第十話(前編):色々デカい国
今回は前後編です。
「う~~ん」
朝、僕は美味しそうな匂いで目が覚めた。
「おはようございます」
「おはよう」
「う~~~ん、おはよう」
二人は朝が早いみたいだ。
「何してるの」
「見た通り朝ご飯を作っているんです」
「てか、護衛の分際で起きるのが遅い!」
「……ごめん」
怒られた。それはさて置き、言うか料理美味しそ~~
そして、今僕の目の前には料理が置いてある。もちろんリリアの料理《殺人兵器》ではなく、サリーの作った無味料理だ。
(栄養は取れているんだろうか?)
素朴な疑問を抱きつつ朝ごはんを食べた。
「じゃあ、行こうか」
朝ごはんも食べたし、準備は完了だ。
「………」
「………」
「?」
何故か二人が僕を凝視している。
「どうしたの?」
「そのリュック…」
サリーが僕のリュックを指差した。そりゃ、昨日までなかった物があるんだから驚くだろう。
「あっ、それは………」
(………そうだった、自称神のことは秘密だった)
言いかけた所でその事に気付いた。
「ぼっ僕の能力で……」
「そう」
「そうなんですか」
(なんとか誤魔化せた~)
二人が追及して来ないことに安堵していると
「で、中身は何が入っているんですか」
忘れていた。
「色々…」
「見せて」
「私も興味あります………人間の持ち物に!ですよ!!」
二人とも僕の世界の物に興味があるみたいだ。特にリリアは叫ぶほど。
「じゃあ、これをあげるよ」
「「?」」
僕はリュックからグミを取り出した。自称神は結構グミを入れてくれていた(2か月分位)。
「どうぞ♪」
「自分で食べるから」
「ア…アア…アアアアアアーーーーンってててててててて!!!!」
久々に出たリリアの変わった趣味に若干引きつつ、グミを食べさせる。
「「美味し!!!!!!!!!」」
「でしょ!」
グミで話を誤魔化し出発した。何故誤魔化したかと言うと、とある魔術の〇書目録を知っていることで分かるように、その他にも色々持っているからだ。
「………デカ!」
道中、結構魔物に出会ったけどアッサリ倒してここまで来た。『ここ』とは門の前だ。もちろんハース王国と国境の堺となる門だ。都心の超高層ビル並みに高い。ちなみに、門よりも先は結界っぽいものに包まれている。
が
「……そうですか?」
「ハース王国の国境門は小さい方よ?」
「そうなの」
二人の反応がこれだからその他の国はどんなのか逆に心配になってきた。
「で、どうやって入るの?」
「防衛班の何方かに結界を解いてもらわないといけません」
たしかに、この結界は簡単には破れそうにない。
「私がその隊長ですしね」
「「……そういえば」」
「まさか…二人とも忘れての?」
僕らは二人同時に頷いた。
そして、サリーが何処からともなくカギを取り出して結界に突き刺した。カギは弾かれる事もなく結界の中に入っていき、何かガチャガチャしたあと結界から出てきた。
『ボワン』と言う音と共に高さ2メートル横幅1メートル位の長方形の扉が出来た。
「じゃあ、入ろうか」
「うん」
「はい」
ハース王国の第一印象は
「城デカ!」
だった。
「ハース王国は面積は小さいですが王城は巨大ですからね」
「ねえ、リリッチ今の若干皮肉入ってない?」
そういえば、旅の間にリリアとサリーは仲良くなっていた。ちなみに、僕に対する話し方も柔らかくなった。
「とりあえず王城に行こうか」
「そうだね」
「そうしましょう」
そして、王城の前
「僕の言うことは分かってるよね?」
「ですよね」
「「城デカ!」」
「だよね」
「正解」
そんなこんなで入城し、現在王の間の前だ。
《後編へ続く》
前回の後書で物語が進むとか言いましたが、今気づけばあんまり進みませんでした。次回辺りで戦わせようと思ってます。