10話 水月さんに会いに行こう!
宿題が・・・宿題が終わらない!!
あー、おじい様のことすっかり忘れてた・・・怒られちゃうよね・・・
よしっ、もーいろいろ考えたって怒られるんだから、さっさと行こ!
「ねー、玲?理事長室ってどこ?」
「寮の8階だけど・・・なにか用事でも?」
「おじい様に『学園に着いたら、渡す物があるから来なさい』って言われてたの忘れてて・・・」
「そうなんだ・・・でも、理事長室には行けないと思う」
「な、なんで!?」
ウソ―――!?ヤバイよ、それ!なんで!?
こうなったら、お父様に連絡して・・・
「理事長室に行くには、特別なカードを使わないと、行けないんだよ。エレベーターの中に、カードの差込口とか、押せないボタンとかなかった?」
「階段で上ってきたから、わかんない!」
「そっか・・・
とにかく、そのカードを持ってる人に借りなきゃね」
「誰が持ってるか、わかるの?」
「もちろん!だって4人しかいないもん!」
「え?」
「1人は、理事長の竜大さん。2人目は、校長の凱さん。3人目が、凱さんの秘書の水月さん。まぁ、ここまでは、伊阿の考えてた範囲内の人達だと思う」
「うん。そりゃあ、身内なんだし・・・」
「じゃあ、問題。もう1人は誰でしょう?」
「う~ん・・・」
誰だろう?まず、信頼されてないとダメだよね。つまり、学園を守れるくらいに強い人とか・・・ん?まてよ、空君が確か「大将任されてんだ!」って言ってたよな・・・それに、学園の中で強いヤツ等だけが生徒会になれるって・・・じゃあ、1番強いのは会長さん?
「生徒会長・・・とか?」
「正解!!流石、伊阿!」
マジですか!おじい様にも、信頼されてるって、かなり、強いんだろーなー
「お父様は会議があるって言ってたし・・・となると、カードを借りれるのは・・・水月さん!」
「伊阿!武器を連れて行かないと!」
「あぁ、そっか!コイツ等、寝てるし、ピアス型でいっか!ついでに寮の案内もお願い!」
「喜んで、30代目!」
「その呼び方、やめてって言ってるでしょ。それに、俺はまだ、新堂家30代目になってないんだから!」
「いーじゃん!どーせ、将来なるんだし!」
「そーだけど・・・」
「30代目になっても、俺と親友でいてね?」
「はいはい、もちろんですとも」
そりゃあ、捨て犬みたいな目で見られたらね・・・「はい」って言うしかないでしょ。
とにかく、水月さんに、カード借りに行かなきゃ!
伊阿君は正直、玲君に甘いんです。
そして、玲君はそんな伊阿君の使い方をわかっていると思います。