第2幕
私が彼と出会ったのは、、なんて言っていると長くなりそうだから簡単に彼を紹介しよう。彼は私の大学時代からの友人で、成績は中の上、運動は全くダメな変人だった。本当に変人だったんだ。彼のせいで一体いくつの研究室がダメになったか…。重機を持ち込んだり、水没させたり、朝登校したら研究室がなくなっていたこともある。物理的に。根本的に頭のできが違うんじゃあないかと、私はにらんでいる。頭のネジを数本外さない限り、ああはならない。まあ、見ている分には愉快だったが。
そんな彼だからこそあんな研究をしようと思ったんだろう。悪夢についての研究を。
彼は昔から不老不死に憧れていたそうだ。それだけ聞くと厨二病を引きずっているただのイタいやつだが、彼は本気だった。その力で何かを成し遂げたい、というわけでは無く、ただ特別な人間になりたかったらしい。有り体に言えば、覚悟を決めて知識を得た厨二病だ。
しかし、不老不死について語る彼の目は少年のように輝いていて、いつも楽しそうだった。そして私は、そんな彼をできる限り応援してやろうと思っていた。いつの間にか私たちは、親友と呼べる仲になっていた。