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月の森の物語  作者: 喜多彌耶子
望月の夜に
3/11

ゆったり、ゆらゆらと光とともに妖精達が進む先を、ゆっくりゆっくりと追いかけます。


茂った草はちょうど背丈がラーニャより少しだけ高くて、ラーニャの姿を隠してくれます。


そっとその影から見詰める先、妖精達がたどりついたのは、美しく淡い緑に輝く階段と、その上には素晴らしい玉座。

周りは花々に満ち溢れ、かぐわしい香りが一面に満ち溢れていました。


ここは、どこだろう?


ラーニャは首を傾げながら、おばあさんから聞いたことがあるような気がして、一生懸命考えます。


考えている間も、妖精たちは作業を続けているようです。


妖精たちは汲んできた水を、大きな葉っぱの中に丁寧に流しいれています。


次々に妖精達が流しいれた水は、やがて大きな葉っぱいっぱいに満ち溢れました。


そうすると、今度は綺麗な紅色の衣装を着け薄紅色に輝く光をまとった妖精が、しずしずと出てきました。


ふわりと漂う香り。これは薔薇の香りです。


どうやら彼女達は薔薇の妖精らしく、器へ向けてひらひらと、薔薇の花びらを散らし始めました。


薔薇の香りが漂う中、大きな葉っぱの器の中には、はらはらと薔薇の花びらが舞い踊ります。


薔薇の妖精たちは、やがて貴婦人のような礼をすると、しずしずと後ろへと下がりました。


と。


当たりに涼やかな鈴の音が響いて。


今までの光とは少し違う、清廉にて暖かな光が、あたりを満たし始めました。


やがて、玉座の奥、緑の褥から、ゆったりと美しい、他の妖精たちよりは少しだけ大きな美しい妖精が現れました。

美しい妖精は、穏やかな笑みを浮かべて、ゆったりと歩を進めます。


あたりからは綺麗な鈴の音と、かぐわしい花の香り、美しい光と魂ごと見せられてしまいそうなほどに、見惚れてしまいました。


ああ、そうだ。


ラーニャは思い出しました。


そうだ、あれは妖精の女王様。


満月の夜はそう、女王の浄化の日。






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