7 新たな人物
キルファさんが連れてきたのは看板に大きくギルドと書かれている場所だった。
ギルドと言うと、冒険ってイメージだけどこの世界にも冒険者っているんだろうか。
中に入ると、異様な雰囲気が襲ってきた。
鎧で身を固めている人も居れば、身軽な服装の人も居る。
入ってきた私達を審査するような目で見ている。
「あら、所長さん。珍しいですね」
「あぁ、いや客人が来ていてね。少し部屋を貸して欲しいんだけど、空いているかな?」
「ええっと、少々お待ちください。今ですと……B-3が空いてますね。時間はどうします?」
「そうだな……3,4時間、もしかしたらもう少しかかるかも」
「わかりました。終わったときにまた声を掛けてください」
「ありがとう、助かるよ」
「いえいえ、いつもお世話になっていますから。あ、そう言えば"彼"来てますよ。そろそろ降りてくるはずです」
「ん?あぁ、そうか。丁度いい。彼にも手伝ってもらおう」
キルファさんは受付らしきカウンターの女性と話し合っている。
彼って、一体誰のことだろう。
二人の会話を聞きながら周囲を見渡してみる。
なんというか、牽制されているような空気を感じる。
そのままぼーっと辺りを見ていると、階段を降りてくる人と目が会った。
なんとなく見たことあるような顔をしている。
それにしても、この階段はどこに続いているんだろう。
さっき言ってた部屋って階段の上かな。
「ああー!!!」
突然セカイが大きな声で階段から降りてくる人を指差した。
その反応は割と失礼な気がするけど、もしかして知り合いなんだろうか。
「あ、あんた!どうしてここに!!」
「それはこっちの台詞だと思うけど……なんでミハがここに?」
「あ、噂をしてれば、オリキさんちょっといいですか?」
「あ、はい、何でしょうか」
「久しぶり、調子はどうだい?」
「キルファさん……!!はい、俺はいつも通り元気です。キルファさんこそ、最近忙しいって聞きましたけど」
「まぁ、ね。でも、何とかなってるよ。それより、この後時間あるかな?ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど」
「大丈夫です、俺にできることなら!」
「ありがとう。それじゃあ皆、詳しい話はB-3でしよう。さ、階段を登って」
階段を降りてきた彼は、キルファさんの知り合いらしい。
でもって、セカイとも面識があるようだ。
ミハって呼ばれてたし。
何はともあれ、とりあえず彼も含めて部屋へ行くことになったみたい。
キルファさんに促されて階段を登る。
階段を上がった先には扉があって、キルファさんが持っていた鍵を差し込むと左右に分かれるようにして扉が開いた。
鍵穴がどこにあったのかは見えなかったけど。
扉の先は真っ白い空間で、丸いテーブルと椅子が置いてある。
キルファさんは前の方で黒板らしき文字を書ける板を取り出した。
これからいよいよ、地球へ帰るための説明が始まる。
「さて、まずは自己紹介でもしましょうか」