093.りんばぁ
着きました、青森。青森にはちゃんと来た理由がる。とある山奥に行くためである。先輩が駅にあった観光案内所でその山への行き方を聞いている間、私は外で待っていた。すると、たくさんのリンゴを持ったおばあさんがいた。青森と言えばリンゴだよね、と思いながら見ていると、おばあさんがリンゴを落としかけ、そのことに気付いていない。私は強化魔法を使って体を強化し、スライディングセーフでリンゴを地面に着く前に救助した。
「おばあさん、リンゴ落ち、・・・・・・てませんけど落としかけましたよ!」
「おや、またやってしまったよ。ありがとう、お嬢さん。」
おばあさんは私からリンゴを受け取った。
「おばあさんの家はここの近くですか?よろしかったら持ちますけど・・・・・?」
うん、この量は1人で持つ量じゃないよ。
「そうしてもらいたんだけどねぇ、私の家は山のふもとでここから遠いんだよ。だから」
「その山って、○○山ですか?」
「そうじゃが」
「あ!なら大丈夫ですよ。私たちもちょうどそこに用があるので持っていけます。」
「おや。」
「連れがいるので少し待ってってもらえますか?」
数分後風天先輩が来た。おばあさんを見て「な、何が起きた!?」と言う顔をしている。
「あ、先輩!こちら、リンゴおばあちゃん、略してりんばぁです。お家が○○山のふもとだと言うので、リンゴを持ってあげましょう。これで、迷わないで○○山にたどり着けます!」
「あ、あぁ・・・・・・・・、よ、よかった、な・・・・・・・・・。」
どうやら、りんばぁがもっているリンゴの量にあっけをとられているようだ。先輩は驚きながらもリンゴをいくつか受け取った。仲良く(?)3人でリンゴを持って歩く。
りんばぁは息子さん夫婦と一緒にアップルパイやっているそうだ。リンゴが切れてしまったのでりんばぁは買出しをしてたそうだ。でもこの量、若い男の人でも1人で持てない量だよね。今までどうやって持っていたのか謎である。山のふもとまで行くバスもあるそうだが、昼間はほとんど出ていなく、なんとかぎりぎり歩けなくはない距離ではないのでバスを待ってるより歩いた方が早いとのこと。
歩いて40分ぐらいのこと、りんばぁが
「ありがとう、お2人さん。私の家はここだよ。そうだ!せっかくだからアップルパイをご馳走しよう。」
わーい!糖分だー!!
りんばぁのアップルパイ屋さんは木の小屋だった。
「お、お母さん!!」
多分、りんばぁの義娘さんだろう。30歳前後といったところだろうか。
「よく帰ってきましたぁ!」
「この若いお2人さんに手伝ってもらってねぇ。アップルパイをご馳走したいんだが。」
「またですか・・・・・・・、お母さん。」
義娘さんの言葉から、りんばぁがいつも無理して大量のリンゴを持っていることが分かる。
「お母さんがお世話になりました。」
義娘さんが私たちに言う。
「たいした物は出せませんが、お昼時なのでアップルパイと一緒に昼食もどうぞ。」
「「ありがとうございます。」」
席に案内された。今から作るので少し時間がかかるそうだ。
「お昼代、浮いちゃいましたね!」
「リンゴ、持っただけなのにいいのかなぁ・・・・・?」
席にあったメニュー表を見る。アップルパイだけじゃなく軽食も置いているようだ。お客さんも入ってきてるし、何か悪い時間に来ちゃったかも・・・・・・。
しばらくするとサンドイッチが出てきた。
「さぁ、召し上がれ。」
りんばぁがそう言うと、お客さんの1人が、
「またりんばぁは1人で大量のリンゴを持とうとしたのかい?」
「あれくらい普通だよ。」
「それは若いときの話だろ?」
「わ、若いときはあれが普通だったんですか!?」
私は思わずそういってしまった。お客さんは
「そうなんだよ。りんばぁが若いときは1回に持つリンゴの量でりんばぁにかなうものはいなかったんだよ。リンゴに関しては力持ちなんだよ、りんばぁは。強化魔法の一種らしいぞ。ほら、山奥にあるだろう?聖魔大の、・・・・・・・何とか格闘学部。りんばぁはそこの1期生なんだ。」
「え!?じゃあ、お姉ちゃんの先輩!?」
「え!?君のお姉さん、格闘学部なの!?」
「はい。今日はお姉ちゃんに会いに来たんです。」
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