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夢を観させて

 3日間、龍は目を覚まさなかった。


私は、何やってるんだろう。

樹海で死ぬつもりで、大学もバイトも辞めてアパートも解約したのに。


人助けをして、病院にいる。

しかも、私の心に忘れられない傷を残した人なのに。

あれから、ほとんど大学には席をおいたまま行けていなかった。

それなのに本人が目を覚ますまで、私は病院に通っていて医療費まで立て替えている。

二度と会いたくなかった人なのに‥。


4日目 

病室に行くと龍は、目を覚ましてベットに座っていた。

今まで目を閉じてずっと寝てた人が座ることができ、私を視線でとらえる。

嬉しさもあり、思わず照れる。


開口一番「あんた誰?」


こんな反応かあ。半年は付き合ってたはずなのにすっかり忘れたってか。

「あんたの命の恩人」恩着せがましくいう。


「誰も頼んでないぞ。あんただって、あんなところにいたってことは俺と同じなんだろう⁈」


「うっ、痛いところをつくなあ。でも、しょうがないじゃないほっとけなかったんだから」


おれさ、もう死ぬつもりだったからお金もすっからかんだし。帰るところもないんだ。

プータローだ。

ここの医療費も立て替えてもらったって払えないし。


(う、うるさい。私だって帰るところはない)


「これからのことは、退院してから話そうよ」

そう、薄いカーテンだけで仕切られている6人部屋では、音が筒抜けで恥ずかしい。

皆ここの声に、集中しているような気がして。


もう、いつ退院してもいいといわれたので、さっそくお昼に退院した。

(また、お金が出てくー)

龍は、お前がかってなことをしたんだからと言わんばかりに終始不貞腐れた態度でいる。


◆◆◇◇◇


退院


病院から少し離れた所にある公園のベンチで、二人は腰を下ろした。


「少し、これからのことを考えてみたの」


「何⁈」


「これから半年間、私に夢をみさせてほしいの。クリスマスに彼氏と過ごして、お正月もデートして、バレンタインもデートして。半年だけ‥」


「つまり、これからの半年間はお前の彼氏になれってか。ていうか、男に振られてあそこへいったのか?」


「そうよ。悪い?あんたは、どうして自殺したのよ?」


「聞きたいか?」


「聞きたいわよ」


「いつか、気が向いたときに言うわ」


「なんだか、そんなのずるいわよ」


「しかし女って怖いなー。そんなことで、男を恨んで死ぬのか?」


「そんなことって何よ。」

(私の顔なんか、覚えてないはずだよね)


「早いところ二人で住むところみつけて、仕事もみつけて半年いきてみない?」


「かったるいなー。とりあえず、Hしてから考えるか?」


「そういうのは、いらないから」


「えー。一緒に住むってそういうことじゃないの?」


「それは、よそですましてくればいいから」


「よそでって馬鹿じゃねぇの。犬ころっじゃあるまいし」


(100人達成って粋がっていたお前がいうか⁈)


私は龍の顔を思いっきり睨みつけた。

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