09 狙われた理由
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オスカーの話によると、オスカー自身は王位に就くことには全く興味がないそうだ。
法王に仕える立場である聖騎士になったのも、自分は王位を望んでいないということを示すためだったという。
小国のナタール王国の王子は本来は他国へと留学に行き、見聞を広めるものらしいが、オスカーは留学には行かずに聖騎士になった。
留学先の国の王族や上級貴族と懇意になって他国の後ろ盾がある他の兄弟とは違うし、そもそもが四番目の王子ということもあって王位からは遠いはずだった。
それなのに、第一王子から命を狙われたという。
「どうして暗殺を指示したのが第一王子だってわかるのさ? 直接手をかけようとしたのは仲間の聖騎士なんでしょう?」
「あの日、私に魔物討伐を指示した上官も、一緒に森に入った聖騎士たちも第一王子であるジョン兄上を支持する家の者だったからな」
「それは、前もって、危ないとは思わなかったの?」
「ジョン兄上を支持する家の者が揃いすぎだとは思ったけれど、父上も若くないから、王子の中の誰が王位に就くかを考え、貴族たちはそれぞれ派閥に属している」
「聖騎士になるのは貴族の家を継がない者だから、結局はお兄さんたちの誰かの派閥の者と一緒になるということか……」
「そういうことだ。留学も行かずに早々に聖騎士になった私が王位を継ぐことはないとわかっているから、私を支持する貴族の家はないしね」
「オスカーを支持する貴族がいないなら、ますますオスカーがどうして第一王子から命を狙われたのかわからないんだけど?」
ちなみに、王はまだ誰のことも王太子とは決めていないらしい。
「んー」と、オスカーは少し唸って考える。
「ジョン兄上が私と同母の妹に求婚したのだが、妹はそれを断ったんだ」
求婚という言葉のあたりでもう僕の背中はゾワっと寒気がした。
「断った後も諦めてくれないようで妹が困っていたから、妹を私の婚約者の元に預けたんだ。それが原因かな?」
「その男、キッモいな!!!」
思わず、前世の感覚で言ってしまった。
妹さんがオスカーと同母という言い方をしたということは、おそらく第一王子の母親とオスカーと妹さんの母親は違うのだろう。
両親が全く一緒でも血を保つために親族同士で結婚するという国もあるし、両親の片方が違うなら法的にも問題なく結婚を認めている国もある。
だから、僕が前世の兄弟姉妹では結婚できないし、そもそも恋愛対象としないという感覚で発言してはいけなかった。
それに、第一王子に対してしていい発言じゃなかった。
ここに第一王子がいたら確実に不敬罪で即極刑だっただろう。
「す、すみません……王族に対して、失礼な発言をしました」
一応、目の前の王族代表に謝ってみた。
しかし、オスカーは機嫌の良い笑顔で言った。
「私も同じことを思っていたから問題ない!」
まぁ、そうだよね。
自分の兄から同母の妹がそういう目で見られてるとか……そもそも断ってるのにしつこい男とか……いや、本当、寒気走るくらいキモいと思う。
「でも、好きな女の子を隠されたくらいで暗殺とかする? 妹さんに知られたら確実に嫌われるよ」
「王侯貴族に愛のない結婚なんて溢れているじゃないか?」
「気持ちがなくても自分のものにしたいとか本当にキモいな……あ、ごめん」
オスカーが僕を罰する気はなさそうだとわかったらつい……
クックックッとオスカーは愉快そうに笑いながら言った。
「そうだな、あと、思い当たる節があるとすれば、私が法王に気に入られている程度のことだろうか?」
「それだよ!!!」
思わず大きな声が出た。
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