表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全ての終りの魔法の世界  作者: 碧夜 蒼
16/25

16 転移へ

緋色君はキルファさんの傍に近づいて、顔に乗っている本を手に取った。

机に置いてあげるのかな、優しいな。

なんて思ってたら、キルファさんの頭をよく頭を叩いた。

角が当たってないと信じたい。


「……痛い」

「……おはようございます、キルファさん。何度も言ってますが、寝るときは、ベッドで寝てください」

「あ?あぁ……そうか、また寝てたか」

「仕事のし過ぎ、で死にますよ……」

「それはそれは、気をつけるよ……っと、皆集まってたのか。ちょっと、そこのパンでも食べてて待っててください」


キルファさんはゆっくりとソファーから起き上がり、部屋の奥へ向かっていた。

緋色君がソファーに座り、どうぞ、という目で見てくるので、私達も座る。

折木君はテーブルに置いてあるバスケットからパンを手に取って食べている。

それを見て、私とセカイもパンをいただくことにした。

昨日のお店でも思ったけど、異世界という割にはご飯が地球のものとほぼ同じだ。

地球の文化がこっちにも伝わっているのだろうか。


しばらく黙々と皆でパンを食べていると、キルファさんが戻ってきた。

「やぁ、お待たせしてすみません。お味はどうですか?」

「うん……まだまだ、かな……」

「やはり、そうでしょうね……」

「あら、こんなにおいしいのに?」

「ははは、ヒイロ殿に比べたら、私のなんて……」

「そんなに美味いのか……」

「……そこまで、でもない」


バスケットに入っているパンはどれも美味しかった。

キルファさんが作ったらしい。

色々と謎な人だなあと思う。

私もいつか緋色君の作ったパンを食べてみたい。


「さて、それでは今日の予定ですが……」


話に一区切りついて、キルファさんが本題を話し始める。


「まずは魔力の湖に行き、魔石を手に入れます。その後、神殿でそれを魔武具に変換。魔法の練習という流れでどうでしょうか?」

「魔石集めは……?」

「流石に今日すぐに、といのは厳しいと思います」

「そっかぁ……」

「ま、こういうのは焦らない方がいいわ。ゆっくり行きましょ」

「そうだね……」

「では、行きましょうか」


魔力の湖とはどういうところなのだろうか。

ここから結構かかるのかな。

部屋を出て、お城の中を歩き回る。

その中に他の木の扉とは違う、石の扉があった。


キルファさんがその扉を開けると、中から青白い光が溢れてくる。

その部屋の中央にある小さな石が、煌々と光を放っていた。

雰囲気が、私達がこの世界で倒れていた部屋に似ている。


「ここから魔力の湖へ飛びます。さぁ、手を繋いで」

「手、繋ぐの……?」

「転位するのに必要なんです。絶対に話さないでくださいね」


セカイは渋々といった感じで私と手を繋いだ。

キルファさんとセカイと三人で輪になるように石を囲む。


「緋色君と折木君は?」

「俺達は留守番」

「監督者、じゃない、から……」

「んー???」

「魔力の湖へ行けるのは、魔石を持ってない人とその監督者だけなんです。お二人の監督者は私ということで、あの二人は留守番です」

「へぇー、そうなんですね」

「それじゃあ、心の準備はいいですか?」

「はい!大丈夫です!」

「こっちもよ」

「では、行きますね……」


キルファさんが手に力を込める。

小さな声で何かを唱えている。

キルファさんの声に合わせて、体が徐々に浮いていく感じがした。

中央の石の光も一緒に強くなる。

目が開けられないくらいの光に耐えられずに目を瞑る。

今はとにかく、絶対に手を離さないようにするしかない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ