第二十八話:暴走
中々早く投稿できました。
「!!」
気がつくと、僕は血の海に立っていた。周りには魔物の血や肉が散らばっていて、目の前には………シャルアさんが倒れていた。
「僕が……?」
僕が殺ったのか…
<sideリリア>
それは数分の出来事でした。
私は奥の方に下がって、怪我をしたシャンさんに治癒魔法を施していました。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
と、突然ユウタ君の叫び声が聞こえ振り向くと、ユウタ君が魔物の大群に向かって絶叫しながら突っ込んで行きました。
「ユウタ君!」
「キリ君!」
あんな数の魔物にたった1人で突っ込むなんて自殺行為です。そう叫びかけた私は言葉を失いました。ユウタ君はたった1人で魔物を圧倒していたのです。火が魔物を焼き払い、風が魔物の身動きを封じ、雷が暴れ、水や氷がユウタ君を魔物から守っていました。
でも、その顔はとても苦しそうでした。
そして、たった数分で全滅させてしまいました。
「キリヤマ君……あなた、何者なの?」
シャルアさんがユウタ君に近づいて尋ねました。ですが、それに対するユウタ君の返事はとても恐ろしいものでした。
「ゴフッ!?」
炎を纏ったユウタ君の拳が、シャルアさんのお腹に刺さったのです。シャルアさんはそのままバタリと倒れました。
「!!」
ユウタ君も自分で驚いていました。
「僕が……?」
それだけ言ってユウタ君も倒れました。
<side裕詫>
「………ここは?」
目が覚めると白い天井が見え、誰かが言い争っているのが聞こえた。僕はベッドニ寝ていたみたいで、周りの様子はカーテンの様なものに遮られて見えない。
「だから姫様!彼はシャルア隊長を殺しかけたんですよ!!そんな危険な者と姫様を会わせるわけにはいきません!」
「ッ!ユウタ君は………ユウタ君は危険じゃありません!!絶対に私に危ないことをしたりしません!」
何となく、リリアとソルクさんだと思う。とりあえずベッドから降り、カーテンの様なものを開け、外に出た。
「ユウタ君!」
「ッツ!」
リリアが笑顔で駆け寄って来ようとして、ソルクさんに制された。だけどそれを押しのけてリリアが僕の所にやってくる。
(怖い)
「ユウタ君、大丈夫ですか?」
(来ないで!)
リリアがこっちへ近づいてくるごとにあの光景が鮮明に蘇ってくる。
「来ないで!!」
僕はリリアを突き飛ばし、自分の部屋まで走った。誰かと会うたび、ぶつかるたびに、あの光景が蘇ってきて、怖くて無我夢中だった。
自分の部屋に着くと、すぐにベッドに飛び込んで布団をかぶり、子供の様に泣いた。
次回は投稿が少し遅くなります。