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第二十九話:会議

まあまあ早めに出来ました。

「うぅ……あぁ」


目が覚めた。泣いているうちに疲れて寝てしまったらしい。お腹が減っているけど、部屋を出る気にはなれない。誰かに会ったらまたあの恐怖が蘇りそうで怖いからだ。今は何時なんだろう?部屋が暗くてよくわからない。

そんな事を考えていると、不意にノックの音が聞こえた。


「誰……ですか?」


「私よ、キリヤマ君」


心臓が跳ね上がり、血が熱くなった。体が勝手に震えて、黙って布団に蹲っていたいと思ってしまう。


「入るわね」


暗かった部屋に廊下から光が差し込んだ。シャルアさんの姿が浮かび上がり、お腹の辺りに包帯がグルグルに巻いているのが見えた。でも、その顔は憎しみに歪んではいなく、むしろ僕のことを思いやるような優しい表情をしていた。

でも、それが余計に僕を苦しめた。


「あ……あああ」


あの光景が誰に会った時よりも鮮明に蘇る。


「…朝食を持って来たから食べたいなら食べると良いわ」


「ごめんなさい」


「あなたは悪くないわ。ああなる事を予測しきれなかった私の失態よ。落ち着いたら私の部屋に来なさい」


何も、言えなかった。僕はあんな事をしたのに、シャルアさんは一つも僕を責めたりしなくて……でも僕がやった事が無くなる訳じゃなくて……。

僕は結局、朝食に手を付けれなかった。




<sideリリア>


ユウタ君が部屋に閉じこもってしまった直後の事です。


「彼は何者なんですか!国王様!?」


私は会議に出席していました。会議とは、この前の魔物の軍勢の襲来についてです。何とか魔物は全滅させる事ができたらしいですが、被害もかなり出たそうです。今は、それから発展してユウタ君について話してます。シャルマージ軍の元帥がお父様にもう講義をしていました。


「彼については、私も詳しいことは知らん」


「彼はバケモノですか!?30体を超える魔物の軍勢をたった1人で殲滅しただけでも非常識だと言うのに、4つの属性の魔法を使ったとも聞いています!そんなバケモノの事を何で国王様が知っておられないのですか!?」


……私はもう我慢できませんでした。普通、魔族が2属性までしか魔法を使えず、魔物の軍勢をたった1匹で倒すことが出来ない何て、どうでもいい!!


「ユウタ君はバケモノじゃありません!!!!」


全員が黙まり、私に目を向けて来ました。急に私が怒鳴ったので皆さん驚いたのでしょう。私は普段おとなしいので。


「えっと……その………」


「彼はバケモノではありません。列記とした私の部下であり、リリア様の近衛隊の1人です」


シャルアさんがフォローに入ってくれたので何とかその場はやり過ごせました。


「でもよ、そいつが何者かは知っておきて~んだけどさ、親父」


「私は彼についてほとんど何も知らん、聞くならばリリアに聞きなさい」


兄様の話でみなさんの視線がこっちに向きました。説明しろ、とみなさんの目が言っています。

シャルアさん助けて~、とアイコントクトを取りますがシャルアさんもこっちを見て、説明してオーラを出しています。


「彼は…ユウタ君は……人間です」


会議場全体に驚きが広がり、お父様に意見が飛び交います。


「国王様、彼を研究所へ搬送していですか!?」


「いいえ国王様、ぜひ我が軍へ!」


「彼についてはリリアに任せている。その類の事はリリアに言いなさい」


またみなさんの視線が私に向き、私に意見を求めてきます。


「ユウタ君は何処へも行かせません。私の近衛隊です!」


「でもリリア様、彼はそこに居るシャルアさんを危うく殺しかけたと聞きます。しかも、そんな彼は拘束も何もされずに自分の部屋に居るとも聞きます。とりあえず、拘束をして見張りを付けた方がいいのではないでしょうか?」


その意見に私は答えられませんでした。

でも、シャルアさんが代わりに答えてくれました。


「それは彼の精神状態を把握しきれなかった私の失態です。彼はパニック状態で、敵味方の区別がっアない状態でした。それに、彼は先ほどパニックになった状態でリリア様に出会っていますが手を上げたりはしていません。

あと拘束に関しては、彼はたった1人で魔物の軍勢を殲滅させるほどの力を持っています。拘束をしようとして下手に刺激を与える方が、かえって危険だと私が判断し、自由にしています。」


完璧な説明でした。非の打ちどころがなさすぎて誰も反論できないほどに。

結局、ユウタ君については私に一任すると言う事でユウタ君についての話しは終わりました。

ユウタが立ち直るのはもう少し先だと思います。

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