表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/29


南明は先生にお礼を言うと、今度は鈴麗の元を訪れる。

鈴麗は女官達に甲斐甲斐しく世話を焼かれていた。うんざりした様子で外を眺めながら、ベッドに上半身だけ起き上がらせて横になっている。

自分が来たことに気がつくと、さっと表情を強張らせる。それから、覚悟を決めたように姿勢を正した。

「南明様、王蘭様への誤解はとけましたか……」

少し悲しそうな顔で聞いてきた。

「それが……話す前に鈴麗様と話したいと何も話して下さらないのです」

私がそう言うと、話を聞いていた女官長がカツカツと足音を立てて近づいてきた。

「なんですかそれは⁉ あんな事をして鈴麗様と話したいなど……もちろん断ってくださいましたよね⁉」

女官長が凄まじい形相で詰め寄ってくる。

「やめなさい」

すると鈴麗が女官長をたしなめた。

「何度も言ってるでしょ、彼女のせいでは無いと……南明様そのお話お受けします。ですが私はしばらく動けそうになくて……」

顔色を見れば確かにまだ青白く、気分が悪そうに見える。

「ではこちらに王蘭様をお連れしても大丈夫でしょうか?」

「もちろんです」

鈴麗が頷くが女官長は人でも殺しそうなほど怖い顔で立っていた。

私は怖い女官長を無視してサッサと外に出て、王蘭様の元へと戻ることにした。

しばらく陛下を王蘭様と二人にしてみたが……変化はあっただろうか?

少しの期待を胸に牢屋へと急いだ。


南明は牢屋の前の兵士に声をかけ、階段を下りる。階下からは話し声が聞こえてきた。

内容までは聞き取れないが仁陛下が女性と話している事、それ自体が珍しく南明は足音を忍ばせて近づいていく。

「だから~こうですよ! こう! あー! 物覚え悪い人ですね」

「な、なにを⁉ 私は手先は器用なんだ!」

「これで?」

何やら揉めているような、呆れるような会話が聞こえる……そっと見つからないように顔を覗かせるが……

「あっ、きた!」

まさかの王蘭様にすぐに見つかってしまった。

「すみません……お待たせしました」

王蘭様は仁陛下と座っていた椅子から立ち上がって、こちらに早足で駆け寄ってくる。

「それで……?」

そして心配そうに顔を見上げてきた。

「おい! こっちはまだ終わってないぞ!」

すると、無視された仁陛下が、機嫌悪そうに王蘭様に声をかけた。

しかし王蘭様はもう既にそちらに興味が無いようで、仁陛下を無視している。

「クックック……」

そのいつもとは逆の様子に笑いが込み上げてきた。

「なにを笑ってる」

仁陛下に睨まれた。

「いえ、いつもならあなたが女性を無視しておいでなのに……と」

その事を伝えると、仁陛下は面白くなさそうに手に持っていた物を机に置いた。

「それは?」

二人がなにをしていたのか気になって思わず聞く。

「それよりも鈴麗様は?」

しかし、王蘭様はそれどころでは無いようだ。

「鈴麗様はまだ気分が優れないそうですが、王蘭様と話したいとおっしゃっております。なので出来るなら部屋に来て欲しいそうですよ。ただ、一応王蘭様は容疑者なので、私も同行させていただきます」

鈴麗様が会うと言ったと聞いて、王蘭様の顔には安堵が広がった。

「それで、次は私の番です。あの方となにをしていたのですか?」

「え? ああ、ここにいてもやる事無いので? 折り紙? で、千羽鶴でも折ろうかと……そしたらその人が、自分もやってみたいって言うんで、教えてあげていたのです」

「おりがみ? 千羽鶴?」

はじめて聞く言葉に私は首を傾げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ