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ゆったり、ゆらゆらと光とともに妖精達が進む先を、ゆっくりゆっくりと追いかけます。
茂った草はちょうど背丈がラーニャより少しだけ高くて、ラーニャの姿を隠してくれます。
そっとその影から見詰める先、妖精達がたどりついたのは、美しく淡い緑に輝く階段と、その上には素晴らしい玉座。
周りは花々に満ち溢れ、かぐわしい香りが一面に満ち溢れていました。
ここは、どこだろう?
ラーニャは首を傾げながら、おばあさんから聞いたことがあるような気がして、一生懸命考えます。
考えている間も、妖精たちは作業を続けているようです。
妖精たちは汲んできた水を、大きな葉っぱの中に丁寧に流しいれています。
次々に妖精達が流しいれた水は、やがて大きな葉っぱいっぱいに満ち溢れました。
そうすると、今度は綺麗な紅色の衣装を着け薄紅色に輝く光をまとった妖精が、しずしずと出てきました。
ふわりと漂う香り。これは薔薇の香りです。
どうやら彼女達は薔薇の妖精らしく、器へ向けてひらひらと、薔薇の花びらを散らし始めました。
薔薇の香りが漂う中、大きな葉っぱの器の中には、はらはらと薔薇の花びらが舞い踊ります。
薔薇の妖精たちは、やがて貴婦人のような礼をすると、しずしずと後ろへと下がりました。
と。
当たりに涼やかな鈴の音が響いて。
今までの光とは少し違う、清廉にて暖かな光が、あたりを満たし始めました。
やがて、玉座の奥、緑の褥から、ゆったりと美しい、他の妖精たちよりは少しだけ大きな美しい妖精が現れました。
美しい妖精は、穏やかな笑みを浮かべて、ゆったりと歩を進めます。
あたりからは綺麗な鈴の音と、かぐわしい花の香り、美しい光と魂ごと見せられてしまいそうなほどに、見惚れてしまいました。
ああ、そうだ。
ラーニャは思い出しました。
そうだ、あれは妖精の女王様。
満月の夜はそう、女王の浄化の日。