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月の森の物語  作者: 喜多彌耶子
望月の夜に
1/11

私達のすむ、この場所から、遠く遠くは慣れたあるところに。

小さな小さな、森がありました。


小さな小さな森の中には、木々が生い茂り、花が咲き、水が流れ、豊かな緑が満ち。

小さな小さな森の中には、いくつかの小さな、素朴な家が並び立ち、人間がほんの少しだけ、住んでいました。




森の真ん中には、大きな気がありました。

大きな木は、森を護るようにあり、生き物達はその木の元で、寄り添うように生活していました。



夜になると、毎日その木の上に、ゆらりとお月さまがかかります。

丸い形、弓の形。日々その形を変えながらも、どれも同じく地上へと光を届けてくれました。



森の中の小さな家には、ラーニャという小さな女の子が住んでいました。


ラーニャはおばあさんと二人暮し。お母さんは小さな頃になくなってしまい、お父さんは遠くの街で働いています。ラーニャはこの森に住むおばあさんに預けられて、毎日を過ごしていました。


ラーニャのお気に入りは、夜の散歩でした。

おばあさんに、暗い夜は出かけてはダメ、明るい夜に近くだけならいいよ、と、いわれていたので、月明かりの明るい今夜は、絶好のお散歩日よりです。


ラーニャは、のんびりと、森の中を歩いていました。


ラーニャは不思議な子どもでした。


森の中に住む人は少ないので、子供自体も多くありません。

その少ない子供の中でも、ラーニャは、どこか不思議な力を持って生まれてきていました。

特別何ができるとか、魔法が使えるとか、そういうものではありません。


幼い子供だからか、少しだけ、特別に目がよくて、特別に耳がいいのです。


護りの木をみあげれば、まんまるなお月さまが、空に浮かんでいます。


おばあさんはいいました。


満月の夜には、不思議な不思議なでき事が起こるんだよ。


ラーニャは、木々の隙間から月の光があたりを照らす中、じっと目を凝らしてみました。


――と。


視界の端を、何かが動いてゆきます。


ああ、ほら。

今夜も早速、不思議なことが始まったようです。

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