41.端から見れば修羅場
うおおおおおお久しくて申し訳ない!!
<前回のあらすじを30文字以内で説明せよ。>
翼「兄上、『アベック』ではなくて今時は『カレカノ』や『リア充』と言うものだ。」
礼「…てことはアベックを復活させたら俺は天才になれるのか」
翼「そうだな天災になれるな凄いぞ兄上!」
命子「投げやったw」
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「おいおいおいどーいうこっちゃありゃあ…!?」
野蛮な口調とは真逆に口元に両手を当て上品な仕草をする神崎はある光景を見て唖然とした。
普段なら呆れて流すが流石に俺も目を疑った。
現在進行形だが、街中で広瀬とみっちゃんが二人で歩いているのを目撃してしまったのだ。
「どう思う…? 上杉伍長。」
ギギギ…と機械が擦れ合う音が聞こえるのかと思うくらいぎこちなく指差しながら神崎が俺に尋ねてきた。
「いやでも部活の買い出しとかの可能性もあると思うけどなぁ……。」
「だからといってイブの日に買い出しいくか!? 大体イブの日っていうのは恋人とデートするもんでしょ!!」
「……それ言ってて悲しくなんねぇのか。」
隣にいる森中さんも蚊の鳴くような声量で「確かに」と同意の意見を述べた。
だけど確かに神崎の言うとおりだ。
買い出しだとしても何故24日のイブの日にする必要があるのだろうか。
こんな季節のこんな日にあんなオシャレな格好で男女並んで歩いていると普通恋人としか認識されないのに。
「あっ! あそこのカフェに入っていったぞ!!」
神崎の人差し指の方向に目を向けると確かに二人がお洒落な店舗に入っていくのが見えた。
「よし! ウチらも入るぞ! そのまま昼飯食おう!!」
「は? 本気で言ってる?」
そっとしといてやれよと言う前に神崎は俺と森中さんの手を引っ張って二人が入ったカフェへと足を進めた。
店内へ入ると香ばしい珈琲豆の良い香りがした。
注文を終えるとなるべく二人から離れた席に座って、三人で観察する。
「上杉、あの二人何食ってる?」
「んー…みっちゃんはイチゴパフェっぽいので、広瀬は…多分だけどスープ系のやつかな。」
硬い無表情な顔で水を飲んでいる広瀬に対して正面に座っているみっちゃんは幸せそうにイチゴを食べている。
かわいい。
「みっちゃん美味しそうに食べるなぁ……。」
「いっぱい食べる君が好き~あばらにケバブぅ~♪」
右隣で意味不明の歌を口ずさんでいるバカは放っておいて取り敢えず観察を続けよう。
二人が何か話しているが距離が遠すぎるので流石に聞き取ることが出来ない。
だが見ている感じだとみっちゃんが一方的に話していて、それに対して広瀬が上手く相づちを打っているように見える。
「……広瀬さんって、彼女いたんですね。」
森中さんは驚愕の眼差し(広瀬可哀想)を広瀬に向けながら注文したメロンソーダを飲んだ。
「広瀬って一年生からはどんな風に言われてるの?」
「入学したころは女子の間で凄い人気だったんですが、ある事件がきっかけで人気が大幅に減ったんです。」
「「事件?」」
「5月の始め頃に学年で一番可愛いて言われてる友達が広瀬さんに告白したらしいんですが、その告白の返事が『貴様のような女は要らん。もっと感電しても死ななさそうなガチムキの実験台を連れてこい!』っていうもので……。」
「「うわ~」」
「その子凄く傷ついてしまって…フラれる方がまだマシだったって悲しんでました。」
「アイツは告白=実験台許可宣言なのか。」
神崎はブラックコーヒーを飲みながら忌々しそうに舌打ちをした。
…お前ブラック飲めたんだな、正直子供舌かと思ってたよ。
森中さんはグラスを片手にしながら遠くにいる広瀬とみっちゃんを見て微笑んだ。
「きっとあの先輩は広瀬さんにとって大切な人なんですよね。いつも見かける表情よりもずっと優しい表情をしてる。」
「……。」
「やっぱ付き合ってんのかなあの二人。だとしたら今日の夕飯は赤飯だぜ。」
イブの日に赤飯というのもどうかと思うのだが。
すると神崎が突然飲んでいたコーヒーをブシャアアアと威勢良く空気中に撒き散らした。
「なにしてんだ!」
本人達にバレないように小声で怒鳴りながら傍にあった布巾を取った。
吹き出した本人は溢れんばかりに目を見開いて向こうの二人を凝視していた。
「上杉、見たか今の……」
「見てない。」
「見ろよ!?」
「神崎が吹き出したせいで見れなかったんだよ!」
「見ろよ!!!」
「悪かったよ!…何を見たんだ。」
「それは言えねぇ。」
「あ"?」
「それは、むりぽ。」
神崎は顔を青くして両腕で×を作った。
俺と森中さんは二人で顔を見合わせて首を傾げた。
「そこまで否定されると逆に気になる。教えて。」
「……私はあんな翼を見たくなかった!!」
「ホントに何したんだよアイツ!?」
「ちょっと外の空気食べてくる!!」
店内にも関わらずうわあああああと断末魔の様に叫びながら神崎はコートも着ずに出ていってしまった。
俺は再度遠くで向かい合わせに座っている二人を見た。
「なにを見たんでしょうか……。」
森中さんは困ったように笑いながらメロンソーダを飲む。
店の外で大袈裟にくしゃみをしている馬鹿を見ながら俺もカフェオレを一口飲んだ。




