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晴れ・十字架・主人公

投稿日:7/23

 時間:1時間10分(10分オーバー)

文字数:1375字

晴れ・十字架・主人公


 今日も晴れ、きっと暑い一日になるだろう。

そんな予感のする早朝、俺はゆっくりと坂道を上っている。

朝早いというのに、太陽は既に空に昇り、世界を照らしている。

頑張ったところでだれも喜びはしないのに、輝き続ける太陽。

その姿を見ていると、不思議と心が落ち着かなくなる。

まるで自分の淀んだ心を見透かされているかのようで。

これから行おうとしていることに自信のない自分を叱咤されているようで。


 物心ついたころから、自分は周りと違うとわかっていた。

周りのみんなの話を聞くとき、その声に合わせて別の声が聞こえてくる。

「今回も〇〇はテスト満点か、すげぇな!」

「××ちゃん、本当に絵がうまいね!」

「△△足速すぎ、追いつけねぇわ。」

こんな言葉を聞くたび、同時にこんな声が聞こえるのだ。

「テストで点数とるしかできないくせに」

「まぁ私の方がうまいに決まってるけど」

「あいつが怪我すれば俺がレースの代表になれるのに」

そんなことを裏で思っていながら、口ではてんで違うことを言う。

自分もそうなるのが怖くて、思うことを正直に話すようにしていたら

気づけば俺は孤立していた。

嘘をつかなければ成立しないこの世界が、俺にはどうしようもなく汚く思えた。


 そんな毎日を過ごしてゆく中で、俺にとっての救いとなる時間がある。

町の外れにある教会での時間だ。

教会での時間は俺にとって心からの救いだった。

日曜日の礼拝の時間を除いて、人が訪れることのほとんどない、小さな教会。

小高い丘の上にあるその小さな教会に毎日のように訪れるのは、

俺を除けば牧師さんか、散歩のついでに訪れる近くに住む老人夫妻だけだった。

彼らはほかの奴らと異なり、放つ言葉はほとんどすべて裏のない言葉だった。

「こんにちは、今日もいらっしゃったのですね」 

「えぇ、ここはとても静かですからつい。いつもいつもお邪魔して、申し訳ないです」

「神は自らを信ずるすべてを受け入れられます、どうぞゆっくりとお寛ぎください」


「こんにちは、今日も良い天気ですなぁ」

「こんにちは、今日もお二人ともお早いですね」

「年より二人ですからねぇ、朝は早いんですよ」

「私を年よりにいれてもらっちゃあ困りますよ、おじいさん」

何を気にすることもなくできる会話のやり取りがどれだけ嬉しいことなのか、

このお三方にどれだけ感謝しているか。


 この妙な力について、これまで誰にも話さないで生きてきた。

話したところで信じてはくれないだろうと思っていた。

それに信じられたとして、そんな奴と誰が仲良くしていたいと思うだろう。

世の中は本音と建前で回っているのに、勝手に本音を暴かれるのだ。

どう贔屓目に考えても、良い結果は生まないに決まっている。

そう思い、今まで打ち明けることを拒んでいた。

だが、あの人たちならば、もしかしたら受け入れてくれるのではないだろうか。

本当のことしか話さない、あの人たちならばあるいは。

今まで、常に斜に構えて生きてきた。

本当のことを言っても受け入れられないことを知り、下を向いて生きてきた。

でも、あの人たちがもし受け入れてくれたなら。

今までずっと背負ってきたこのどうしようもない思いを降ろせる気がする。

緩やかな坂道の先に見える小さな十字架を見つめながら、

一歩ずつ、ゆっくりとこの坂道を登っていく。

今日の晴れの日に世界が変わることを夢見て、今この坂道を登っていく。


 


 


「十字架」のお題を見たときに「教会」と「罪」が頭に浮かび、何かに苦悩する「主人公」という路線に決定。


「晴れ」というお題から、救いはある感じにしたいと考える。

「晴れの日」という言葉のイメージもあり、主人公が救われる特別な日であることを示そうと決定。


そのまま流れで執筆開始。前回の反省点を考慮できていないことはご愛敬。

書いていくうちに「十字架を背負って丘へ上る…イエスかな?」とイメージが沸いたが生かし切れていない。反省点。

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