第三十話:リリアの決意
投稿が遅くなりました。次話は早めに投稿出来ると思います。
「だから……お願いだから………」
サリーが少しずつ近づいてくる。
ダメだ……怖い
「元のキリ君に……戻ってよ…」
ダメ…止めて……来ないで…怖いんだ
「来るなぁ!!」
僕は、サリーを突き飛ばしてしまった。
そうじゃない…そんな事…したくない……
「…うぅ……ゴメンね…無理なこと……言ったりして」
違う!!そう叫びたかった。だけど、僕は何も言う事が出来なかった。
サリーは、泣きながら僕の部屋を出て行った。
<sideサリー>
私は、自分の部屋で泣いていた。
「あぁ…うぅぅ……」
私、振られたんだ……最後の1言はキツかったな…だって……来るなぁ!!だもんね…私は近づく事すら出来ないんだね。
「サリーちゃん」
「リ……リッ、チ」
リリッチが私の部屋に入って来た。でも、涙を止める事が出来ない。
「私……も、その…ユウタ君に……気持ちを伝えて来ます」
「私…は絶、対……応援…しないよ。だっ…て…、フラれて…も…私は…っ、キリ君が好き……だから」
リリッチは、はい、とだけ言って私の部屋を出て行った。
<sideシャルア>
「……どうする」
キリヤマ君、人間である彼は味方ならば物凄い戦力になってくれるだろう。だが、彼は心を閉ざしてしまった。私にはどうする事も出来ない。
出来るとすれば、サリーさんか姫様だけだろう。
「何故あの時……」
あの時、私が彼に殺されかけたりしなければ、彼はあそこまで心を閉ざしたりはしなかっただろう……
私が、キリヤマ君について考えていた時だった。突然私の部屋のドアが開かれ、シャンが駆け込んできた。
「隊長!大変です!!王都にまた魔物の軍勢が!」
「何ですって!!」
「しかも今回は進行速度が速くて、もう城に来てしまうそうです。兵も王族の方もその近衛隊も城下町の魔物の討伐に出払っていて、まともに戦えるのは近衛隊だけです。近衛隊でどうにかするしか……」
私は魔法でその状態を確認し、愕然とした。数が多すぎて近衛隊では対処しきれない。
だから、私は最後の希望に縋りつく。
「彼は、キリヤマ君はどうなっている!?」
「ダメですよ…部屋から1歩も出ていなければ、食事すら取っていません」
「クソッ!リリア姫の近衛隊全員に通達!!唯一の出入り口に全員集合!兵や王族が帰ってくるまでどうにかして持ちこたえるぞ!」
私は自分達の力と、わずかな確率のキセキを信じて出入り口に向かった。
<sideリリア>
「姫様!」
「シャンさん。どうしたんですか?そんなに慌てて」
私がユウタ君の部屋に行くために廊下を走っていると、シャンさんが息を切らせて話しかけてきました。
「姫様!また魔物が王都にやってきました!近衛隊だけではこの城に入ってくるのを止めれるか分かりません!王室の方に避難してください!」
シャンさんは私を王室の方へ連れて行こうとしました。でも、私はいけません。
「姫様?」
「ごめんなさいシャンさん。私はユウタ君の所へ行ってきます。だから、シャンさんは皆さんの援護に行ってあげてください」
シャンさんは最初、信じられないものを見るように私を見ていましたが、やがて1回だけ頷いてから出入り口の方へ走って行きました。
次こそリリアが告白します。そして、ユウタが復活するかも知れません。