5話 幸せを願って
コウ君とケイ君の違いがわからなくなるときがありますが、適当に当てはめちゃって大丈夫です。
ドアノブに手をかけたとき、あることを思い出した。
コウとケイだ。
お父様と水月さんと話してて忘れてた・・・
あ、でもコウとケイも水月さんのこと・・・・
「コウ~、ケイ~、もう水月さんもういないよ~」
「「本当か!!」」
コウとケイは壷や天井から出てきた。あの一瞬でどうやって隠れたんだろう・・・
「本当だよ。なんでコウとケイは水月さんのこと苦手なの?あんなに仕事熱心でいい人なのに・・・」
「アイツは「いい人」という仮面をつけてる、大魔王なんだよ!あと、苦手とかじゃなくて嫌いなの!」
「ま、まぁ、確かに、大魔王様って言うのはわからない気もしないけど・・・コウ、水月さん、いいところもあるよ!」
「伊阿、俺等は、あの女にどんな思いをさせられたかわかってるのか?」
「えっと・・・、確かコウとケイが苦手な理数系と音楽関係の教育を受けたんだよね?苦手なことが無くなってよかったじゃん」
「そういう問題じゃないんだっ!あの女・・・できなかったら、俺の嫌いな食べ物を食べさせたり、ケイと外見が似てた頃に戻すって脅してきたんだ・・・」
「俺もコウと同じだ。それに、俺は、音酔いしてぶっ倒れた記憶がある」
「で、でも、そのおかげで、苦手なことが無くなって、ケイなんて特に見た目通りの完璧な武器になったんだし・・・
あ!ほ、ほら!もうこんな時間!空君待たせてるんだから速く行こ!ね?」
さっきの水月さんを見るとちょっと言い返ししづらい・・・。
無理やりでも話題を変えよう。
「まぁ、確かにあの女の話はもうやめよう」
「コウ、今回はお前の意見に同意しよう。あの女の話をしても、辛かった思い出しか出てこない」
俺等もそういいながら校長室を出た。
「おっ!遅かったな、なんかあったのか?」
「え?ちょっと校長先生からいただいた、紅茶が美味しかったから、味わってたんだ」
「確かに!校長の入れた紅茶ってすんげーうまいよなー」
「校長先生が入れてたんだ!」
「俺も意外だった。
でも、なんかいろいろやってそうだよな、あの人」
うん。めちゃくちゃ、いろいろやってるよ、あの人は・・・。俺もだけどね!
「鍵も貰ったし、次は職員室に行って、担任と顔合わせな!顔合わせだけで、授業は明日からだから!」
「わかった」
「よしっ、んじゃあ、行くか!」
「うん」
「そういえば、コウもケイもなんか顔色悪くないか?体調がよくないなら・・・」
「え!あ・・・き、気のせいだよ!ね?コウ、ケイ元気だよね!」
「あ、あぁ」
「平気だ」
「ほらっ!」
「そうか?ま、元気ならいいか!」
俺等は、職員室の方向に向かった。
廊下 side凱
「校長、伊阿君流石ですね」
水月と廊下を歩いていると、そんなことを言われた。
「なにがだい?」
「空君のこと、会って間もないというのに、彼の洞察力を見抜くなんて・・・」
「ああ、でも、昔ならもっといろいろなことを探り出せただろうね」
「・・・・・そうですね」
昔、家族、いや、親戚や使用人達までもがショックを受けた事件が起きた。でも、1番ショックを受けたのは伊阿、お前だったね・・・。お前がここまで立ち直ることができたんだ、この学園を楽しく過ごしほしい。不幸になった分、ずっと、ずっと幸せでいてほしい。それが、親である私の願いだから・・・
「伊阿、楽しんでもらえるかな?おじい様と一緒に造った、この学園・・・」
「校長・・・・きっと伊阿君は幸せになります!私たち使用人が全力でサポートしますから!」
「ふふっ、ありがとう」
伊阿、幸せになってほしい。けど、それは叶わない。これから、苦しいことや、辛いことが待ち受けている。そんなこと、わかってる。それでも・・・その倍に楽しんで、楽しんで、楽しんでってね。
凱さんの親として、息子の大切さが伝わりましたでしょうか?
伝わったなら、マジでありがとうございます!
伝わらなかったら、この低い文章力なのでしょうがないですね・・・