせただけですから。入試の日は、水を召喚してから操ったので倒れてしまったんです。操るときより召喚するときのほうが魔力を消費するんです。」
やっぱりたくさんの魔元素をあつ集めなければならない召喚は大変だ。
何を言っても気を使っていいと言いそうなので勝手に治癒魔法をかける。
「・・・・・・・・ありがとう。」
治癒魔法をかけ終わると、優しい笑顔が返ってきた。