第二話:半オオカミの魔物
またですが、すいません戦うとか言っておいて今回は前ふりだけで終わっちゃいました。
逃げていた。林道の中をひたすら逃げていた。何からかと言うと半オオカミの魔物からだ。
(にしても広いな、この森一体どこまであるんだろう?)
そして、隣では妖精の美少女リリアがリュックの中の何かを必死に探している。一方の半オオカミ魔物はグルルルルルとかガアアアアアとか恐ろしい雄たけびを上げながら追ってくる。僕らとの差が全然縮まらないのが不思議なぐらいだ。
「あった!」
ついにリリアがリュックから何かを取り出した。野球のボールみたいな球だ。
「ユウタ君!目を閉じて!!」
言われたとおりに目を閉じた。(目を閉じて走るのはメチャクチャ怖かった)すると目を閉じていても分かる位に激しい閃光が瞬いた。思わず足を止めてしまうと、
グガアアアアアアアアアと言う雄たけびの後リリアの声が聞こえてきた。
「もう開けていいですよ」
ゆっくりと両目を開くと、隣にリリアが佇んでいた。そして、その目線の先には両手|(それとも両前足?)で両目と塞いで地面に転がりながら暴れていた。(少し間があるので僕らにはあたらない)
(相当凄い光だったんだな)
その光景を見ていると少し同情してしまった。
「で、どうするの?」
「倒します。ここに放置していたら誰かが襲われるかも知れませんから」
「どうやって」
見る限りリリアは武器を持っていない(リュックの中にあるのなら別だけど)流石にこれを殴り殺す頃には復活すると思うけど……超能力は出来るだけバレないようにしないといけないし………
「私と一体化してください」
「ブッ、いいいいいいいいいいいいいいいいいいい一体化!!!!!!!!!!!!!」
そのフレーズで考えがあっち方向に向く僕、でもリリアは真剣な顔をしているのでそういう意味じゃないだろうと、考えをまとめてリリアに質問する。
「何で?そして、どうやって?」
「私たち妖精は魔法を使えるほど魔力がないからです。やり方は手を握って同時にハーモナイズと唱えるだけでいいです」
とか何とかやっていると半オオカミが起き上がり始めた。
「早く!」
「あ…うん……分かった!」
パッと手を握り呪文を唱える。
「「ハーモナイズ」」
瞬間、さっきのほどでは無いけれども激しい閃光が瞬き、次の瞬間にはリリアはそこに居なかった。でも僕の体には何の変化もなく、半オオカミは一切ひるんでいない。
(し……失敗?)
次こそは、次こそは戦いますんで………