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月の森の物語  作者: 喜多彌耶子
三日月の夜に
8/11

夜空に、まるで空を引っかいた爪あとのような月が昇る頃。


森の妖精たちは、どこかそわそわと落ち着かないそぶりで、ひそひそ話。


新緑の若葉の衣装がいいかしら。

いえいえ、咲き初めの薔薇のドレスに勝るものはないわ。


どこか楽しげに、若い妖精達の声は、ひめやかに森にひっそりと響いていきます。


そう。


三日月の夜は、月に一度の森の会合。


そして。


他の森の妖精達とも出会える、恋の時でもあるのです。


朔の月の後、穏やかに森を照らし始める三日月の光の中で。

きらきら、きらきら、小さな光を振りまきながら、妖精たちは支度に大忙し。


薔薇の花びらを重ねた、ふんわりしたドレス。


新緑の柔らかな葉を薄くたなびかせた、きりりと美しいドレス。


どのドレスも、森の美しい恵みをうけて、それはそれは綺麗に輝きます。


お互いのドレスを見比べては、嬉しそうに微笑んで。見交わす視線は、これからの出会いを思ってか、きらきらと輝いています。




そんな妖精達のくすくすと楽しそうな笑い声の中、一人外れた所で、ひっそりとその様子を伺う、小さな妖精がいました。



「いいな、いいな。お姉さまがたは」


ぽつり、と、呟かれた言葉は、うらやましさと寂しさでいっぱい。

ひっそりと物影から、けれど、目は他の妖精達の姿に釘付けです。


綺麗なドレスに、綺麗な髪飾り。


あこがれるけれど、まだ小さな妖精であるアイラには、会合に参加できる資格はないのです。


会合に参加できるのは、うまれてから5つの満月を超えてから。


アイラは、まだ4つの満月をやっとすごしたばかりの、幼い妖精でした。



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