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月の森の物語  作者: 喜多彌耶子
三日月の夜に
10/11


その三日月の夜から、周りのお姉さまたちは、アイラのことを心配します。


アイラがおかしいのです。


どこかうっとりとしたり、哀しそうだったり。かとおもうと浮かれたように微笑んだり。


アイラに年の近い子たちは、顔を見合わせて心配そうに囁きあいます。

けれど、ずっと年上のお姉さまたちは、どこか訳知り顔に微笑むのです。


――気におしでないよ。

――大丈夫、三日月の魔力にかかっただけのことさ。


そう――実際、アイラは、自分がなにかの魔法に掛かってしまったのだろうと、そう思っていました。


あの、三日月の夜のことを想いだすと、どきどきして、胸がきゅうっとなって、切なくて嬉しくて――どうしようもないのです。


どうしてそんな気持ちになるのか、アイラにはわかりません。


わからないけれど――どこか、こころがほっこりと、暖かくなるのです。

暖かくって、幸せで――とても切なくって、涙がこぼれてしまうのです。


アイラは、ほろほろと涙を流しました。


哀しいだけの涙ではありません。


その涙は、暖かく、甘く――そして少しだけ苦い、大人になるための、涙でした。


それが「恋」だと気づくのは、まだあと少し先のこと。


彼女が5つ目の満月を超えた、その次の三日月の夜のこと。


再び、その銀色の髪に飴色の髪の彼と出会う、そのときまで。







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