プロローグ
皆様こんにちは! ちょっと恋愛小説が書きたくなって投稿してみました。あまり長くはならない予定なので、どうぞ最後までお付き合いください(_ _)
「残念ながら……おそらく半年ともたないでしょう」
二人しかいない部屋で医師の声だけが響く。
「…………………………そうですか。今まで大変お世話になりました」
そう言って、最後に半年分の薬をもらい部屋をあとにする。
ここに来ることはもう無いだろう。長い間とてもお世話になった。体に異変を感じてこの病院へこっそり訪れるようになってもう2年だ。私の幼い頃に貰ったお小遣いもなくなってきて、薬代が払えなくなるところだったからちょうど良かったのかもしれない。
フェリシア・カレロ。
カレロ伯爵家の長女である。が、彼女の母、ファンヌが亡くなったあと、後妻のリンダと腹違いの妹ラウラがやってきてから彼女の居場所はどんどんと削られていった。今や屋根裏にある小さな部屋が彼女の唯一の居場所と言っても過言ではないだろう。
前妻、ファンヌによく似ていたフェリシアはリンダとラウラの目には憎悪の対象にしか映らなかった。
曰く、カレロ伯爵家現当主、モルテン・カレロとリンダは恋仲であったが、ファンヌがいたために結ばれることが出来なかった。
曰く、ファンヌの実家であるマルカーノ子爵家は邪悪な血が混じっていて、そんな血をひいているフェリシアもまた穢れている。
曰く、フェリシアの薄いグレーの髪と真っ赤な瞳は穢れている証拠である。
幼い頃に母を亡くした彼女はその言葉を信じるしかなかった。実の父にまで言われると誰がこの言葉たちを否定するのか。彼女の周りには否定してくれる人なんて誰もいなかった。
彼女の病気が発覚したのは既に自由に外へ出ることができなくなっていたときだった。
はじめは体のだるさ。これだけだとまだ良かった。しかし徐々に体が思うように動かなくなっていったときには彼女の中には絶望しか残らなかった。
誰も彼女の世話はしてくれない。いくら幼くても、いくら熱が出ても、いくら可哀想に見えても、彼女に手を貸すと明日の仕事はないと、使用人たちは見てみぬふりをした。
だから彼女は自分で働いた。
次第に何も知らない使用人からは見下されるようになり、自分たちの仕事も彼女に押し付けていった。
ミスをすると必ず次の日のご飯はない。下手をすると3日や4日抜かれることもある。まだご飯を抜かれるだけならいい。リンダやラウラの虫の居所が悪いと鞭を打たれる日も少なくない。
体が動かなくなっていってからは言うまでもなくミスが増える。ブリキのおもちゃのような動きになりなっても、痛みを感じようとも休むことは許されない。次第に咳に血が交じるようになってからは彼女は全てを諦め、死を心待ちにするようになった。
医者に行ったのはまだ彼女の心の中に生きる意志があったからだ。けれどそれももう今日捨ててしまった。
彼女の中にはもう何も残っていない。
そんな彼女に突然、一通の手紙が届いた。
お小遣いは幼い頃伯爵家令嬢として恥ずかしくない量を貰っていたときのを、フェリシアがこっそり隠し持っていたやつです。
医師は貴族専門ではないので少しお安めだったため2年分もったのでしょう。
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