110.クレーンゲーム
「えーと・・・・・・・、植幸君。それのどこがダメなの?」
「?・・・・・・・・、おじいちゃんが、男の子はかわいいものダメ、って・・・・・・。」
あー、脳内古いわー、硬いわー。おじいちゃん。
「それで、怒られると思ったんだ?」
「うん。」
植幸君はこくんとうなずいた。
「でも、植幸君はそれでもやってたんだよね、かわいいもの集め。隠れて?」
「うん・・・・。」
「取ったやつ、どこに隠してたの?」
「畳の下に隠したり・・・・・、おばあちゃんの部屋に置いたり・・・・・・・」
「と言うことは、おばあさんはかわいいもの集めにOKしてくれてるんだ。」
「うん。」
「ならいいんじゃない?」
「え!??」
「変だと思わないよ、私は。むしろ、1回であんなに取れてすごいな、って思うよ。ね、お兄ちゃん。」
「あぁ、そうだな。」
お兄ちゃんが言葉を発すると、植幸君がビクンとなる。おいおい、そこまでおびえなくても・・・・。
「ちなみにお兄ちゃんだと、後で挑戦しよう、と思ってると思うよ。」
「っう!!」
図星か、お兄ちゃんよ。
「で、たぶんできなくて、本心では悔しいのに、『ちょっと手を抜いただけだ!!』とか言って、ツンツンしながらやって日が暮れるんだよ。負けず嫌いのツンツン野郎だから。」
「で、出来ないとは限らないだろ!!」
「出来るはずありませんよ。筋金入りのゲーマーである私ですら、クレーンゲームでのアイテム獲得は3回目ぐらいに1,2個取れるぐらいの世界なんですから。ゲーマーではないお兄ちゃんには無理です、不可能です。」
「お前、よくもそこまで言うな!」
「だって、これは妹の特権でしょ?それに、お兄ちゃんは変にカッコウつけようとしない方がいいと思いますよ。いっつも言ってますけど。」
「・・・・・っ。」
「私は、ちょっとかっこ悪いおにいちゃんであるときの先輩の方が好きですよ。」
「っ~~!お、お前は・・・・・!!」
お兄ちゃんは顔を真っ赤にさせる。自分で言っといて、不意打ちすぎたかな、と思った。だけど、思ってたことをそのまま口にしただけだぞ。それに考えてみれば、妹がお兄ちゃんを好きなのは一般常識的に考えて当然だろ。うん、別に変じゃない。
「まぁ、植幸君。人間かっこ悪いところあるものだし」
うん、お兄ちゃんがとてつもなくいい例だ。
「それを隠しすぎるとお兄ちゃんみたいに、人前で素になれなくて苦労するんだよ。」
「おい、勝手に悪い例にだすな。」
「いやー、ちょうどよかったもので。まぁ、それは置いといて。」
「おい!」
「人に合わせることも大切だけど、隠しすぎてもつらいでしょ?だから、ある程度のことは特徴として残した方がいいと思うよ。」
「特徴・・・・・・・。」
「ちなみに、植幸君みたいにかわいいものが好きな人もこの世の中いるんだよ。オトメンって言うの。植幸君って女の子に見えるからそういうの持ってても違和感無いからそういう人達からしてみれば羨ましいと思うよ。」
「お前・・・・・、貶してるのか?褒めてるのか?」
「?褒めてますよ?ちなみに、植幸君みたいに男の子なのに女の子にしか見えない男の子のことを男娘と書いて男の娘言うんだよ♪」
「男の娘・・・・・。」
「真夜、本当に、お前はそれでフォローしてるつもりなのか・・・・・!?」
「はい、もちろん。かわいいじゃないですか男の娘。お兄ちゃんもマコちゃんとか植幸君のことかわいくて仕方がないくせに。」
「っう!!」
その後、3人で仲良くクレーンゲームをして遊んだ。案の定、お兄ちゃんが全然出来ないのでここぞとばかりにグサグサ言ってやりました(*^▽^)/
次話は明日、10日午前10時にup




