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異世界に来たけど人類滅亡してました。  作者: 青咲りん
序章 不可視の悪魔
8/71

八話 とりあえず寝床完成しました。

 おはよう、こんにちは、そしてこんばんは。

 どうも、アリスです。

 こんにちはって実は、「今日こんにちはいい天気ですね」とか、「今日は〜〜ですね」の略なんだそうですよ?

 こんにちはの“は”がどっちだったか迷ったときは、思い出してみてもいいかもしれません。


「だから、一体俺は誰と話してるんだよ……?」


 一人の時間が長すぎると、ここまで早く頭おかしくなるんですかね?

 ……いや、家に一人でいた時はそんなことなかったし、きっとこれは、この場所が人の気配の全くしない森の中だってことが、きっと関係しているんでしょう。


 それはさておき。


 MP回復ポーションを作るために、その材料である紅玉草の採取に向かった俺は、運悪く亜種のフィールドボスと遭遇した。


 反応速度が異常なフィールドボス、ハガルボア・ロード(亜種)の討伐を何とか終えた俺は、現在戦場跡地にて紅玉草の回収作業中です。


 多分、この作業が終わってあの池のところまで戻ったら、俺の召喚獣のリビング・メイルはきっと、寝床の建設を終えている頃だろう。


「……腹減ったな」


 今は何時くらいだろうか?

 空を見上げれば、天頂よりちょっとだけ日が傾いている。


「んー……と」


 俺は一度、紅玉草を摘む手を止めると、メニューを開いて時刻を確認した。


「15時52分か……」


 もうそろそろ4時じゃん。


 俺は一旦紅玉草を全部アイテム欄へ放り込むと、代わりに何か食べられるもの(既製品)がないか探す。


「んー……たしか、街で買った回復用の食料アイテムが何個かあったと思うんだけどなぁ……」


 カラコロカラコロと、可愛らしい音色を立てながらスクロールされていくストレージを流し読みしていく。


 すると、ある時点に大量の干し肉が羅列されているところを見つけた。


「うわ、何これ……。

 干し肉 ×99がストレージ一面覆ってるんですけど……」


 アイテムストレージに入るアイテムの量は、一種類のアイテムに付き最大99コまで入る設定になっている。

 ただし、武器や防具などの例外もあって、こいつらは一つのマスに一つしか入らない。


(俺、こんなに干し肉買ってたっけなぁ……)


 確かに干し肉はHPとMPの両方を回復できる優れアイテムだが……。

 第一回復量が少ないし、今となってはHPだけならともかくMPは二十万もあるわけだからな……。


「ま、あるならあるで使わせてもらうけど」


 俺は『干し肉 ×99』と書かれた欄をタップして、その中から干し肉を一つ取り出すと、メニューをオフにする。


「はむ……。

 ふぐふぐふぐ……」


 ……硬い。

 硬いくせに、噛めば噛むほど肉汁が溢れ出してくる……!


 あと何よりしょっぱい!

 すごい喉乾く!


 あと滅茶ご飯がほしい!

 白飯ほしい!


「んぐん……。

 ……これは、早く白飯の代わりになる穀物探さないとなぁ」


 近くに水田でも見つかれば、人にもあえて一石二鳥なんだけど……。


 俺はメニューからマップを開くと、小さくため息を漏らした。


「進行率はまだ1%にも満たしていないんだよな……これ……」


 進行率とは、フィールド全体のマップを100%として、自分が探索を終えているマップの領域のことである。

 結構歩き回ったつもりなのだが、それでもまだその1%には届いていないようだ。


「さてはて……。

 この森を抜けるのはいつになることやら……」


 俺は落胆したふうに肩をすくめると、その場を後にするのだった。


⚪⚫○●⚪⚫○●


 池のある場所(もうめんどくさいのでキャンプ場と呼ぶことにする)に戻ってくると、立派な一軒家が完成していた。


「……俺、そんなこと言ったっけ……?」


 確かに、寝床になるような小屋を用意しろとは言ったよ?

 言ったけど……。


「この召喚魔法、いまいち便利なのか不便なのかわかんないな……」


 ま、別にいいけど。

 使いやすいならそれに越したことはないし。


 俺はなんとなくで召喚獣に労いの言葉をかけてから、召喚魔法を解除してその家の中へと足を踏み込んだ。


「おお……」


 思わず、感嘆の息が漏れる。

 なぜならそれは――


「外観に反して中身何もないな!」


 ――外から見たときは立派な一軒家、しかも2階建てに見えたのだが、扉を開けて中に入ってみるとあらびっくり!

 壁も天井も何にも無し!

 天井はあるにはあるけど、見えているのは二階の天井。


 中の空間だけを見れば完全に体育館だ。

 設備不足の体育館だ。


「ほんと、便利なのか不便なのか……」


 俺は頭を抱えながら、その場にうずくまるのだった。

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