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プロローグ―1 出発の夕日

 ――うえ……にうえ……。


 俺の腹の上で何かがモゾモゾとうごめいている。


「……んぅ。もう朝か……」


「兄上、起きるでござるよー」


「あぁ、リラ……。起こしてくれてありがとな……」


 クロはリラに揺さぶられながら何とか応答する。


「いえいえ。クロ・アストル様の忠実なる下僕しもべである私になんでもお申し付けを……」


下僕しもべって……。お前は俺の妹だろ」


「あ、そうだった。うっかり」


 リラは自分のおでこを右手でペチンと叩いた。


 俺、クロ・アストルと妹のリラ・アストルは、街外れの丘の上にある小さな小屋で細々と暮らしていた。親の顔は知らない。物心がつく頃には俺たちの前には居てくれていなかった。


 俺たちを育ててくれたのは親代わりのじいちゃんだった。そのじいちゃんも2年ほど前に死んじまったけど。


 俺は左右の山積みになった書物と腹に乗っかっている妹を退けてゆっくりと起き上がった。


 ペタンと座り込むリラの白髪を優しく撫でた。


「さて、ごめんなリラ。ちょっくら行ってくる。しばらく戻らないかもな」


「うむ。気を付けて行ってこい」


 俺の妹は能天気でテンションがおかしい。今日もいつも通りで安心する。


「俺が留守の間、地下のこの本たち、守っといてくれよ」


「合点承知之助。まあでもすぐに帰ってくることになるんじゃない? てか早く行け」


「あー。まあ、そうかもな。まったく……」


 寝起きのせいで妹のテンションについていけないのが悔やまれる。


 階段をのぼり、地下室から出ると、窓から差し込んだ赤い夕日が部屋を照らしていた。

 クロは前日に準備していた大きな袋を担いで外に出る。


「じいちゃん。行ってくるよ」


 俺は家を出て丘を下る。振り返るとリラが家の前で両手指ピースをチョキチョキさせている。


 俺は少し微笑み、手を振りながら歩を進めた。

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