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Pandora Box -人造人間は異世界で「 」を知る-  作者: 電華
【世界は移り変わる】
3/5

機械の足は重く……重く……

「とりあえず、ここはどこか検索するか」

鬱蒼とした森の中。見えるのは木ばかりのこの森を無闇やたらに進むのは死亡率が跳ね上がることは目に見えている。慌てず落ち着いて現状把握、それが第一にすることだったが…


「繋がらない……そんな馬鹿な。」

今まで使っていた電子回路が機能をしない。アナウンスが流れ電脳世界へと通じていたあの機能が無くなっていた。


考えられる要因は3つ。1つ目は、自分が閉鎖されていたあの空間のみでしか使えなかったものであった。2つ目は、この世界に電脳世界という概念そのものがなく、昨日をしなくなっていること。3つ目は、今の所確認する術がない……

この問題を解決するための情報すら手に入れられないこの状況下では考えても無駄だと推察される。


「進むしかないのか。この森を」

ゆっくりと体を前へ動かす。足は重い……


------------------------



『現実を知った時に彼はどう感じるのだろうか』

上からバレないように見守っている神は言う。

彼の姿は分解される前の元のいた世界と、全く同じように連れてきた。知識も運動能力も心も。それが意味することとは……


『手助けはしない。ただ見守るだけ。それが私の使命。人間が作り上げた模造品で終わるのか、それともそれにすら行き着かないのか、本当の人間へと変われるのか。』

妙な笑顔で笑う彼女は、ただ神々しく、ただ奇妙。



------------------------


正しい道を進んでいるのかも分からず僕は進んでいた。

「正解はあるのか……これがもし間違っていたなら」

進んできた道を振り替えると、妙なざわつきがある。今まで間違えた選択肢を取ってこなかった弊害なのだろうか、決められたことだけを行ってきた彼にとって初めての経験だ。


「人間はこういう時どうするのだろうか……本で読んだ中には書いていなかった。遭難した時には、救助を待つために佇むのが正解だったか。やはり、戻って待っ…………本当か?」

結局のところ人間の知識に縋るほど矮小になっていることを自覚する。そもそも助けは来るわけが無い。ここに自身が来た理由も、どうやって辿り着いたかも知らない奴を、助けに来る者などいるとは思えない。ましてや、棄てられた人造人間なんかを。どうすればいいのか答えは出ない。


「答えが出ないときに僕は動けない。」さっきまで動いていた足は止まっている。さっきまで答えだったはずの動くことすら出来ない。こういう時にどうすればいいのか。



---【自主性もまた1つの査定でございます。】



「人間はこういう時に心を先ず動かすのか」

何かをしたい。そう思うことが原動力となる。人造人間には理解の出来なかったうちの1つ。


「何がしたいんだ僕は…………」

考えようとする意志とは逆に頭は回らない。知識の中に答えがないことを、マザーチップが知っているからだ。回す必要がない。何も思い浮かばない。そんな時間が続く。しかし、この土地で何がしたいかなど、答えは既に決まっていた。



「僕は心を知る旅に出たいんだ。前に進むしかない」

人間らしく頭を叩き、そう呟いて歩き出す。



「この歩みは、心を理解する第1歩だ」足は少し軽くなった。



------------------------



『 やはり君は人間に作られたのだな。歴史と同じ足跡をたどっている』


人間は手を地面から離し歩き始めた。それは命を守るため。

人間は筋肉を落とした。それは脳を使うため。


『知的好奇心。彼らの帰結する第1の特徴であり、長所でもあり、欠点でもある。君は人間のように、悪魔へと変貌するのだろうか。それとも、その力をまた別の何かに使うのか。』


『面白いものだな。君も人間も。』



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