吠えろ!怒りと嘆きのブラウン管〜友に捧げる偏向ヨーク〜
俺は誇り高きマヤのブ士、ケツァルコアトル。世界ブラウン管戦士大会に参加するため、部族に伝わる手斧型ブラウン管、テスカトリポカを手に、ここニポンの地に降り立った。
「ここで必ず見つけ出す。亡き父の仇……!」
その瞬間、気配を感じた俺は、振り向きざまに飛んできた砲弾を弾き返した。弾いてなお手に残るこの重い衝撃――ドイツの105mm徹甲弾か。
「くはは! よくぞかわした! 我が戦車型ブラウン管、ザワークラウトの一撃! だが次はそうは行かぬぞ!」
ドイチュのハイゼンベルクがそう言った次の瞬間――
シュキンッ!
――ザワークラウトが真っ二つになった。その間からすっくと立ち上がる一人のブ士。
「油断大敵。まず自分がかわせなければ、他人をどうこう言うどころではありますまい」
間違いない。あれはニポン刀型ブラウン管アメノヌボコを操るニポンのブ士、フジタカナスビ。
早くもこんな強敵に出くわすとは。
「カムサハムニダ! 俺のキムチ型ブ――」
ドドドドドドドドドッ!
大量の銃弾が、割り込んできた男もろとも周囲を穴だらけにする。
「ヘーイ! みんなミンチにしてやるぜ! この俺のバルカン砲型ブラウン管、クリスマスイブでな!」
くうっ、メェリカのタイコンデロガか! 相変わらず無茶苦茶な奴! 俺とフジタカナスビはすんでのところで避けられたが、どこかの見知らぬブ士を巻き込んでしまったぞ。まぁいいか。
「フフフ……役者はそろったようだな」
不気味な笑い声に、その場の全員が振り返る。そこにいたのは、全身黒ずくめの怪しい男。
「貴様は!?」
「我が名はホントナァク――見よ、そしておののけ! 我のブラウン管型ブラウン管、グレェトフォンブラウンの力に!」
男が掲げた見たこともないブラウン管から黒い波動が広がると、時空が震え、よじれ、全てが崩壊してゆく。
「こ、これは……っ!?」
全てのブ士が認識した。こいつこそ真の敵、我らが倒すべき相手。
さっきまで殺し合っていたブ士たちは、互いに視線を交わし合い、うなずき合う。
「「「貴様の思い通りにはさせん!」」」
今、世界各国の最強ブ士と謎のブ士の、世界の命運をかけた戦いの幕が、切って落とされた!
もう一度言います。ツッコんだら負けです(^^;。
お読み頂きありがとうございました。
楽しんで頂けましたでしょうか。
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