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短編小説

夏が来ると僕は透明になる

挿絵(By みてみん)



 夏が来ると僕は


 少しずつ透明になっていく


 体の色々な細胞が


 少しずつ透明になっていく




 夏が来たのにやる事ないから


 窓開けて、ビール飲んでる


 ビールはスーパー128円


 500ml缶を少しずつ




 透明な体をあらゆるものが


 通過していく


 イデオロギーも物質も人々の怒号も


 すべて、なんでもないように通過していく




 ああ、また、どっかで誰かが謝罪してるよ


 ああ、また、どっかで誰かが切れてるよ


 ああ、また、どっかで誰かが刃物振り回してるよ


 ああ、また、どっかで誰かが人生を誇っているよ




 でも、全部、関係ないや


 だって僕の体、透明だもん




 夏が来ると僕の体は


 少しずつ透明になっていく


 透明な体を色々なものが通過していく


 飲んだビールも透明になって流れていって


 僕は少しずつ雲に溶けて…




 このビールがなくなったら


 働き始めるよ、僕も


 でも、きっとなくなる事はない


 安物500ml缶




 どんな人生も少しずつ透明になっていって


 そうやって空に消えていくんだと思う


 夏が来ると 恋人達は花火に 僕は


 空に…空に…




 500ml缶持って天国に遊びにおいで


 僕はそこにいるから


 ほら、あの入道雲の裏側


 あそこが僕の住処なんだ…






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