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異世界転移しました

今回の話はタイトルの通りに極道一家の長女が何の因果か乙女ゲームの世界へ転移した

乙女ゲーム?そんなものはしらねぇわ

あたしは自分の愛する家族とそれかシマさえ守れればそれでいい

かかってくる火の粉は蹴散らしてやんよ!

かなり口は悪いが姉御肌の主人公だが・・・残念ながらあなたのポジションは悪役令嬢のようです

悪役令嬢?は?あたしは極道令嬢だ。馬鹿野郎!

あたしの名は己龍真きりゅうまこと

関東の中でもそれなりに名を馳せている己龍組四代目の長女である

そんな私には一人妹がいるが・・・・あの子は家を嫌い実家である組にはいない

あたしはというと組の頭である父を尊敬している

私たちの住む町を見守り続け、そして住民からも兄貴と慕われている父が誇らしい

確かにヤクザ者であることには代わりはなく、時には騒ぎも起こすし暴力沙汰もある

それでも父は言っていた”薬とそれから堅気に手を出す奴は波紋だ。俺らの組じゃあご法度よ”って

だからあたしは将来はこの組を次ぐつもりだった

そんな時だ敵対していた組織の男どもの手によって私の組は嵌められた

今まさにサツが乗り込み捕り物中である

父親の辰巳たつみや母であり姐さんの真理まりそれから右腕のじんそれから組の皆

次々にサツにしょっぴかれて行く・・・そんな中突然屋敷の一部が爆発を起こした

ドォォォンと凄い音と爆風が襲う

その爆風によってあたしは愛刀と一緒に意識を失った・・・




次に目を覚ますと・・・・見知らぬ町とそれから・・・・風俗店か?

あたしが転がっている道はどうやら風俗街の道のようだ

愛刀を地面に突き私は立ち上がった

ちっ・・一張羅が台無しだ

私は着物の裾を破り刀を手にして歩き出した

周囲から視線が突き刺さるがそんなもんはクソくれぇよ

まずはここが何処なのかはぁくしねぇと・・・

懐からキセルを出して煙草を吹かす

ふぅ~・・・・・とりあえず良さそうな店にでも入るか・・・

あたしはぶらぶらと歩きながらこれからどうするか考える

すると一件の店が目に止まる

他の店よりも店構えもそれから雰囲気もワンランクは落ちるだろう店にだ

私はその店に近づき扉を開けた

チリィン・・チリィン・・・・

中に入ると店の女とごろつきらしい男が揉めていた


「てめぇ・・・このお方が貴族様だとしってて断ってるのか?」

「そうよ!アンタこの前うちの従業員に手をあげたでしょ!女の顔を殴るなんて信じられないわ!」

「ふん。金を払ってやってるんだ。何をしても構わないだろう!

 汚らわしい女どもに金を払ってやってるんだ!感謝しろ!」

は?この目の前のクズは今なんつった?

汚らわしい?何をしてもいいだと?

同じ女として今の発言を到底許す事はできねぇよな?

ふぅ~・・・と煙草をふかしてから


「なぁ・・・そこのクズ」

「クズ?誰の事だ?」

「お前だよお前。男相手に体張って仕事してる女を侮辱したお前だよ

 女を殴るとかクズじゃあねぇの。なぁ・・・」

「なっ!!」

貴族である私の前に現れた汚ならしい異国の服を着て黒く長い髪を一つに結んだ女

顔はそれなりに綺麗だが・・・黄色の綺麗な瞳だが目付きが鋭く気に入らない

「貴族であるこの方に対してなんと言うことを!」と護衛らしき男が言う

「そうかい?でも貴族だろうがなんだろうが関係ない

 この城の主は目の前の彼女だろう?ならその言葉に従いな!

 それができねぇようじゃ、客でも何でもねぇのよ

 彼女が否と言ったんだからさっさと出ていきな!」

あたいはキセルを男に突きだして彼女の前立つ

「言わせておけば!この!殺れ!」

「ですが・・・」

「いいから殺れ!この店も潰してやるッ!」と憤慨している

「女・・俺を恨むなよ」とニヤリと笑って男が剣を振るう・・・はずだった

それよりも早く目の前の女が剣を振るう

流れるように横に一閃・・・・

すると男の胴体からはブシュウゥゥゥと血飛沫が吹き上がり・・ドサッと崩れ去った

女は動揺する様子もなくその身に血の雨を浴びウジ虫を見るような瞳で目の前の男を見下ろした

「ひっ・・・!!」

シュッ・・!と刀を降り血を落とすと刀を肩に担いで私を真っ直ぐ見つめると

口にくわえているキセルをもう片方の手でふぅー・・と吹かす

「まだ何か文句でもあるのかい?

 それとも・・・今度はあんたがあたしの相手になってくれるのかい?」

「くそっ!覚えてろ!絶対に許さないからな!」と負け犬のような台詞を吐くと男は店を出ていった

「おとといきやがれってんだ!」

私はふぅー・・・と一息つくと着物の裾を破り刀の血を丁寧に拭う

それからキチンと鞘に納めた


「あ・・・あの・・・」

私が声を聞いて振り向くと

「あ・・あの!助けて頂いてありがとうございます」とお礼は言ってはいるものの目が泳いでいる

それはそうだろう

貴族に逆らったとなればタダじゃすまないと思うだろうし、不安なのだろう

「いや・・逆に余計な事をした。すまない」とあたしは頭を下げた

「え!?」

「あんたの心配はもっともだろう。配慮がたらなかった

 だけどな、あたしから言わせりゃあんな男は客じゃねぇ・・・

 だからあんたの取った態度も言葉もまちがいじゃあない

 あたしがあの男に腹が立って殺しちまっただけさ

 だから役人にあたしを犯人として差し出すなりすればいいさ

 でも・・・もしあんたがこれからこの店を良くしたいってんならちょっとだけでいい

 あたしの話を聞く気はないかい?」


目の前に現れた髪が黒く美しく、金色の切れ長の瞳を持つ妖艶な女

彼女は私に微笑みながら語りかけて来る

私の目の前に現れて毅然と男に立ち向かい、そして切り捨てた恐ろしい女

でも・・・その真っ直ぐで美しい瞳に囚われてしまったーーーーーー逃げられない

私もにっこり笑って


「ええ!貴女のお話聞くわ!是非聞かせてちょうだい!」

私も一歩を踏み出す

この店は私の城で私と彼女達の生きる場所

だから守りたい


「そうかい!アンタは肝の座ったいい女だねぇ

 そういう女は必ずのしあがれるよ

 じゃあ、奥へつれていってくれるかい、お嬢さん?」と手を差し出す

「クスッ・・・ええ、勿論よ。旦那様」と彼女の手を受けとる

「おいおい・・あたしはこれでも女なんだけどねぇ・・・」

「そうね。でも、貴女にふさわしいでしょ?」

二人でくだらないやり取りをしながらこの店の奥に消えて行く


奥に進む通路を通っている最中にも部屋の中から女の悲鳴が聞こえてきた

それを聞き付けた彼女はなんの躊躇いもなく部屋のドアを蹴破ると中に入っていく

「なんだてめぇは!」とお決まりの台詞と「俺は客だぞっ!」と必ず客だから上だと勘違いをする

殴られていたり、体の何処かに怪我をしているのを見た彼女は

「寝言は寝ていえ・・馬鹿が

 ルールを守らねぇやつは客じゃあねぇんだよ。クズが

 お前の肝みてぇにちっせぇもん切られたくなけりゃとっとと消えな!」と刀を抜く

「なっ!てめっ!」男が剣を振るうより早く鞘に納めた刀で男の腹を殴る

「ぐはっ!」と男は呻いてどさっと倒れた

「だいじょうぶかい?ああ・・・綺麗な肌にこんな傷つくちまって、可哀想に

 顔みせてごらん。顔は大丈夫そうだね

 良く頑張ったな・・偉いぞ」と微笑むと女の頭を優しく撫でてそっと抱き締めた

彼女もまた女の微笑みを見て安心したのか涙を流して抱きついた

「こ・・・怖かったですっ・・・」

「そうだな・・もう怖くないだろう?

 泣き止んでおくれ・・・可愛い顔が台無しになるよ」と頬を優しく撫でながら諭す

「は・・・・はい・・・・」と頬を赤く染めて涙を拭う

「いい子だ。お前は強くていい子だね

 ちょっと休んでておくれ、あたいはこの目の前のごみを捨ててくる」

女は軽々と男を担ぎあげると、申し訳程度に腰に布を巻いてから入り口から表に放り出した

パンパンと手を叩くと何事も無かったように店内に入っていく

外はと言うと道は暗く、そして人通りもまばらだ

その為女の所業にも男にも誰も気がつかないのだ


まったく男と言う生き物は・・・・

あたしはその後も同じように女に無体を働いた男どもを容赦なく外に放り出す

そして今日は店を閉めるように進める

「今日はもう店を閉めちまいな

 あたしが男どもを外に出しちまったからね~開けてもいい事はなさそうだ

 それにあたしはゆっくりあんた達と話が出来て一石二鳥さ」

「そうね!今丁度最後にいたお客も帰ったわ」

彼女は店を閉めに出ていくと入れ替わりで先程助けた女達が入ってきて

「あ・・・あの!さっきはありがとう。私シエラ」

「さっきは助かったわ。私・・ルーナ」

「私も助かったわ!私サラよ」

「そうか。私はまことだ。よろしく」

「マコト様・・・・・」

「素敵・・・」

「格好いいわ・・」

「言っておくが私は女だぞ?」

「「「知ってるわ!」」」

「でも、そこら辺の男より全然格好いいわ!」

「ほんとよね!もう格好良かったわ」

「ほんと!素敵」と彼女達は私の周りに着て抱きついてきた

「そうかい?それは嬉しいねぇ」

「「「はうぅぅ・・・」」」と頬を赤く染める

「あははははは!本当に可愛いねぇ

 誰かあたしと今夜一緒に寝てみるかい?」

「「「!!!!」」」


そんな時にぎぃ・・・とドアが開いて店主が戻ってきた

「え?な・・何が起きたの?」

この店の女達が顔を真っ赤にして私の側にいる

しかも私は悠々と煙草吹かしその周りに美女を侍らせているのだ

「彼女たちが可愛くてねぇ。ついつい・・誑らかしてしまった」とクスクスと笑う

「まったくもう!ずるいわ!私も入れて!」

「いいよ。ほら・・・こっちにおいで」彼女を私の上に座らせる

「ふふふ・・・名前教えて?」

「あたしは真だよ。お前は?」

「私はジュリアよ。マコト♪」

「さてと・・この店の今後を話し合おうじゃあないか

 あたしが来たからにはいい店にしてやるよ

 それとあんたらは私が守ってやる・・誑から家族になるんだからな」

「家族・・・・」


それからあたしは彼女からこの歓楽街の話を色々と聞いた

この歓楽街には6店の同じような店が競うようにあるらしいが店同士はあまり中が良くないようだ

それとこの店はその中でも4番目に人気の店だそう

女の子の数もここにいる子を含めて全部で8人だそうだ

決して多くはない

その他にも性病にかかってしまい客は取れないが働いているものが三人いるらしい

その病気について聞いてみたが、三人とも既に完治はしているものの再発する可能性が高いので無理なのだそう

それとその病気を持ち込んだ男どもはと言うと謝罪も治療費も払わなかったそう

名前がわかっていると言うことなので今後来たら店に入れる気はない

それからこの世界の事を教えてもらう

この世界のなかでもここは辺境伯であるこの国の宰相がまとめている地域なのだそう

そして近隣にはモンスター等が出るためその討伐するために冒険者ギルドがあるそうだ

だからこの界隈にはごろつきんもような男が多いのか・・・

とりあえず他にもいくつか問題店もあるがあたしは彼女に今後のやるべき事を伝える


「まずはこの店を大幅に変える

 内装も雰囲気もなにもかも全て変える

 それがまず一つ」

「でも・・店を改装するお金なんて・・・」

「そこは心配しなくていい

 あたしが冒険者ギルドに登録して稼いでやる

 だから心配するな

 その代わり最初に執拗な道具や着替えはお金を借りる事にだるだろうが・・いいか?」

「え?それはいいけど・・・あなたが稼いでくれるの?」

「ああ、勿論だ

 その代わりあたしの為に美味しい食事と寝床を用意してくれるね?」

「は・・・はい・・・っ」

「いい子だ

 それとこの店のシステムそのものを変更する

 つまりこのお店の営業内容を全て変更するんだ

 このままだとおまえ達が損するだけだ、根本的な事を変えよう」

「どうするの?」

「この店を”高級娼館”する

 他の店が真似できないものをもつ唯一無二の店に変えるのさ」

「「「!!!!」」」

「あんた達は今まで沢山の経験を得た

 経験は”武器”だ。あんた達自身を守る為の武器になる

 元々高級娼婦の女が出来ないこともあんた達ならできるだろう?

 これは侮辱ではない

 覚悟をもって仕事をしているあんた達だからこそ出来る事もあるってことさ

 それは十分強みであり武器さ

 あたしが教える事をキチンと守りさえすればあんた達はのしあがれる!

 あたしについて来る覚悟はあるかい?」

「「「はい!」」」


それからあたしは彼女達にこれからの事を話す

「まずこの店を三つの区分に分ける」

「三つ?」

「そうさ”お客に合わせた店を三つ、この店の中に作るのさ」

「え?お店の中に店を作る?」

「そうだ

 1つ目はこの店の本来の姿である娼館だ

 店の奥雰囲気の違う専用の部屋を8つ作る

 部屋の内装が違うだけで雰囲気も気分も変わるだろう?

 それだけで常連の客も出来る

 だからあえて全部違う内装にするんだ

 内装のイメージはそれぞれの国にでもするといい

 そして、この娼館は予約か他の店でしか利用出来ないようにする

 2つ目はキャバクラ・・つまり綺麗な女の子とお酒を楽しむだけの店

 そこでは性的なサービスはなくボディタッチまでしか出来ない

 だから性病にかかり客を取れない女の子達もそれから客のいない娼婦も働ける

 元娼婦や娼婦と飲めるなんてそれだけで魅力的じゃあないか?

 ここでこのお店の娼婦とお酒を楽しめるようにする

 もしそのまま娼館を利用する場合は相手を選んで貰うか娼婦が直接口説けばいい

 それから料金は娼館利用の場合は別途料金を頂くんだ

 三つ目はソープだ・・・これはお店の女の子達に風呂で体を洗って貰うサービスだ

 勿論本番はなし、やった場合は罰金を貰う。これはキャバクラにも同じ項目を入れる

 このサービスはきっともう行為は出来ないがそういう女の子と楽しみたい客にうける

 勿論あんた達には持ち場を何日か交代で行って貰う

 そうすれば体も休められるし、気持ちも余裕が出来るだろう?

 娼館以外の店のやり方はあたしがきっちり仕込んでやる。心配するな

 とりあえず、あたしの作りたい店はこう言う店だ」


「「「・・・・・・・・すごい」」」

「凄いわ!これなら無理をしなくても住むし、私達の安全も確保できる

 それに、娼館で働けなくなった子達も働けるのね!」

「勿論店の入り口の外には店事の料金を書いておく

 なかでは受け付けをもうけて店の説明をして貰い禁止事項に納得してもらい書類にサインをもらう

 この書類はキチンと国に届けておけはいい

 それから店内の壁には女の子達の名前入りの姿絵を飾ろう

 客の中で絵の上手いやつにかかせろ

 そうすれば店内もぐっと華やかになる」

あたしは紙とペンを借りて店内の内装についての考えをまとめて書いていく

店の中にそれぞれのスペースを書き込んでいく

勿論奥の娼館には私の待機スペースを作る

聞いたのだが部屋の中で使える通信魔道具があると言うことなのでそれも設置する

勿論キャバクラの呼び鈴代わりにも、それからソープにもだ

「え?こんなに?」

「どうせ作るのならとことん最初にやってしまったほうがいい

 後からではよけいな金が掛かる場合があるからな

 どうせやるなら派手にやろうじゃあないの」

「そうね!やるならそうよね!」

話は決まった!

それからの行動は早かった

まず店の女の子達にはキャバクラの接客の仕方を教え込む

すると彼女達は新しい知識を得ようとどんどん吸収していく

勿論ドレスについても色々と意見を出しあった

それからソープ・・・これが彼女達を驚愕させた

元々この店にある少し広めの風呂に女の子をあつめてあたし自ら実践だ

あたしが実践で教えていると気持ち良さそうな女の子を見ていた他の子達が興奮していた

「凄いわ・・・本番をしている訳でもないのにこの満足感

 それに、これなら本番をするよりも気も体も楽!これでお金を貰えるなら頑張るわよ!」とサラ

「そうだろう?」

「ああ・・・もう、気持ち良かったわ・・・」とジュリア

ここで必要なマットや風呂については個室というのがネックなのでそこは改装業者と相談だ

それとこれは娼館でも使うがセクシーな下着とそれからベビードールという透け透けの下着を提案した

「あら?素敵ね!」

「道具や下着に関してはきっちり口止めをしてうちの店の物にしておこう

 だから業者を選ぶ必要がある。それは私が行う

 その他の事もだ

 あんた達は来るべき時まで技術を身に付けておく事だ。いいね?」

「「「「はーーーい♪」」」」

「いい返事だ」


あたしは一通り彼女達への仕込みを終わらせると防具やで選んだ服と愛刀を持ち冒険者ギルドに向かう

今のあたしはシャツの上に胸の所にプレートを付け、長いズボンに皮のブーツをはいている

それと手には指の部分が出る皮の手袋と刀を持って中に入っていく

妙な出で立ちの女の登場で周りが少しざわめいた

「ようこそ!冒険者ギルドへ。登録ですか?」

「ああ、そうだ」

「ではこちらをお読みください」

私は禁止事項や登録についての内容を確認する

それが終わり、登録の為の水晶に手を翳した


マコト・キリュウと表示されて

適正属性は雷・風・水・土らしい

「四属性持ち!」

これはそんなに驚く事なのだろうか?

よくわからん

「す・・・凄いです・・」

「そんな事はどうでもいい。さっさと登録してくれ」

「はい!」

登録をして貰い登録証を受け取ったので早速依頼を受けようと掲示板へ向かう

文字や言葉はなぜだかこの世界に来たときからわかるので大丈夫そうだ

さてと・・まずは

「おい!お前女か?何でてめぇみてぇのがこんな所にいるんだ?ああ?」とまるでチンピラのように男が言う

「しかもいいもんもってるじゃねぇか!寄越せよ」と絡んでくる

ギルド内での喧嘩はご法度らしいが・・・職員は見て見ぬ振りをしている

そうか・・・見てみぬ振りか

あたしは男を鋭い瞳で睨み付けると

「女だがそれがどうした?それと私の愛刀を寄越せだと?寝言は寝て言え、クズが」

「なッ!てめぇ!」

「兄貴はなこのギルドで有名なAランクの冒険者なんだぞ!」

「それがどうした?てめぇのやってることはそこら辺のチンピラと同じだ

 そんなヤツに払う敬意なんてもんはねぇな。失せろ」

「言わせておけば!このッ」

男があたしに向かって拳を振るうが届かない

あたしは男の拳を掴んで腕を捻りあげる

「ぎゃぁぁぁ!腕が!腕がぁぁぁ!」

「チッ!男の癖にみっともねぇ声だしてんじゃねぇよ!」

あたしはうるさい男を蹴り付けて床に転がすと足で踏みつける

「あっ・・兄貴!?」

さっきまでニヤニヤしていた周りの男どもの顔からサー・・・と血の気が引いた

予想もしていなかった女の蛮行に肝が冷える

「・・・これはなんの騒ぎだ!ッ!」と一人の男が声をかけてきた

男は姿からして騎士と言ったところだろう

黒く短い髪に紅い瞳・・そして頬にはナイフでつけられたであろう傷のある男だ

俺の声で振り向くと漆黒の艶やか髪と金色で綺麗な瞳を鋭くさせて猛獣をおもわせる視線が俺を射抜く


俺は父親である宰相と共に領地をまわっていたのだが、冒険者ギルドの前を通り掛かるとやけに騒がしい

「父上、何やら騒がしいですね」

「そうだな、丁度いい・・少し寄っていくか」

父上とギルドの中に入っていくと、中央で何やら揉めているようだ

声からして男と・・・女か?

俺が歩くと周りの人間が避けて行き騒ぎの場所までたどり着いた

はぁ・・揉めていると言うのに周りは傍観か・・・

俺は男が女に殴りかかった・・・・が俺の予想を裏切り女は男を返り打ちにしたのだ

「ほう・・・・」

「父上・・・」

後ろでは父が顎を手で擦りながら面白いものを見たような顔をしている

俺は止める気が一切ない父親にため息をつき女に声を掛けた

振り返った女の表情に息を呑んだ


漆黒の美しい髪に金色に輝く瞳・・そしてなんとも言えぬ白い肌と凛とした顔立ち

そして何よりもその瞳だ・・全てを射ぬ射てしまうほどの強い意思を秘めた獣のような瞳・・美しい

そんな女の唇から

「あんた。あたしになんかようか?」とぶっきらぼうば言葉が出てきたのだ

「ああ、何をしていた。ここでは暴力は禁止事項のはずだろ?」

「ああ・・そんなことか?

 この男があたしが女だって嘗めてかかってきたんだよ

 しかもあたしのこの愛刀を寄越せってね

 あたしがしたのは正当防衛だよ」

「本当か?」

俺は男に聞くと

「違います!俺はそんなことっ」

「ではなぜ殴り掛かったのだ?お前が先に手を出していただろう?」というと女の瞳が開いた

「え・・・そ・・それは」

「男ならはっきり答えろよな!」と女が言う

女の言っている事はもっともだ・・往生際の悪い

「もういい・・お前、こいつは規則を破った。ギルドマスターに報告しろ」

「はっ・・はい!」と職員が奥に消えていった

男があたしを見て

「で・・お前は誰だ?見ない顔だが」

「あたし?あたしは今日登録した女さ」

「名前は?」

「貴族様のあんたがそんな事聞いてどうすんのさ?」

「俺が個人的に知りたいだけだ。それならどうだ?」

「あはははは!あんたももの好きだね?いいよ、あんたは素直でいい

 あたしはマコト・キリュウだ」

「そうか・・・少し話をしないか?」

「ん?あたしは仕事をしないといけないんだけどねぇ?」

「そんなに金が必要なのか?」

「ああ、必要だねぇ・・豪邸建てるぐらいの金額は・・だけどねぇ」

「そうか。なら私がその分を支払おう」

「馬鹿いってんじゃねぇよ。タダより高いもんはねぇ・・要らないよ」

「ク・・・アハハハハハ!面白いじゃないか!娘!お前はいいな

 私はこの領地の領主シルドレイと言う、日当程度の金とそれから食事を奢ろう

 それならばいいだろう?」

父がそういうと彼女はニヤリと笑って

「そうだねぇ。それならいいだろう。その金であたしの”今日の”時間を売ろうじゃないか」

「そうかそうか!では行こうじゃないか。いくぞ、ジーク」

「は・・はい!」

そう言うと領主達と女は周りを置き去りにして冒険者ギルドを後にした

と言うわけで

お楽しみ頂けたでしょうか?


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