7話 男子寮
夏休みまであと少し!
楽しみですね~!
「ねぇ、空君」
「ん?」
「これが、男子寮?」
「そうだぞ!俺、この寮のデザイン結構気に入ってんだ!」
「へ、へ~」
「普通だと赤と青って感じの色が多いし、しかも汗臭い。ここだと、黒と白で統一してて、かっこいいし、すんごい清潔なんだ~」
「設備がしっかりしてるんだね・・・」
えっと、俺の記憶が正しければ、これ、俺と、妹の凛華と武器の皆で遊びで描いたヤツなんだけど・・・いや、でも流石にそれはない・・・・よね?
「流石!理事長と校長だよな!」
「あ・・・」
忘れてた。この学園造ったのおじい様とお父様だっていうこと・・・
そういえば昔、おじい様に遊んで描いたのを見せたら「お前等天才じゃ!流石ワシの孫!これ、造ってもいいか?」って言ったような気がする・・・。まぁさ、確かにそのとき「ほんとに?ありがとう、おじい様!」って言って喜んだ気がするけど。まさか、本当だったとは・・・でも、おじい様のことだし・・・
「どうした?伊阿?」
「え!ううん、なんでもないよ。
それより鍵がかかってるみたいなんだけど・・・入り方教えてくれないかな?」
「わかった!まずは、カードキーをここに入れて、そしたら暗証番号を入力する。番号はカードキーの裏に書いてるから」
「あ!本当だ」
「じゃあ、実際にやってみるぞ」
空君は、校舎に入るときと同じように、すばやく操作した。けど、あれ?武器は?
「あれ?空君、コウとケイが喧嘩したときに武器が必要って言ってたけど、空君、武器出さなかったよね」
「よく気付いたな!生徒会だとすんげ――――長い暗証番号入力すればいいんだ!」
「生徒会って大変なんだね」
「まーそうだけど、憧れてたから。あんまり苦じゃないかな」
「そうなんだ」
「まぁな!さ!伊阿、んなことより、ちゃっちゃとやっちまおうぜ!たぶん一般生徒の方も憶えてると思う」
「たぶん・・・」
「だ、大丈夫だって!えっと、確か・・・カードキーを入れて、暗証番号入力して・・・そこのカメラに、自分の顔と武器の顔と本来の姿を写せば入れる・・・はず」
「そこ」といって指差すと、小型カメラがあった。これで顔を写すんだよね・・・たぶん。
「校舎の方も?」
「そうだぞ!」
「まぁ、まず、やってみる。
えっと、最初にカードキーをいれて・・・」
カードキーを入れたとたんピピッと音がした。画面が『暗証番号を入力してください』とでた。
「暗証番号は・・・・っと」
入力すると、カメラのシステムが作動した。画面には、自分が移ってる。ちょっと、照れる・・・
「そこら辺、押せばシャッターなるから」
おおざっぱな説明を聞いて、自分の顔をさっさと撮って、コウとケイの顔と本来の姿を撮ると、寮のドアが開いた。
「おっ!開いた!よかった~、当たってるか不安だったんだ~」
「そのわりには、適切な説明だったよ」
「そうか!ありがとな/////」
「こちらこそ、ありがとう」
「お、おい。空、前に見える、お、女は、誰・・・だ?」
「え?」
ケイが震えながら指をさして言った。まったく、いつも人のことは、指をさしたら失礼だって言ってるのに・・・・って、あれ?水月さん?
「あら、君が伊阿君ね!」
あ、サインしてる。えっと、確かこのサインは・・・『あ・わ・せ・て』か。コウとケイに言っとかなきゃ。すでに、顔色が悪くなってるし・・・
(コウ、ケイ、水月さんが他人のフリをするから。俺も全力で他人のフリをするから、お前達は黙ってて)
((言われなくても、それしか選択肢が無いから!))
「なに話してるんだ?」
「べつに気にすることじゃないよ」
「そうか!じゃあ、この人のこと説明するぞ!」
「うん。お願い」
「この人は、寮長の水月さん。みっつーって呼んでる」
「よろしくね!できれば「水月さん」って呼んでね」
「はい。よろしくお願いします。水月さん!」
「え~~、何で―――?せっかく考えてあげたのにー」
「伊阿君には「水月さん」って呼ばれたいの!」
「なにそれー?」
「はいはい、もういいでしょ。
伊阿君の部屋は、4階のこの部屋よ」
寮の内部地図で説明してくれた。やっぱり水月さん、説明上手だな~。流石、お父様の秘書!
「各階の説明は空君に聞いてね。任せたわよ、空君!」
「おう!任せてくれ!」
「頼もしいわね!じゃあ、私は、他の仕事があるけど、寮長室にいるから!なにかあったらいつでも言ってね!それじゃ、またね!」
「みっつー、バイバイ!」
「ありがとうございました」
微妙な終わり方になってしまいました・・・