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当て馬女子の受難の日々  作者: 雨野
幼少期
9/20

08



 ついに来た、結婚式当日。緊張のせいか胃が痛いが…朝早くから大橋家を訪ねた。

 今日の式は私の両親も参加するが別行動に成功。あっちも忙しいし、安藤さんは信頼されているから「娘をお願いします」で済んだ。



「じゃあね姉さん、後でね!」

「愛お姉ちゃん、ドレス楽しみにしてるよー」

「一緒に行けばいいのに。私の支度は時間が掛かるんだから、その間に練習すればいいわ」


 可愛らしく頬を膨らます愛さん。

 私達はにっこり笑って背を向ける。これが彼女の最後の姿にならないよう…唇を噛んで気合を入れた。




「しかし優深様、出発をずらさなくてもよかったのでは?愛様もすぐにお出掛けの時間ですし」

「いいの!」


 安藤さんは三十代半ばの妻子持ち男性。顎髭がグー!なダンディおじさまである。

 彼の運転で式場に向かうが…当然真っ直ぐ行く気は無い!!



 走り出して約十分、私は優深ちゃんと頷き合う。

 帽子を被って上着を羽織り、お粗末な変装をした。


「安藤、俺トイレ!おしっこ行きたい!!」

「ええっ!?ですからお出掛け前に確認しましたのに…!我慢できませんか!?」

「もれるー!トイレトイレトイレットー!!!」


 安藤さんは超焦ってる。ふ…楓の癇癪を参考にしたが、効果抜群だ!

 だがこの辺にはコンビニも無い。なので私が解決しようじゃないか。


「この先に駅があるよ。そこのトイレ借りようよ」

「仕方ありませんね…」

「はよ」


 よし…ここまでは予定通り!上手くいくかどうか、心臓がバクバクと嫌な音を立てている。



 駅で車を止めて、優深ちゃんは先に飛び出した。

 私も行こう、と自然に外へ出ることに成功!

 境界を挟んで反対側の女子トイレへ。安藤さんは真ん中に立って待機している。


 この駅が作戦の要となる。一度楓とレンさんにお願いして下見済みよ。



 トイレの中では…


「…よし。姉さんの車も予定通り走ってるな。早く見積もってあと五分もすれば現場を通る…!」


 優深ちゃんは個室へ入り、スマホで愛さんの現在地を確認。その後私に電話をした。


『…が今の進行状況。一華、頼んだ!!』

「了解!」



 私は先にトイレを出て、とある物を指差した。


「安藤さん、あれ何?」

「ああ、公衆電話ですね」


 それがなんなのか知ってはいるが、初めて見たー!と安藤さんの気を引く。


 ここは公衆電話とトイレがすぐ近くにある構造の駅で、安藤さんは知りたがる私に教えてくれた。


「私は若い頃お世話になりましたが、今の世代の方には不慣れでしょう。ですが災害時などはとても助かるんですよ」

「へえ〜」


 あたかも初耳のように目を輝かせる。

 周囲に人はいない…いたとしても、皆通り過ぎるのみ。よし…!


 これ使ってみたーい!と言えば、悪戯はいけませんよと注意されてしまった。

 じゃあ楓に電話してみるー!とスマホを取り出す。それなら…と彼も了承。

 楓の番号を確認すると見せかけて、優深ちゃんにメッセージを送ったのだ。


[今だよ、お願い!]


 その直後。



「安藤ー!!おーい、あんどーーー!!!」

「えええっ!?優深様!?」


 トイレから大きな声が聞こえてきた。安藤さんは私を置いていけない!と抱っこしそうになる。正直、ここは賭けでもあった。


「いいよ、行ってきてー」

「いけません!」

「大丈夫だよう、知らない人にはついて行かないよ!()()も持ってるし、ね?」

「聞こえないのかー!?あーんどーーーお!!!」

「どっちにしても私は男子トイレに入れないし」

「こらーーーーー!!!」

「……!ここで大人しくしていてくださいね!」

「はーい♡」


 勝った…!!安藤さんは超渋い顔でトイレへ消えた。今だ!


 私は急いで受話器を持ち上げ…迷わず110を押す。

 上手く受け答えが出来るだろうか…大きく深呼吸をしていたら、すぐに繋がり男性の声が聞こえてきた。


『事件ですか、事故ですか?』

「ええと、事件です!」


 私の子供の声は誤魔化せない。だが中身は立派な大人だし、頑張れば女子高生くらいには聴こえるはずだ。


『何がありましたか?』


 よし…子供の悪戯には思われていなさそう!

 ちょっとパニックを起こしている風を装い、辿々しく言葉を紡ぐ。


「えっとですね、今ちょっと離れてるんですけど。ついさっき路上で男性が数人、大きな声出して喧嘩してたんです。今にも殴り合いを始めそうで…わたし怖くて…」

『分かりました、場所はどこでしょう』

「住所はちょっと分からなくて…今は〜…琴吹(ことぶき)駅なんですけど」

『琴吹駅付近ですね。現場に何か目印となる建物はありませんか?』

「うーん…あっ!!『スナック 絶望♡』って看板ありました!」

『ぜつ…か、かしこまりました、すぐに警察官が現場へ向かいます。

 最後にあなたのお名前を』

「ヤバっ、電車来ちゃう!!じゃ、お願いしますっ!!!」

『え!?待っ』


 ガシャン!!と電話を切った。成功…したか…!?

 その場にへたり込みそうになる。動悸が激しく呼吸が荒くなり、手汗で受話器濡れてる…って呆けてる暇はない!


 直後安藤さんが戻って来た。さっきの会話…聞かれた…!?


「一華様、乱暴に戻してはいけませんよ」


 よっしゃセーーーフ!!

 内心ガッツポーズを決め、ごめんなさーいと舌を出す。



 その間男子トイレにて、何があったかと言うと。


「トイレットペーパーが無いよー!」

「大きいほうですか…予備のペーパーはございませんか?」

「分かんない!隣の個室から取ってー!上から投げて!!」

「仕方ありませんね…」


 と、時間を稼いでいたのであった。



 この先私達の力だけではどうにもならない、安藤さんを巻き込む訳にもいかない。だから警察を頼る!

 通報から何分で来るのかは分からない。近くを巡回しているパトカーでもあればすぐ来るだろうけど、いざとなったら時間を稼げばそれでいい。


 ただスマホから通報したら、持ち主を特定される恐れがあった。

 その為近場の公衆電話を探し、トイレを使う手段を思い付いた。


 公衆電話なら、場所はともかく電話の主は探しづらいと踏んだのだ。

 もしも監視カメラ的なのに私が映っていても、こんな子供が…と誰も考えまい。コ◯ンくんじゃあるまいし。



 今出来る手は全て打った。後は結果のみ…!


 早鐘を打つ心臓を押さえて喉を鳴らす。

 その時優深ちゃんが、頬を染めて興奮気味にトイレから飛び出して来た。


「今パトカー見えた!見に行こう!!」

「ええっ!?ですがお時間が…」

「大丈夫、姉さんは支度に時間掛かるんだから!行こうぜ一華!」

「やっぱり早く出た意味無かったですね!!」


 優深ちゃんは私の手を取って走り出し、安藤さんは諦めて後ろをついて来る。

 実際に見えた訳ではないけれど、パトカーに興奮する子供は不自然ではなかろう。



「まずいぞ一華、姉さんの車がすぐそこだ!」

「!急ごう!!」


 小声で会話し、速度を上げる。急げ、間に合え…!



 だだだだっ!!と歩道へ飛び出した。あっ!!

 まずい、目的の車が視認できる距離まで来てる!!


「優深様、パトカーなんてありませんよ。

 …ってどこへ行くんですか!?」

「けほっ…あっちに見えたんだよー!」

「全く…」


 安藤さんは苦笑しながらゆっくり走って来る。


 息を整える暇もなく足を動かす。小学一年生に全力ダッシュ連続はキツい。

 けど緩めては駄目。足が千切れようと止まってはいけない。


 そうしたら、死ぬほど後悔するんだから…!!


 

 あと、少し。私達の左手側、車が正面を向いて走って来る。

 急げ急げ急げ…!!!



「あ……危ないっ!!!」


 安藤さんの叫びが周囲に木霊した。

 そう…手を繋いで走る私達の真横から、女の子が飛び出して来たのだ。

 互いに走っているのだ、このままでは怪我は免れない。だからこそ今!!!



 ビーーーーーッ!!!



「え…!?」


 私と優深ちゃんは同時に、マスコット…レッドとピンクの頭を引っ張った。

 さっき私が()()も持ってるし!と手にしたマスコットは、実は防犯ブザーなのだ。

 首はびょいーんと長く伸び、けたたましい音が二つ鳴り響く。ちょっとデザインはどうかと思う。


 女の子はその音に驚き、一瞬だが足を止めた。その隙を逃がさない!!


「「わあっ!」」

「きゃっ!?」


 正面衝突に見せかけ女の子に抱き着き、三人揃って地面に転がった。いてて…膝擦りむいた。


 瞬間、愛さんの車が横を通り過ぎる。何事も…なく。



「あら…?今子供が転んでなかったかしら?」

「え、もしや前から走って来た子供達でしょうか。引き返しますか?」

「いいえ、近くに大人もいたし大丈夫だと思うわ。怪我をしてなければいいのだけれど…」



 車は走り去り、見る間に小さくなって…姿を消した。

 対向車線には大型トラックも通過して…



 ……成功…した…?




 ビーーーーーッ!!!



 っ、余韻に浸ってる場合じゃない!!

 未だブザーは鳴り続けている、そこへ安藤さんが駆け寄って私達を起こしてくれた。


「大丈夫ですか!?ブザーは…」

「いてて…転ぶ時引っ張っちゃったかな?」(すっとぼけ)


「おい!!!その音を止めろ!!」


 野太い声が聞こえ、子供達は肩を跳ねさせた。ガタイのいい男が三人、ビルから出て来たのだ。

 女の子が青い顔でぎゅうっと抱き着いてきたので、その背中に腕を回して精一杯力を込める。



「大丈夫、もう大丈夫よ」

「え…?」


 早く、早く警察来て…!

 喧騒に野次馬が集まり、大事になってきた。

 優深ちゃんは抱き合って怯える私達の前に立つ。自分も震えてるくせに…その背中が、ちょっとだけ頼もしく見える。


「聞こえないのか!早く…」

「失礼。皆様とこちらのお嬢様はどのようなご関係で?」


 明らかに堅気ではない風貌で、幼子を威圧するように怒鳴る男達。

 安藤さんが私達を庇い、背筋を伸ばして三人を睨む。

 結局巻き込んじゃった…でも、今はこれしか手が無い!


 男達は安藤さんが臆すことなく対峙するし、ブザーの音にどんどん人が集まってくるしで狼狽え始めた。

 誘拐犯の一人が懐に手を伸ばすのが見えた。まさか、銃!?


「安藤さんっ!!」


 危ない!と叫ぼうとした瞬間。



「何事ですか!!」

「「あ……」」


 男達の後方から、制服姿の警察官が二人…パトカーから降りて走って、きた。

 その姿に安堵して、私は腰が抜けてしまい座り込む。マスコットのお腹のスイッチを押すと首が戻り、ブザーも停止した。もう人寄せは必要ない。


「助けてっ!!!」


 女の子は大きな声で、警察官に向かって叫んだ。


「あたし、納夢(のうむ)珠々(すず)!!そいつらに誘拐されたの、逮捕してっ!!!」

「納夢?まさか…!!」


 警察官の顔色が変わった、気付いたようだ。

 この子が自分達の上官…納夢警視総監の孫だ、と。


 誘拐犯もこうなっては、逃げるか人質を取るかと迷っているのかもしれない。

 スキンヘッドでサングラスの、いかにもな男が即座に周囲を見渡す。

 後ろには警官二人、自分達を囲むように多くの人集り。


 眼前には…男が一人、子供が三人。ならば行動は一つだろう。


「動くなっ!!」


 警官の静止など聞くはずもなく、男達はこちらへ突進して来た。

 逃げ…立てないぃ!!警官も慌てて走り出すが、間に合わない!


 きゃあああっ! わあっ!!と声が上がる。

 誰か助けて…!私と女の子は目をぎゅっと瞑った。



 バキッ ガス!!と…鈍い音がした。そして呻き声が…

 私はなんともなく…恐る恐る目を開けると、そこには。



「ふう…ご無事ですか、皆様?」

「あ…安藤さん…!!」


 地面に沈む男二人、手をパンパンと叩く安藤さん。残りの一人は警官に取り押さえられて…

 安藤さん…スゲエ!!!流石大橋家の護衛、素手で誘拐犯アッサリ倒しちゃった!?



「すげええっ!!」

「何これ、なんかの撮影!?」

「じゃあ、あの可愛い子達子役なの?」

「え、カメラどこ!?」


 ギャラリーは何か勘違いしているようだが、私と優深ちゃんはそれどころじゃなかった。


 目の前の光景なのに、それこそテレビの中の世界に感じる。

 泣きながら保護される女の子も。

 応援なのか、次々増えるパトカーや警察官、刑事さん達も。

 連行されていく誘拐犯達も。

 事情聴取にご協力いただけますか?と言われている安藤さんも。

 その場で動けない私と優深ちゃんに、優しく「怖かったわね、もう大丈夫よ」と毛布を掛けてくれる女性警察官も。



「失礼。こちらのお坊ちゃんとお嬢様はこの後大切な用事がありまして…事情聴取は私だけでよろしいかと存じますが」

「はい、ではそちらのお子様達はこちらでお送り致しましょうか?」

「お願いします。場所は…」



 全てがどうにも現実感がなく、大変そうだなぁと他人事にしか思えない。

 自分達が行動した結果なのに…だ。



「ご両親には私からも連絡を入れておきますから。では、後ほどお会いしましょう」


 安藤さんは笑顔でそう言って、刑事さんについて行った。


 私達もパトカーへ案内される。それでもまだ地面に足がついていないような、音は遠く聞こえ眩暈にも似た症状に襲われる。

 優深ちゃんも同様なのだろう、顔がぽけっとしている。



 わあ、パトカー初めてー。そんなことを考えながら乗り込む。

 すると遠くから女の子の声がするような?実際はもっと近いかもしれないが、距離感が掴めない。



「ねえっ!あなた達のお名前は?」


 なまえ…?


「「……名乗るほどの者ではございません」」


 そう答えるのが精一杯だった。


 パトカーのドアが閉まり、走り出す。

 流れる景色を眺めながら、会話もなく走る。



 目的地のホテルへ到着。女性警察官にエスコートされるようにパトカーを降りた。


「「優深っ!!」」

「「一華(ちゃん)!!」」


「「あ……」」


 ホテルの前で、それぞれの両親が待っていたらしい。

「心配したのよ!」「安藤から聞いたよ」「怪我してない!?」「やだ、擦りむいてるじゃない!」「無事でよかった…」と…温かく迎えられ。


 この辺りから少しずつ感情が戻ってきて、服をぎゅっと握り締めた。


 他にも色々言われていた気がするが、覚えていない。

 それより愛さん…愛さんは?どこ?ねえ…


 エレベーターで控室のある階を目指す。

 私達も着替えなきゃいけないし。あ、その前に手当てかな。




 全て終えて…相も変わらずぼけーーー…とする私達。

 折角お洒落したのに。いつもなら「私可愛い…国宝級だわ…」と鏡にうっとりしている頃なのに。

 今日は優深ちゃんと私でベールボーイ、ベールガールをする。だから白いドレスに可愛いティアラもつけてもらったんだ。


 親族の控室に私もお邪魔して、椅子に並んで放心している。



「優深!一華ちゃん!!」


 バターン!!と部屋の扉が開き、誰かが飛び込んできた。

 心地よい柔らかい声…今は切羽詰まっているかのように鋭くなっているけれど。


 この声の、持ち主は…


「どうしたの!?先に出たのに着いてないって聞いて、もう心配したんだから!!」

「誘拐事件に巻き込まれたって聞いたよ!?」


 ……持ち主、は。



 

 純白のウエディングドレスに身を包んだ…愛さん。

 やや小柄な彼女によく似合う、エンパイアラインのドレスだ。

 豊満な胸の下で絞られたデザインで、そこからレースがふんわりと広がっている。小さな花の刺繍が散りばめられ、後ろには上品なリボンが。


 アクセサリーもメイクもセットも完璧で…とっても綺麗な花嫁さん。

 そんな彼女に付き添う朔羅さんも、タキシードが格好よくて素敵。



 二人は心配そうに私達の顔を覗き込む。

 すると…じわじわと、心の奥底から何かが込み上げてくる。


「う…うぅ…」

「……っう、ふぇ…」


 駄目だ、堪えないと。だというのに…激しい頭痛と同時に、何かの光景が脳裏に浮かぶ。




『え…事、故?愛が…運ばれた?』


 これはきっと、あり得たはずの未来。

 タキシードに着替えて、愛さんのドレス姿を楽しみに頬を緩ませていた朔羅さん。


 彼の控室に飛び込んで来た報せ。朔羅さんはその場に崩れ落ち思考が停止してしまう。

 我に返って病院へ駆け込むも…愛さんの死亡が確認された直後だった。



 この日は誰よりも幸せになるはずだったのに。

 輝かしい未来へのスタートラインだったのに。


 その道標を失い、絶望に涙を流す朔羅さん……



 でもそれは回避された。今こうして、二人並んでいるのだから。


 優深ちゃんも同じ光景を見たのだろう。眉間に皺を寄せて、口元を震わせて私の顔を見る。

 その、今にも泣きそうな表情が…私の涙腺ダムを決壊させる引き金となった。



「う……わあああああぁぁんっ!!!」

「一華ちゃん…!?」

「…う、ふぐぅ…あああああーーー!!!」

「優深!?どうしたんだい二人共…?」


 私達は声を上げて泣いた。

 止め方を忘れてしまったかのように、次々と溢れてきた。


 大人達は必死に慰めてくれて、自分達よりも小さな子にすら頭を撫でられて。

 本当は愛さんのドレスにしがみ付きたかったけど、最後に残った理性で阻止した。



 ああ…私達、やったんだ。守れたんだ。

 三人の命を。悲しみに暮れる男性を。不幸になった多くの人を。


 誰もそれを認識できないし、褒められたくてやった訳でもない。

 だけど…


 

 今だけ、いいよね?私達すごい!って誇らしく思っても。

 やり遂げた嬉しさや、失いそうだった恐怖心、それらが合わさって最早なんで泣いてんのか分からないけども。


 朔羅さんの大きく温かな手が、愛さんの小さく柔らかな手が、なんだかとっても尊くて。

 私達はその手を取って、泣き続けたのだった。



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