表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全ての終りの魔法の世界  作者: 碧夜 蒼
24/25

24 実戦へ

ようやくこの剣にも慣れてきた。本当のことを言うと、あんまりゲームとかしないっていうか、ゲームはするんだけど、剣ってオーソドックスすぎて使いにくいというか。私が使うキャラって大体ナックルとかドリルだし。


そんなことを考えながらも、私はセカイと一緒に一日中仮想の魔骸と戦った。戦い続けて、最終的にはキルファさんの合格を貰えた。仮想じゃない、本物の魔骸を倒しに行ってもいいって。


「お疲れ様です。この様子なら、本物の魔骸も倒せるかもしれません」

「うわー!やった!やったねセカイ!」

「もう、うるさいわね……」

「それにしても、お二人は本当に筋が良い。まるでどこかで戦闘経験でもあるような雰囲気ですね」

「まったまた、キルファさんったらー!褒めすぎですよー!」

「……えぇ。本当に……」

「それでは、今日はこれにて終了ということで。また明日。明日は比較的危険の少ない洞窟へ行ってみましょうか」



そうして今日はお開きになった。武器を持って魔骸を倒す。何とも言えない高揚感が胸の中で燻っていた。何て言うんだろう、叫び出したい気分?って何を叫んだらいいんだか。

「何立ち止まってんのよ」

道の途中で上を向いている私に向かって、セカイがぶっきらぼうに声を掛ける。

「あ、セカイお疲れー」

「はぁ、本当よ。疲れすぎてクタクタだわ」

「あはは。じゃあ今日はご飯を食べたら早く寝ないとね」

「そうね。あんたもそうした方がいいわよ」

「わかってるよ、夜更かしとかしないから大丈夫!」

「本当でしょうね……」


そのまま二人で帰って、皆でご飯を食べた。部屋に戻ってからは、さっきの会話通りすぐに眠ってしまった。本当はもうちょっと起きてるつもりだったのに。自分では気付いてなかっただけで、もしかすると私も思ってる以上に疲れていたのかもしれない。


朝になり気がつくと、私は昨日の服のままでベッドに倒れ込むような体勢でいた。とりあえず、シャワーを浴びて服を着替える。すぐに眠ってしまったからか、起きた時間が早かった。折角だし、皆が起きるまで散歩をする。早朝の町はいつもと違って、静かで眠っているようで、まるで誰もいないみたいに思えた。


宿に戻ると丁度良い時間で、みんなも起き出していた。セカイなんかは、あんたが一番なんて珍しいわね。とか言ってたけど。まぁ、そんなことは気にしない!朝御飯も食べて、今日も1日頑張ろうっと!




ということで、昨日言っていた通り。

今日は町の近くの洞窟にやって来た。どこにでもあるような普通の洞窟だ。いよいよ実践!緊張するけど、昨日まで教わったことを精一杯やり遂げよう。


「さて、皆さん準備は良いですか?」

「はーい!!」

「もちろんよ」

「万全です」

「……いつでも行ける」

「ふふ、皆さんやる気充分、といったところですね」


キルファさんは私たちを見て微笑んだ。私たちは武器を持って、キルファさんが用意してくれた服を身にまとっている。防具が着いていて、防御魔法がかかっているらしい。ちょっとした勇者見習いみたいな感じ?


ついに、洞窟へと足を踏み入れる。明かりの当たる入り口から徐々に奥へと進んでいく。次第に外の光は消えていき、洞窟の闇に包まれた。


こんな状態のまま歩いていて大丈夫なのかな。なんて思いながら先へ着いて行く。何歩か歩くと急に視界が明るくなった。さっきまでの暗闇が嘘みたいに、洞窟の壁には火が灯されている。不気味な様子は一切なく、それどころか広くて安心するくらいだ。こんなところに魔骸が出るなんて信じられない。


「舗装されてるみたい……」

「舗装って、道路じゃないんだから……」

「まぁ、概ねそう思っていただいて結構ですよ」


キルファさんは壁を触って歩きながら説明してくれた。


「この世界の多くの洞窟は、この洞窟のように整備されているんです」

「じゃあ、何でさっきまでは真っ暗で何も無かったんですか?」

「魔骸にも、色々な種類がいるんです。何も考えずに全てを壊すタイプとか、知恵の働くタイプとか。もしも、入口から整備していって、魔骸がそれを辿って街まで来てしまったら……そういったことを阻止する為に途中から整備してあるんですよ。もちろん、魔力でも入口は隠していますけどね」

「へぇー、そうなんだぁー!」

「さて、ここから先はいつ魔骸が出てもおかしくありません。皆さん気を引き締めて行きましょう」


そうして私たちはまた洞窟の奥を目指し歩き始めた。整備された洞窟は、魔骸との戦いの不安まで薄れさせていくような気がした。

こうしている今も本当に魔骸なんているのかって、半信半疑になる。



しばらく歩くと、突然寒気のようなものを感じた。気分が悪いというか、めまいがしそうな空気?

私だけがそんな状態なのかと思ってセカイを見ると、セカイはわかりやすく機嫌が悪そうな顔で眉間に皺が寄っていた。

自分だけじゃないという安心感と、何かが来るという恐怖感。

折木君が私達の前に出て、左手で止まれという合図をする。


「来るよ、気をつけて」


いくつも枝分かれした道の先。左前方からそれは現れた。私の倍以上の姿、いくつもの岩が固まってできたようななにか。

蚯蚓腫れのように青白く光る線がそれらを動かしている。

そして、それは音もなく私達に襲い掛かってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ