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全ての終りの魔法の世界  作者: 碧夜 蒼
19/25

19 魔武具

隣にはセカイとキルファさんも立っていた。

キルファさんは何度やっても慣れないな、と呟いている。


「おかえり・・・・・・」

「緋色君!ただいま帰りました!」

「無事だったか?」

「当たり前でしょ?誰だと思ってんのよ」



私とセカイは二人に石を見せてあげた。

私は赤で、セカイは緑。

もしかして、緋色君と折木君も違う色だったんだろうか。


「・・・・・・素敵な色だね」


緋色君は少し寂しそうにそう笑った。

まるで何かを懐かしんでいるような顔だ。



「さて、それじゃあこのまま行きましょうか」

「このままって、ここからですか?」

「はい。ここの転移先は二つ設定されていますから。・・・・・・さぁ、手を繋いでください」


魔石をポケットに仕舞って、手を繋ぐ。

隣に居たのは緋色君とキルファさん。

自然と緋色君に触れることができる。

動悸が激しくなる、ちょっと緊張してしまう。

手汗とか、大丈夫かな・・・・・・。

視界の中に入ってきたセカイは、とんでもなく無表情で私を見つめていた。




それからは、あの洞窟へ行ったときと同じようなことだった。

目を開けると、白くて大きな神殿の前にいた。

教科書で見たような、柱が何本も立っているものだ。


中へ入ると、天井は高く丸く、壁には良くわからない絵が飾ってある。

まるで教会のようだと思う。


「お待ちしておりました」


声をかけてきたのは、神父のような格好をした男の人だった。

この人は確実に人間だと思う。


「さぁ、こちらへ」


神父さんは私達を奥へと連れて行く。

大きなステンドグラスから陽が入り、淡いオレンジが浮き出てくる。

真ん中には大きな像が私達を迎えるように立っていた。



「これは、この世界に祝福をもたらしたとされる女神様の像です」

「祝福を?」

「ええ。彼女のおかげで、人が魔法を使えるようになったのです」

「へぇー」

「こうして、魔石を魔武具に変えることができるのも、その力のおかげなのですよ」

「神父さんは、何者なんですか?」

「神父・・・・・・?よくわかりませんが、私は彼女の力の代行者とでも言いましょうか」



神父さんは女神像の前に立ち、私を手招きした。

彼の指示通りに私も動く。

魔石を手に乗せて、差し出すような格好をする。

神父さんはそれに手をかざした。


「この者に神のご加護を。女神の祝福を。運命を切り開く力を」


神父さんの声に呼応するように、魔石は熱を帯びていく。

それは高温に熱せられた鉄のように溶けて、私の中に入り込んでくるような感覚。

意識が飛びそうになるのをぐっと堪える。

次第にその熱は引いていき、呼吸も整っていく。

少しだけ、右腕に違和感を感じた。


「あなたからは、強い意志の力を感じます。それこそ、自らの手で全てを切り開けるような、そんな力です」

「・・・・・・」

「あなたならば、どんな困難でも乗り越えていけるでしょう。その右腕の力を正しく使ってください」


神父さんの言葉を聞きながら、右腕を見る。

そこには、手首から肘の辺りまでかかる赤い腕輪がついていた。


「それが、あなたの魔武具です」


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