6話 説教
クッキーを作りました。
ちょっと水分が多かったけどおいしかったです!
職員室に向かう途中、空君が、こんなことを聞いてきた。
「校長、どんな感じだった?」
う~ん、これはつまり自分の親を褒めればいいのかな?
「えっと・・・、かっこよかったな~。あと、優しかったかな」
「だよな!あのかっこよさで38歳だぜ!すげーよなー」
本当だよね・・・なんで、あんなに若々しいんだろ?不思議すぎてちょっと怖い・・・
「えっ!あの校長先生38歳だったの?25歳くらいだと思ってた・・・」
流石に今のはちょっと棒読みだったかな・・・
「俺も最初入学したときびっくりした!」
気付いてないならいっか・・・・
「あ!ねぇ空君、俺の担任の先生ってどんな人?」
「お前のクラスどこ?やっぱ、Bクラス?」
「正解!Bクラスになったんだ!」
「うっしっ!ってBクラスの担任か・・・確か、高ジュンだったと思うけど・・・」
「高ジュン??」
「そう!高ジュン!または、ジュンジュン、ジュンちゃん」
「へ、へ~・・・その高ジュン先生って一言で言うと?」
「脱力系!!」
「だ、脱力系?」
「なんつーか、こう、ボケーっとしてたり、なんかダラーってしてたり」
なんでその人、教師続けてられるんだろう?
「でも、高ジュンって、結構良い先生なんだ!学園の中の優しい先生ランキングTOP3には絶対入る!」
「あれ?結構、良い先生なんだ」
「わからないとこあると、わかるまで教えてくれるし、教え方も上手いし!結果があーだ、こーだ言わないし!」
「結果って?」
「Sクラスの担任っていっつも結果!結果!結果!もう耳にタコができるっつーの!」
「へ~、Sクラスの人達って大変なんだね」
「しょうがないんだけどな。
お!着いたぞ!」
わー、ガラス張りで中の様子が見えるようになってるー。
「う~んと、ウチの担任は・・・よしっ、いないな!」
「どうして空君の担任の先生のこと気にするの?」
「ウチの担任がいると校長室みたいに硬くなっちゃうんだよ。いつもの感じだとすごく長い説教受けるんだよ」
「うわー、本当に真面目なんだねー」
「イヤになるよな~。
さぁ、入るぞ~!!」
「ちょ、ちょっと」
そういって空君はノックも無しに職員室の中に入っていた。俺と、ケイ、コウもまとめて引っ張って。
「高ジュンいる~?」
職員室はコーヒーのいい香りが漂っている。
「うるせーよ、空。黙れ~。他の先生方に迷惑だろーが」
奥の方から、すんごい気の抜けた声がした。
「あっ!高ジュン発見!」
「だから、うるせーって言ってんだろ」
どうやらこの人が高ジュン?先生らしい・・・。確かに空君の言ったとおり、脱力系って感じだ・・・
「ん?誰だ、お前達?」
高ジュン先生が俺とコウとケイに指をさして言ってきた。
「転入生の新堂伊阿です。Bクラスになりました。よろしくお願いします。こっちの2人は武器のコウとケイです」
「あれ?そんな連絡されてねーけど。
あと、お前「新堂」ってまさか、あの・・・」
「違うってさ!俺も聞いたけど違うって!な?伊阿!」
「う、うん。
それより、連絡されてないって・・・」
そ、そんな、お父様が忘れてるなんて、ありえない!万が一忘れたとしても、あの水月さんがいるのに!
「高ジュン、どーせメールとか全然見てねーんだろ?」
「そうだけど」
「はい?」
メールを見てないって、大事な連絡とかだったらどうするんだよ!この人!
「高ジュン先生・・・・」
「ん?なんだ?転入生」
「メールを見ないってどういう神経ですか!もしかしたらそのメールに呼び出しがあって、その話がもしリストラとか転勤とかの話だったらどうするんですか!もし、そのまま、呼び出しメールを見ず、今のままのうのうと暮らしていくとしたらどうするんですか!恥ずかしくないんですか!」
職員室にいた、教師全員が頷いてる。
「た、確かにそれはイヤかな・・・」
「当たり前です!それがイヤなら今後、メールなどの連絡物はこまめに確認するようにしなさい!よろしいですね!」
「は、はい・・・」
「伊阿、すげー」
何をいってるんだか・・・人として当然だというのに・・・拍手までしなくていいのに。まわりの先生方まで・・・
「高ジュン、先生なのに、伊阿の方が先生ぽかった!」
先生?先生=年上・・・・え?
ヤ、ヤバイ!先生ってこと忘れて説教しちゃったよ・・・ああ、ヤバイ!ヤバイ!とにかく謝らないと!
「あ、あのぉ・・・」
「ん?」
「すいませんでしたっ!」
「はい?」
「先生だという事を忘れていました!年上の方だというのに、とんだ無礼を!なんとお詫びすればいいか!本当にすいませんでした!」
「「え―――――!?」」
空君、そんなに驚かなくても・・・高ジュン先生も・・・。まぁ、無理も無いよね。さっきまで偉そうに説教してた人間が急に謝ってくるんだから・・・。図々しいよね・・・
「顔上げてくれよ!元はと言えば俺が悪いんだし!」
「高ジュン先生・・・。あなたはなんてすばらしい教師なんでしょうか!」
「は、はは・・・。とにかく、明日からよろしくな!伊阿!コウ、ケイ!」
「はい!こちらこそ、よろしくお願いします」
「んじゃっ!高ジュン、またな!」
「おう!」
俺達は、職員室を出て行った。
「高ジュン先生って良い人だね」
「だろっ!!まっ、お前みたいに高ジュンに説教したヤツなんて前代未聞だけどな」
「うっ・・・」
「高ジュンの連絡を確認しないのは皆困ってたから、いいんじゃねーの」
「そうかな・・・」
「そうだって!それに敬語の説教って始めてみた!なんか、本物って感じした」
「興奮すると、つい・・・」
「すげ~」
「は、ははは・・・」
お父様とお母様に似ちゃったんだよな・・・
「えっと、次いく所は・・・」
「寮だぞ!」
「あ!そっか!ありがとう」
「案内役なんだから、気軽に聞いてくれよ!」
「そうだったね」
「よしっ!じゃあ、行くか!」
次回予告します!
水月さんが再び登場!
そして、部屋であったのは・・・
って感じです。