091.寝ようか
前半は風天視点、後半は第3者視点
仲居さんが布団をひいてくれたが、その布団はぴったりくってけられていた。
「は、離そうか・・・・・・・・・・。」
「はい・・・・・・・・・。」
さっきのことさえなければ、本当は隣で寝顔を眺めたかった。まだ9時が彼女が朝風呂にはいるために早起きをするというので寝ることになった。朝、誰もいない時間に行って広いお風呂で泳いだり混浴露天風呂に入ったりしたいそうだ。子供か!!とつっ込みたかったが、1人風呂に大はしゃぎしてる彼女が目に浮かび、その姿があまりにかわいかったにで思わず笑ってしまいそうになった。朝、起きるのは得意なのかと聞いたら、
「苦手ですよ。お布団のぬくぬくは巨大な敵です。でも、精霊と契約してからは、精霊に起こしてもらっているので大丈夫です。精霊は眠らないらしいですし、他の人には起こす声が聞こえないのでとてもありがたいです。先輩だって、風太君以外の声は聞こえないでしょ?風太君には静かにしてるように言っておきますから。」
と返ってきた。だが、俺も行くからと言い風太に起こしてもらうことにした。
布団に入り、少しだけ寝顔を眺めようかな、と思っていたら、さっきのことがフラッシュバックした。そ、そうだよ、俺、さっき、真夜のほっぺたにキスしちゃったんだよ!!またドキドキしてきた。恥ずかしがってギュッと目をつぶる彼女があまりにかわいくて、思わずしてしまった。また頭より体が先走ってしまった。本当は口がよかったが、そこは何とか理性がもった。
彼女が好きな漫画みたいな決定的瞬間はないが、彼女の性格としぐさのかわいさで自然と好きになった少女。俺は彼女に近づき寝顔を覗く。もちろん、抱きしめたいくらいかわいかった。恋人になったら、頬だけじゃなくて口にもキスをさせてくれるのだろうか。無防備に眠る君を抱きしめさせてくれるのだろうか。
「好きだよ・・・・・・、大好きだよ、真夜。」
安らかに眠る彼女の耳元で言った。起きていれば彼女のことだからびっくりしてあわてると思うが、ただ少し笑ったように見えただけなので、確実に寝ている。眠る彼女には言えるのに。あふれ出しそうなくらい彼女のことが好きなのに。言えない俺は本当にヘタレだ。それ以前に、あと7日持つのだろうか。
現在11時。火室と土田は10時半には布団に入った。
「ねぇー、先輩。」
「・・・・・・・。」
「ねぇー。」
「・・・・・・・・・・・。」
「起きてるなら、返事してよー。」
「!!?何で分かった!?」
「え?俺だから(≧▽≦)」
「(イラッ)」
「ねぇ、先輩。」
「・・・・・・・・。」
「何で真夜ちゃんのこと好きなの?」
「・・・・・・・・、大事だから。」
「あー、うん、分かった。言い換える。何で大事なの?」
「妹だから。」
「何で妹なの?」
「大事だから。」
「って、それ、エンドレスループじゃん!!」
「お前こそ、しつこい!!」
2人ともガバッと起きる。
「・・・・・・・・、お前は何が言いたいんだ・・・・・・?」
「べつに先輩がが真夜ちゃんに恋をしてるかなんて疑ってないよ。そんなの見てて分かるし。むしろ、そうだから聞いてるわけだし。ただ、どうやったらただの大事な人になるのかなって。」
「・・・・・・・ふられたからか?」
「うん、まぁ、そんなとこ。いや、すぐに切り替える気はないんだけど、いつかは切り替えなきゃダメでしょ?でもどうやって切り替えたら、ねぇ?」
「別に思えらは告白してもそういう風に見えなかったから、別にそのまんまでもお前以外に被害はないと思うぞ。」
「っう!今、かなりグサッてきたよ、刺さったよ!」
「勝手に刺さってろ!!」
「っうっう、そんなこと言わないでくださいよー!たまには先輩らしくアドバイスしてくださいー。」
「たまにはとはなんだ!たまのはとは!!」
「だって、先輩って所詮本質はお兄ちゃんだし」
「お前がお兄ちゃん言うな!!かなりイラッとくる!」
「そんなー!俺、先輩のこと結構好きなのにー!!」
「お前・・・・・・・・。前々から思っていたが、お前、気持ち悪いやつだな!」
「ひどい!俺はどっかの誰かさんと違って素直に思ったことを言っただけなのに・・・・・・!!」
「っう・・・・・!・・・・・・・・・・まぁ、でも、そのまんまで良いじゃないか?」
「え?」
「あの2人のことを祝福してやれば自然と大事になると思うぞ。」
そう言って、火室は布団に入って、土田に背を向け寝てしまった。土田その背に向かって、
「ありあがとう、火室先輩。おやすみ~。」
と言って、布団に入った。