第八話:ある意味天才的料理
今回、新キャラ出ます。
不意打ちの犯人は、僕達と同じ位の年の少女だった。リリアに質問をしたみたいだ。
「キックに対する謝罪はないんですか?」
リリアの笑顔が今までにないほど怖い。
「いいじゃない、そんな護衛の魔族」
「違う、僕は一般人だよ」
「!!!!!」
少女は物凄くびっくりしている。
(何で?何もおかしい事は言っていないよな。一般人としか……!………人ってカミングアウトしちゃったじゃん)
そういえばこの世界では人間はおとぎ話の中の生き物だった。
「本当に…本当に人間なの?」
最初の質問も忘れて聞いてきた。
「う…うん、人間」
「へえ~実在したんだ」
「あなたは何なんですか?」
リリアが不機嫌そうに割って入った。
「私はハース王国守備部隊第3部隊隊長サリー・シルフィードよ」
「私はシャルマージ王国大使リリア・シャルマージです」
「えっと…僕は日本国中学2年生霧山裕詫」
僕のはさておき、それぞれの自己紹介が終わった。
「私はこれからハース王国までリリアさんの護衛を務めさせてもらいます」
「よろしくお願いします」
そして、僕達は食料だけを購入して町を出た。
「そう言えば、何でサリーの種族は何なの?」
見たところ、テーデンのように羽が生えていたりはしていない様だけど。
「エルフよ」
「エルフ?」
「精霊って事ですよ」
「そうなんだ」
そんな会話をしながら、山を昇っていると
「ブガアアアアアアアア」
イノシシ+サイみたいな魔物が現れた。
「大地の聖霊よ、森の樹木よ、我が杖にその力を宿せ」
イノシシ+サイの魔物が何かする前にサリーが僕らの前に出て、いつの間にか取りだした杖に光を集めて杖を振るった。
「ギャイイイイイイイイイ」
衝撃波と言うより、距離を無視した一撃のように見えた一撃がイノシシ+サイにヒットし、そのまま吹き飛んで行った。
「強いねサリー」
「これでも、隊長なんで」
サリーの実力が分かった所で、ようやくハース王国の王城らしい城が見えてきた。と言っても山のほぼ頂上近くからの景色なので距離は結構ある。
「ユウタ、あなたは 何なの?」
「何なの?って僕は僕だけど」
「そうじゃなくて位置よ、リリアさんの護衛扱いでいいの?それとも一般魔族扱い?」
「そういえば、どうなの?」
「さあ、分かりません」
「………」×3
3人でしばらく悩んだ末僕はリリアの特別護衛扱いとなり、その夜僕らは山で野宿する事になった。
僕は今プロの料理人が作ったの?と質問したくなるほど素晴らしい料理を前にしている。
僕にはそんな技術はないし、もちろんリリアにも不可能。つまりこの素晴らしい料理をつくったのは……
「どう?」
サリーだ。
凄い自信満々にこっちを見ている。
「美味しそう」
「ですね」
そして、一口食べる。
「………味がしない」
「無味ですね」
「え?」
一切味がしなかった。
(サリーの料理の腕は……?)
美味しくも不味くもない料理を食べ、僕らは眠りに就いた。
まだまだ、ハース王国への道は遠いです。