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オーガウオーズ  作者: 堕天の翼のあさぼらけ


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第5話 真実

 桃兵衛ももべえたち一行は、浜辺にたどり着く。

 沖合に見える島が鬼ヶ島だ。

 数年前、一夜にして突如現れた鬼が住む島。

 村人たちの恐怖の対象となってる島だ。


 この島を恐れて、漁に出る者は少ない。

 鬼ヶ島が怖くても、漁に出ないと生活は出来ない。

 桃兵衛は近くで野良作業している漁師に話しかける。

 桃兵衛の話しかけた漁師は、女性だった。


 編み笠を目ぶかに被り、額の突起を隠すその女性の肌は、日に焼けて赤くなった感じだった。


 ポチもエテも、この娘は普通の人間ではないと、すぐに気づく。

 だけど普通に話しかける桃兵衛に、何も言えなかった。


「この辺りの漁師さんですか。実はあの鬼ヶ島に行きたいので、船をお借りしたい。」

「ほー、お兄さん、そんな格好して何しに行くんです?」

「ちょっと確かめたい事がありまして。」

「確かめたい事?」

「はい。あの島に住む鬼は、何者なのか。何が目的で村を襲っているのか。それを確かめたいのです。」


「わん、」

「うきゃ、」

 鬼退治に行くと思ってたポチとエテが驚く。

「どしたん?」

 人と鬼との区別がつかないスミスは、2匹の対応の意味が分からなかった。


「確かめる?」

「はい。俺のお爺さんが言うには、鬼にも何か事情があるかもって事でして。」

「で、それを確かめた後で、鬼を斬るんですか。その刀で。」

「まさか。」

 桃兵衛は刀を肩幅ほど、抜いてみせる。

「この刀には、刃引き処理がされてます。斬れませんよ、この刀では。」

「はっはっは。」

 漁師の娘は笑いだす。

「交渉の切り札をいきなり見せるとはな。」

「いけませんか。」

「いやなに。爺さんの言う事をそのまま信じるその純心さ。残虐なピーチクッパーの血を引いてるとは思えなくてな。」

「ぴーちく、?」

「まあよい。案内してやるから、ついてこい。」


 漁師の娘は、桃兵衛たちを舟に乗せる。

 エンジンで進むこの舟を、漁師の娘は水神様の加護のおかげと説明する。


 鬼ヶ島の崖の一部が開かれ、桃兵衛たちを乗せた舟が中に入る。

「着いたぜ。おまえが会いたい鬼の総大将とやらは、この通路の先の部屋で待ってるからな。」

「分かった。連れてきてくれて、ありがとう。」

 桃兵衛は漁師の娘に礼を言うと、その通路を歩きだす。


「だんな。気をつけてくださいよ。」

「ポチの言う通りですぜ。見られてる感じはするのに、気配は全く感じませんぜ。」

 ポチもエテも、辺りを警戒する。

「空が見えないんじゃあ、あっしも斥候に行けまへんなぁ。」

 スミスはポチの背中で羽を休める。


 その通路の先の部屋に、桃兵衛たちは入る。

 中にはひとりの大男が待っていた。

 額にふたつの突起があり、全身の皮膚は日に焼けたように赤く、軍服に身を包んでいる。

「来たか。ピーチクッパーの忌み子よ。」

「うー、」

「うきー、」

 口を開いた鬼の総大将に、ポチもエテも警戒心を露わにする。

 桃兵衛はそんな二匹を制する。


「鬼の総大将とお見受けする。あなたに見せたい物がございます。」

 桃兵衛は懐から、爺さんから預かった手紙を取り出す。

 鬼の総大将は手にした光線銃をしまい、その手紙を受け取る。

「ふ、いきなり襲いかかってくるかもと、思ってたんだがな。」


 鬼の総大将は、受け取った手紙をぱら見する。


 それは桃兵衛の本当の両親が遺した手紙。

 母国語のピーチクッパーの言語ではなく、侵略して滅ぼされたマルィージオの言語で書かれていた。

 その内容はすでに、鬼の総大将は見ていた。

 桃兵衛たちにつけてた監視衛星で。

 爺さんの後悔も知ったが、ピーチクッパーの血を引く桃兵衛の行動は、警戒していた。


 侵略者の気配を見せない桃兵衛に、鬼の総大将も全てを話す。


 自分たちは宇宙の侵略者、ピーチクッパー星の追っ手から逃れてきた事。

 その存在をこの星の人間に伝えに行った娘が、爺さんに斬られた事。

 そして桃兵衛は、ピーチクッパーからの亡命者の子である事を。


 鬼の総大将、いや総司令は、桃兵衛の決意をうながす。

 この星は桃兵衛の居る場所ではない。一緒に宇宙へ行かないかと。

 きび団子で強化された家来たちも、この星の生命のことわりから外れ、宇宙に行くしかない。


 桃兵衛は決意する。

 この星を離れる事を。

 そんな桃兵衛の前に、先ほどの漁師の娘が、着飾って登場。

 桃兵衛が天神さまの子と思われてるなら、それを迎えに来た天女がいるべきだろうと。


 鬼ヶ島と呼ばれてた戦艦は、ステルス機能を発揮して、その姿を消して浮上する。


 爺さんの家の前に、桃兵衛と天女の姿をした娘が降り立つ。

 その天女の娘が、自分が斬った鬼の娘だと、お爺さんは気づく。

 天女の娘はにこりと微笑んで、お爺さんを許す。


 桃兵衛は鬼ヶ島の脅威は去り、自分も天に帰ると言い残し、爺さんと婆さんに別れを告げる。


 桃兵衛と天女の娘を拾った戦艦は、自分たちを受け入れてくれる星を探しに、宇宙へと飛び立った。

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