めでたし、めでたし
7月 この時期からふたりの再登校がはじまった。
「おい、おまえらか⁈」
「今、ツイッターで話題の二人だろう」校内でツイッターをみた学生から、頻繁に声をかけられる。
『樹海からの復帰、死からの生還
命の恩人は、100人目で振られた恋人
再開の同棲ごっこからの卒業。
もう、運命の糸しか感じない』
「ちょっと、何勝手にネタにしてるわけ」
「これだったら、お前は別れられないんじゃないかと思って」
「へっ⁈ 別れたくないの? それにしても、こんな注目浴びたくないわよ」嬉しいような、迷惑な話だわ。
暑くて気だるい朝、早起きして二人分のお弁当を作った。
週末は、二人で私の実家に行く。
実家には遺書が届いたりそれを撤回したり、同棲相手を連れていくことになったりと本当に心配ばかりかけていた。
母いわく
「もう、心配ばかりかけて10歳は年取ったわよ。それでも、樹海から戻ったって聞いてうれしくて。あれから、電話やメールばかりで会ってもくれない。だけど生きてるってわかったから‥。本当に、ただ生きてるだけでいい」
電話口から、涙をすすってる音がする。
「母さんごめん。本当にごめんなさい。いつも自分しか見えていない。こんな私を、いつも見守ってくれて、ただ感謝しかない。
こんな私が、一生ともに生きていこうと思った人を連れていくからね」