第三十一話:立ち上がる勇気
ついに今回!ユウタが復活するのか!?
「どうして…」
どうして、僕はこうなっちゃったんだろう。僕は……いなくなった方がいいのかな?僕を1番信頼している魔族に失望されて、この世界から……
「ユウタ君」
「リリア」
その時不意にドアが開いてリリアが部屋に入ってきた。そして、僕の手を取り隣に座った。不思議と、あの光景が蘇ることも、怖くて怖くて溜まらなくなることも無かった。
「ユウタ君、お願いです。また魔物の軍勢が王都に来て、この城にも来ています……みんなを助けてください」
「ダメだよ……僕は…1人で立ち上がる勇気もない臆病者なんだ。だから僕なんか見捨ててよ…」
そう言いつつも僕はリリアの手を離さなかった。その手だけは、離せなかった。
リリアはそんな僕の手を握ったまま、言葉をかけてくれた。
「ユウタ君が1人で立てないなら、私が支えます。それに見捨てるなんてできませんよ。だって……私は……」
リリアは顔を真っ赤にして、僕の方を真っ直ぐに見て笑顔で言った。
「ユウタ君が大好きですから」
その笑顔に心臓がいつもの5倍のスピードで動いているような気分になった。
「ありがとう………それじゃ、行こうか」
「はい」
<sideシャルア>
「くっ!」
状況は最悪だ。何しろ数が違いすぎる。ここが突破されてしまうのも時間の問題だろう。その間に兵たちや王族が帰ってくるのは、距離が離れすぎていてほぼ不可能だ。
どうする?
そんな事を考えながら戦っているとチャールの叫び声が聞こえた。
「シャルア後ろ!」
チラリと後ろを見ると鳥型の魔物が私に向かって飛んで来ていた。だが、そちらを撃退すると前にいる魔物の攻撃をうけてしまう。
どちらの方がダメージが大きいかを考え、前方の魔物を撃退し、歯を食いしばった。
だが、来るはずの痛みは来なかった。
「?」
目を開き確認すると、そこには、心を閉ざしてしまったはずの人間の少年がいた。
<sideユウタ>
僕はリリアと一体化して城の出入り口に飛んできた。比喩じゃなくてホントに飛んできた。僕もリリアも感情が高ぶっていて、能力が良く使えからだ。
「大丈夫ですか、シャルアさん?」
シャルアさんは最初驚いて声が出ないみたいだったが、少し微笑んで
「ありがとう」
と言った。
そして、僕は風力操作を使って魔物の軍勢に突っ込んだ。
「全員下がってください!」
「…分かったわ。全員下がって!」
シャルアさんの指示で全員がある程度下がったのを確認して僕は能力をに火炎操作に切り替え、一気に周りを焼き払った。
それで殆どの魔物を消し飛ばし能力を切り替え、風力操作を使って竜巻を作って、残りの魔物を吹き飛ばした。
「これで、終わりかな」
魔物たちを全部倒し、僕はみんなの所に戻った。
「もう大丈夫なの?キリヤマ君」
「は………ぃ」
安心したからか、僕は眠ってしまった。