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ラーニャがじっと視線を凝らす先、良くみればそれは小さな虫のよう。
ちらちらとそれが羽ばたくたびに、光の粉が舞い散ってゆきます。
そのあまりにも綺麗な光に、小さく感嘆のため息を漏らしながら、ラーニャがよくよく目を凝らしてみれば、それはとても小さな妖精でした。
さらさらと光と共に流れる髪をたなびかせ、ほんのラーニャの親指くらいのサイズの妖精が、かわいらしい器を手に手に持って、次第に集まってきました。
どんどんと集まるうちに、それはまるで光が集まってくるようで、あたりがうっすらと今まで以上に明るくなります。
その光が集まると、やがてその小さな妖精達は、一斉に同じ方向へと、飛びはじめました。
どこにいくんだろう。
ラーニャは好奇心をおさえきれずに、じっと視線を凝らします。
どきどきと心臓がなって、目をキラキラと輝かせながら、妖精達を驚かせないようにじっとそこにうずくまって、じっとじっと目を凝らします。
視線の先で妖精達は、まるで光の帯のようになりながら、森の奥へと進みます。
ラーニャは、そっと、後をついていきました。
光の帯のたどりついた先は、まるで鏡のように美しい湖でした。
きらきらと光を反射し、まるで夢のよう。
うっとりとラーニャが見惚れていると、妖精達は、せっせと何かをしています。
良くみると、妖精達は小さな小さな器一杯に満月の映る湖の水を、汲んでいるではないですか。
せっせと汲みあげては、思いのか、ゆらりゆらりと揺らぎながら、妖精たちは汲んだ水を運びます。
何をしているんだろう。何に使うんだろう。
光に誘われるまま、ラーニャは妖精達の一部始終をじっと見守りました。