14 決めた
部屋について、ベッドに仰向けに倒れこむ。
私の心の中で引っかかっていたのは、緋色君の最後の言葉。
キルファさんについて。
緋色君を疑う訳じゃないけど、あんなによくしてくれた人を悪くは思えない。
一人で悶々としていると、扉がノックされた。
はーい、と返事をするとセカイが顔を出す。
「入るわよ」
「うん、どしたの?」
「あんたが要らないことで悩んでるんじゃないかと思って」
「あー……よくわかってるじゃん」
「それで、どうするつもり?」
「うーん……ねっ、セカイはどう?私が魔道具使ってもいいと思う?」
「良いか悪いかは決められないわ。何が良くて悪いのかもわからないし」
「いやーさー魔法は確かに魅力的だよ?でもさ、なんかただの地球人の私が、こう……そういうものに面白半分で手を出してもいいのかな、ってさー」
危険性は二人から聞いた。
二人は私達を心配して、魔骸退治には参加して欲しくないと言った。
なら、きっと大人しくしている方が正しいんだと思う。
でも、その代わりに二人が傷つくことになるかもしれない。
自分が安全な場所に居て、二人を待ってるだけなんて、そんなの……。
「……そこまで深く悩まなくてもいいんじゃないの」
「えー、だってさー怪我するかもしれないんだよ?死んじゃうかもしれないんだよ?」
「ボクは大丈夫よ。心配しなくても、いざとなったらあんた盾にするから」
「……怖くないの」
「私の代わりに緋色君達が怪我する方がよっぽど怖いわ。……あんたもそうでしょ?」
「……うん」
「なら、あんたの思う通りにしなさい」
「でも……」
「覚悟なら、とっくに決めてるわ」
「私が巻き込んだせいで……痛っ!!」
おでこに激痛が走る。
顔を上げると、セカイが悪戯っぽく笑っていた。
「巻き込んだとか言ってるんじゃないわよ。お互い様でしょ。……こっちこそ、突き飛ばして悪かったわね」
もしかすると、セカイはセカイで気にしていたのかもしれない。
私と一緒に落ちたことを。
お互い様、その言葉がストンと胸に落ちた。
セカイがこうして、励ましてくれている。
なら、私は私のやりたいようにやるしかない!
「決めた!」
「はい、どうぞ」
「キルファさんから魔武具を貰う。そして魔骸を倒して魔石を集める!緋色君達に全部背負わせない!」
「あんたらしいわね。付き合うわよ、ボクも」
「……いろいろ、ありがとうね」
「なーに言ってんの。しおらしいライバルなんて、張り合いがないでしょ?」
セカイはそう言って、自分の部屋に帰っていった。
考えて答えが出るなんて、私らしくない。
私は猪突猛進!真っすぐ突き進むのが一番!
一緒にここに来たのが、セカイで良かった。
おかげで私を見失わずにすんでる。
「よし!!」
今日はもう寝て、明日に備えよう。
緋色君達にも自分の考えを使えよう。
キルファさんが何かを考えていても、今は関係ない。
今は元の世界に帰ることだけを考えるんだ。