ジェミニ・レゼは狂気ではない
付与効果
1ターンで攻撃できる回数は2回だが、1回目と2回目に共通の付与効果を持つキャラクターを選ぶと、攻撃力アップ、防御無視など、さまざまな効果が付与される。例えば、1回目にタウルス、2回目にカプリコームを選ぶと、付与効果:園芸部 が発動し、防御力アップの効果が得られる。付与効果は同キャラクター間では発動しない(1回目アリエス、2回目別カードのアリエスなど、同じキャラクターを選んだ場合)
ただし、ジェミニだけは例外で、付与効果:兄弟の絆 が発動する。
付与効果は1度の戦闘で3回のみ使用することができる。
『長らくのご愛好ありがとうございました』
この声が聞こえた瞬間、僕の視界は暗転した。
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「そうか、編入生は知らなかったね。彼が……」
「リブラ、やめてよ……!」
頭が割れそうに痛い。
目の前の黄緑色の長髪をかきあげるいけ好かない顔――この学園の絶対的存在、生徒会長リブラは、僕が止めているにもかかわらず、まだゆったりと会話を続ける。
まるで、僕の存在なんて、何一つ脅威ではないとでも言いたげに。
「兄を失った反動なのかな」
「やめてください……」
「仲の良い兄弟だったから、余計につらかったのでしょう」
「やめろ」
「ジェミニは、兄と同化して」
「やめろっつってんだろリブラ! よっぽど俺様を敵に回したいんだな!?」
「――ようやく出てきましたね、ジェミニのお兄さん」
「もしかして、二重人格……」
編入生はわなわなと口元を抑えて震えている。
「ええ、そのような認識で構わないと思います。――さて、お会いしたかったですよ、ジェミニのお兄さん……世界最高峰の魔術師カストル・レゼ!」
「黙れぇぇぇえええええ!!!!」
爆風がリブラを襲う。
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!お前に何がわかる!?!? なんの権限があって! 俺様の家族に口出ししてんだ!?!?」
「私に権限なんてものはありませんが……強いて言うなら、私は、あなたと戦いたかった。それだけです!」
リブラの瞳孔がきゅっと広がる。
シグヌム魔法学園最強の男が本気の形相で攻撃を放つ。
1つ目は尖った氷柱、2つ目は火球。
「こんなもので俺様を止めようってのかぁ?」
「カストル・レゼなら無理でしょう……ですが、ジェミニ・レゼなら問題ない」
確かに生徒会長もしている成績優秀なリブラからしたら、下から数えた方が早い順位のジェミニなど敵ではないだろう。
しかし、逆だ。俺がジェミニ・レゼだから、勝機がある。
こいつのやり口は3年間で知り尽くしている。
氷柱が火球で蒸発し、辺り一面霧のように真っ白で何も見えなくなる。
この隙に植物のツタを相手に放ち、捕獲する。
火球と氷柱で動きを止めて、視界を遮ったところで捕獲する。
それがリブラの基本的な戦闘スタイルだ。
本人と同じく癖が強い。
リブラの放ったツタを焼き払うと、閃光弾で霧のお返しに視界を奪い、上空に翔んだ。
すかさずドーム状に防護障壁を張ったのはわかっていたので、障壁の無い彼の足元に水を貯めた。
「チッ」
舌打ちの音が聞こえ、障壁が解かれる。
その瞬間を見逃さず、上から矢を放った。
「流星群」
「ぐっ……」
光の矢がリブラに向かって降り注ぐ。
……その先のことは覚えていない。
一部始終を見届けていたスピカによると、リブラが倒れ込んだすぐあとに、僕もふつりと糸が切れたように気を失ったらしい。
後になって、その時の僕のことを聞いてみたら、スピカはこう答えた。
「なんだか、幸せそうな顔をしていたよ」
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俺たちは神の末席として全能の神ゼウスより人型をもらっている。
つまり、この学園にいるものは皆、位が低いながらも、『神』なのだ。
しかし、同じ母親の腹から同じ時期に産まれたはずの俺の兄、カストルはただの『人間』だった。
カストルも神の腹から産まれたためか、普通の人間よりは力も強く、頭も良く、そして、長寿だった。
でも、神よりは、短命だった。
俺よりも早く背が伸び、親よりも早く老いていく兄に恐怖はあったが、俺にとっては、優しくて頼もしい、自慢の兄だった。
神からしたら、人間なんて儚い命を持つ、取るに足りないものなのだろう。
だが、その分、人間はゼウスに匹敵するくらい全能だった。
その一端を担ったのは、世界最高峰の魔術師、冠位魔術師の名を持つ、俺の兄、カストル・レゼだったのだろう。
「ジェミニー、卒業おめでとう!」
「アイラス……」
鈍色の髪を揺らしながら、一人の少女が走ってきた。
彼女はアイラス、僕の……いや、僕と兄の幼なじみだ。
「卒業なのはアイラスも変わらないだろ」
「はは、そうなんだけどさ、なんか実感が無くてねぇ」
それから肩を並べて歩いていたが、僕達の間にそれ以上言葉は無かった。
幼馴染を何年もやっていると、話題も尽きるし、話さなくても間が持たないとは思わない。
「ジェミニ」
「んー?」
「あんた、本当に高等魔法院行かないの?」
「そうだよ」
高等魔法院は、この国で魔法使いを目指すなら必ず行かなければいけない高等学府にあたる。
「それは、やっぱり……」
「アイラス」
立ち止まって神妙そうな顔つきのアイラスをじっと見る。
「僕ね、色んな世界を見て回りたいんだ。兄さんが一生かかっても見られなかった世界の全てを、僕が見てみたいんだ」
それに僕は、魔術師って柄ではないからね、と頬をかいたら、アイラスは「はぁぁーーーーーー」と長いためいきを吐き出した。
「あんたねぇ、自分が買い物も危うい生粋のボンボンだって自覚はあるの? 野宿しないためのルート検討は? 国ごとの滞在許可証の取り方の違いは? 自分が『神』だからってなんでもどうにかなるって思っちゃダメなのよ」
「は、はい……?」
「まったく、いい歳してどうしてこうぽやぽやしてるのかしら。で、いつ出るの? 私も準備があるから日時と行先ははっきりさせときたいんだけど」
「え、もしかして僕の荷造りしてくれるの?」
「え、いやよ。そんなんも自分でできなくて旅ができると思ってるの? ていうか、ここまで言ってもわからないの?」
アイラスはふんと鼻をならしていけだかに言いはなった。
「私も着いていくって言ってるのよ。カストルの代わりにはなれないだろうけど、少しは役に立つつもりよ」
「アイラス……?」
「もうあんたが、『カストルのように』振る舞うところを、見たくないもの」
アイラスはジェミニをずっと見てきたから知っている。
あの頭のいいリブラですら知らないことを知っている。
みんな、普段の気弱でぽやぽやしているジェミニの姿がジェミニで、戦闘時に語彙が荒くなり、一人称も『俺様』になるジェミニがカストルだと思っている。
幼馴染みのアイラスだからわかるのだ。
ジェミニは昔からやんちゃで手がつけられない悪童で、そんなジェミニを唯一宥められるのが、おっとりと穏やかなカストルだった。
二重人格でも、憑依でもない。
ただ、彼らは仲のいい兄弟だった。それだけである。
「そうと決まれば、これから忙しくなるね! なんだかすごくわくわくしちゃう」
アイラスは一歩前に駆け出して、ぐっと背伸びをした。その自然体な姿を見て、ジェミニは微笑んだ。
「アイラスは、昔から変わらないなぁ」
アイラスは振り向いた。
そして、満面の笑みを浮かべて言う。
「そうだよ。ずっとずっと、カストルが好きなジェミニが好き!」
キャラクター:ジェミニ・レゼ
擬人化元星座:双子座(Gemini)
CV:松岡禎丞
年齢:(7月1日時点で)18歳
誕生日:6月19日
タイプ:ディフェンス型
総合力トップカード:SSR『流星の魔術師』(20××年6月追加の誕生日記念カード)
概要:双子の兄を失ったことで人格が同化している二重人格。そのせいか、重いストーリーの多いキャラクター。ふたご座の由来も人間の兄のカストルと、神の弟ポルックスの双子の兄弟からきている。
性格は普段は穏やかで多少気弱な面もみられるが、一度感情が高ぶると一人称も『僕』から『俺様』に変わり、言動も荒くなる。
コメント欄
・どうして女性向けソシャゲは兄弟に業を背負わせるの??
∟それな
∟救いがない
∟運営は人の心がない
∟日本はジェミニ派、カストル派、そのままの二人を愛する派に分かれて混沌を極めていた…
・カストル君の方が作画がいいカードっていうか、いい顔してるカードが多くてもやっとしてた
∟わかる。どこが悪いというわけでもないんだけど、なんかもやる
∟そこに(運営の)愛はあるんか?
・普段は落ちこぼれなのに誕生日カードで魔術師の正装着てるのつっら……
∟お兄ちゃん、弟は立派に育ったよ……!
∟泣けるわ……
・この板保護者してる編入生というか、じじばばムーブかましてる編入生多くない???
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